沖繩の山野に自生するギンネム葉の肉豚飼料としての利用性を知るために1968年2月~6月と1969年2月~6月の2回, 各々12頭の子豚を用いてギンネム生葉給与試験を実施したが, 試験豚の脱毛, 嗜好性, 発育, 飼料要求率, 屠体成績を要約すると次のとおりである。
1) 脱毛および嗜好性
ギンネム葉を単胃動物に与えると, その中に含まれている Mimoshin のため脱毛するといわれているが, 本試験では給与飼料の10% (風乾物) を配合しても, いずれの豚にも脱毛症状はみられなかった。しかし, その嗜好性は肥育後期には良くなかった。
2) 発育と飼料要求率
1日平均増体重は第1回試験が (A) (B) (C) の順で568
g, 556
g,548
g, 第2回試験は (E) (D) (F) 順で, 601
g, 600
g, 597
gでギンネム生葉を後期に給与した区は後期の増体重がやや劣る傾向がみられた。飼料要求率は (A) (B) が3.70, 3.73であり生葉区は各々3.79, 3.81, 3.85, 3.87であった。1日平均増体重の有意差の検定で各区間に差は認められなかった。
3) 屠体成績
枝肉歩留は (D) の72.51%から (B) の73.81%の範囲でありハムの割合は (A) の31.4%から (E) の33.2%で各区とも良好であった。しかし背脂肪の厚さは比較的厚く, 平均で (D) (E) が3.3cm, (A) が3.8cmであった。屠体成績は総体的に各区間に差はみられなかった。
以上のことからギンネム生葉は肉豚飼料として10%程度給与しても豚に脱毛などの悪影響はないものと考えられる。しかし, その嗜好性から幼時期には10%程度与え肥育後期にはその割合を減じて給与することが適当と考える。
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