欧米等で利用されている種々のタイプの分娩柵は理論的には全く同じで, ただ豚舎の構造, 広さ, 施設費等により異ったものである。
この試験の成績では分娩柵の使用前と使用後では労力的に非常に省力化され, しかも哺育育成率が著しく向上したことは繁殖経営の合理化, 多頭化のために一歩大きく前進したものと考えられる。
又, これが使用については上述のような問題点を注意深く改善して行き, 材料についても安価な自家製のものの活用で, その成果は大きく期待出来る。
唯, 母豚が狭い柵内に押込まれたためにストレスや肢蹄, 体調を弱める問題があるが, その後の管理さえよくすれば問題はないようである。
分娩柵の利用は更に検討が加えられ, 分娩監視並びに助産, 引続く哺乳介助の労力を極端に省力化する方法も可能と考えられる。しかし, この場合, 豚に多い仮死豚を助けることが出来ないのが一つの問題として残る。
以上のことから母豚の育成能力 (上手, 下手) を考慮に入れ, 分娩柵利用により分娩介助の労力は殆んど省力化出来て, しかも哺育率を向上させることが可能であるので, 早急に普及に移し各施設に合った分娩柵の利用を図るべきである。
最後に, この試験成績と同じような成果が, 農林省畜産試験場及び群馬県畜産試験場でも発表されており, 又, この試験成績は昭和41年8月の九州ブロック会議において技術確定したものと認められたので併せて附記する次第である。
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