日本養豚研究会誌
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22 巻, 1 号
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  • III. 豚ふんの堆肥化試験: 基本的条件の検討
    瑞穂 当, 美斉津 康民, 山田 豊
    1985 年 22 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    豚ふんの堆肥化をめざす場合に, その基本となる事項について実験し, 次のような所見が得られた。
    1) 堆積したまま放置する方式で, 豚ふんの堆肥化をはかる場合には, 適当な水分調整材を混合するなどの方法によって, 仕込み材料の含水率を65%程度に調整することが望ましい。
    低水分に過ぎた場合は, 初期の温度上昇は速いが, 永続性に乏しく, 堆肥化は中断されたままに終るおそれがある。逆に, 高水分に過ぎた場合は, 酸素欠乏のため堆肥発酵は進行しない。ただし, かきばりの大きい水分調整資材が混入された場合は, 堆積物中の孔隙率が大となるため, やや高い含水率であっても堆肥発酵は順調に進行する。
    2) 堆肥発酵にともなう炭水化物の最終分解産物として, 水と炭酸ガスが産生されるので, 堆肥の重量減少がそのまま堆肥の乾燥を意味することにはならない。
    3) 堆積したまま放置する場合にくらべて, 切返しによって酸素の補給をおこなえば, 堆肥発酵は促進され, 同時に, 水分の放散にも役立つ。活溌な高温発酵がおこなわれている時期には, 切返しによって取込まれた酸素は1時間前後で消費されてゼロになる。
    4) 強制的な通気処置は, 酸素の供給手段としてさらに有効であり, とくに, 水分過多の堆積材料の場合に有効と思われる。しかし, 過量にすぎれば, 水分と熱を運び去る不利益が強くなる。発酵最盛期に右ける通気の適量は, 堆積材料1kg当り毎分200ml程度であると判断された。
    5) 4倍量の水を加えて液状にした豚ふんであっても, 曝気によって酸素の供給をはかった場合には, 通常の堆肥発酵と同等の発酵分解がおこることが実証された。
  • IV 豚ふんの堆肥化試験: 堆肥の発酵条件と理化学成分の変化
    瑞穂 当, 美斉津 康民, 山田 豊
    1985 年 22 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    豚ふんの堆肥発酵の促進ならびに製品堆肥の品質改善を目的として実験をおこない, 次のような知見を得た。
    1) 発酵温度を高く (60℃) 維持することはヘミセルローズの分解に有利であり, セルローズの分解は中温度条件 (30℃) の方が好調であった。しかし, これらはあくまでも相対的なものであり, 高温あるいは中温で或る成分の分解が全く停止するというものではないので, ことさらに発酵温度をコントロールするまでの必要性はないと考えられる。
    一方, 高温度は, 混入した雑草種子や有害微生物を死滅させるという, 発酵以外の効用もあるので, 発酵期間のうちのどこかで, 高温度域を経過させることは考慮されてしかるべきであろう。
    2) 発酵方式として, 静置したまま, 切返し, 強制通気の3条件を比較したが, 出来あがった堆肥の品質には本質的な違いは認められなかった。
    程度の問題として, 分析値のなかで差が比較的大きかったのはヘミセルローズであり, 通気区での分解は他の2区にくらべてやや劣った。しかし, 種子の発芽試験では, むしろ通気区の成績がやや良い傾向が見られた。堆肥の完熟という問題とからんで, その理由については今後検討してみる必要があろう。
    3) 水分調整材としてのモミガラは, その形状が空気の持込みや, 堆積後の通気性に好都合なことを考慮すれば, むしろ全粒のまま使用する方が望ましい。破砕しても, 分解性が改善されるという効果は認められず, 全粒のままでも, たとえばヘミセルローズは完全に分解された。
  • 第3報 肥育豚での高水分穀実 (小麦, 大麦, えん麦) の利用性
    米田 裕紀, 吉本 正, 宮川 浩輝, 杉本 亘之, 所 和暢
    1985 年 22 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    高水分麦類を収穫後, ただちに密封貯蔵し, 発酵させたものでの, 肥育豚に対する効率的な利用体系を明らかにするため, 麦類の栄養価, 肥育効果, 調理法, 熟期別の栄養価, 利用限界, 栄養補正などについての検討を行った。
    1. 高水分の大麦, 小麦, えん麦の栄養価値は, TDNで, 小麦, 大麦, えん麦の順に高く, DCPでえん麦, 小麦, 大麦の順に高かった。
    2. 配合飼料に対し, 風乾物で30%を単純に高水分麦類で代替給与した場合は, 大麦, 小麦は配合飼料と同等の発育増体を示すが, えん麦は劣っていた。
    3. 高水分小麦を圧ぺん, 粉砕処理したものと粒状との間には, 発育増体に有意差は認められなかったが, 処理によって, 発育増体, 飼料効率の改善の傾向が見られ, 低水分穀実になるほど処理が必要である。
    4. 小麦の高水分及び低水分穀実と乾燥粉砕したものの消化率は, 各成分とも乾燥粉砕, 高水分, 低水分の順となった。
    5. 小麦を粒状のまま, 配合飼料の30%, 50%, 70%を代替給与したが, 子実の水分含量が低かったために, 高率に代替する程, 発育増体, 飼料要求率は劣った。
    6. 高水分のえん麦を配合飼料の30%, 50%代替給与し, 動物性油脂と大豆粕で栄養補正を行うことによって, 配合飼料の単一給与と同等の発育増体を示し, 十分利用が可能である。
    7. 高水分麦類は水分含量の如何にかかわらず, 肥育豚での嗜好性は良好であった。
    8. 高水分麦類の給与による肉質への悪影響はほとんど認められなかった。
  • VII. 誘起発情豚における生殖器官の検討
    丸山 淳一, 井口 元夫, 宮原 強, 加藤 良忠
    1985 年 22 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    性成熟前豚125頭を供試して, PMSG 500IUおよびHCG 500IUを投与した誘起発情時における各生殖器官の経時的な変化を検討した。
    GTH投与後の発情徴候発現において, 外陰部の発赤および腫脹等は経時的な変化が見られたが, 背圧反応では5.9%の発現率であった。
    GTH投与後の卵巣周期との関連性において, 投与後1日目および2日目は前卵胞期が77.8%および87.5%であり, 3日目は後卵胞期が64.7%, 4日目および5日目は排卵期が54.5%および93.3%であり, 6日目で前黄体期が98.9%, 10日目で中黄体期が83.3%であった。
    各生殖器官のGTH投与後の経時的な変化において, 卵管, 子宮, 子宮頸管, 膣および膣前庭等の重量変化はいずれも時期間で有意差が認められた (P<0.01)。
    誘起発情豚の生殖器官重量はGTH投与前と比較すると, 子宮が4.3倍, 卵管2.7倍, 子宮頸管2.1倍, 膣2倍および膣前庭1.6倍増大していた。
  • 宮腰 裕, 堀城 光雄, 浅井 豊太郎
    1985 年 22 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    寒冷 (8.3±1.3℃) および温暖 (25.0±0.3℃) 環境で分娩させた48時間齢までの新生豚7腹58頭を供試し, 直腸温および血漿グルコース濃度に対する環境温度と絶食の影響を検討した。
    寒冷絶食区の新生豚は出生直後の直腸温下降が最大 (4.1℃) であったが2.6℃の回復を示した。8時間齢までは哺乳の有無にかかわらず温暖環境におかれた子豚の直腸温がより高く, 16時間齢以降では環境温度にかかわらず, 哺乳区の直腸温がより高かった。
    1時間齢では寒冷絶食区の血漿グルコース濃度が最高値 (68.8±25.2mg/dl) を示し, 4時間齢以降は環境温にかかわらず哺乳区の血漿グルコース濃度が絶食区を上まわった。
    寒冷絶食区では比較的大きい血漿中へのグルコース放出とその早期消耗が認められ, 温暖絶食区では血漿グルコースレベルが低く, その結果長時間の利用が可能であった。絶食子豚の血漿グルコース濃度は寒冷環境では8時間齢, 温暖環境では24時間齢以降低下が顕著となり, これらの時間齢は回復不能な直腸温低下の時期と一致していた。
  • 安田 幸雄, 谷岡 功邦, 角田 健司
    1985 年 22 巻 1 号 p. 39-41
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    妊娠中のゲッチンゲンミニ豚の胎盤機能の情報を得る目的で血清中のアルカリホスファターゼ (ALP) が指標となるか否かについて検討した。すなわち, 妊娠母体血清ALPの動態と妊娠末期血清および胎盤ALPの耐熱性試験について検討した。
    妊娠期における母体血清ALP活性は, 妊娠期を通じてほぼ0.5-2.0B-L単位の範囲にあり, 著明な変化を認めなかった。また, 個体の追跡調査においても, ALP活性は一定の傾向を認めなかった。
    耐熱性試験において, 妊娠末期血清ALPは約70%が失活し, 胎盤ALPは約85%が失活したことから, 両者ともに熱に感受性を示した。
    以上のことから, 豚では胎盤から血中へのALPの移行がなく, 妊娠期の胎盤情報を得る指標としてALPは利用できないと考えられた。
  • 安田 幸雄, 谷岡 功邦
    1985 年 22 巻 1 号 p. 42-45
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
    ゲッチンゲンミニブタのバイオメディカル研究における有用性研究の一環として, 総胆管を結紮した場合の血清アルカリホスファターゼ (ALP) の臓器由来について検討した。
    総胆管結紮後, 血清ALP活性は直ちに上昇し, 結紮3日目に最高値に達した。3日目以降は大きな変化はみられなかった。
    臓器ALP活性は, いずれの臓器においても上昇傾向がみられたが, 肝においては特に著しかった。
    酵素組織化学的に, 胆管結紮動物の肝ALP活性は, 対照動物に比較して毛細胆管の活性が増強し, さらに類洞測にも強い活性が認められた。
  • 1985 年 22 巻 1 号 p. 46-62
    発行日: 1985/03/15
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 22 巻 1 号 p. e1a
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
  • 1985 年 22 巻 1 号 p. e1b
    発行日: 1985年
    公開日: 2011/06/08
    ジャーナル フリー
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