交雑育種は年と共に盛んになりつつある。しかし雑種の雌豚及び/又は雄豚を利用することが有利かどうかという問題は常に存在する。能力の高い品種の豚を飼育している繁殖養豚家にとってこの問題はさらに緊要となってくる。二つの正逆相反するものの間の差異及び交雑に用いられる二種の純系品種の間の差異として検討する伝統的な方法によって推定したヘテローシス (雑種強勢) によってしばしばより良い親品種だけを用いて行った算定結果と比べた場合, 交雑の利点を過大評価することがある。この総説においては (一般よりも) 良い品種に対する雌豚の優越性 (劣等性) として参考文献中に報告された諸研究から計算されている。これら諸研究は, 一般的に言って交雑育種した雌豚を用いることが依然有利であることを示している。交雑育種雌豚においては良品種の親におけるよりも性的成熟がわずかに早く産仔数は一般的に見て多かった。交雑育種は特定の生産特性にとって不利であり得るかもしれないが, 全体的に見ると交雑育種の雌豚の方が有利と見られている。
他方, 純系育種の雄豚を用いることは, たとえ交雑種雄豚が幾つかの特性において優越性, 例えば性的成熟, 性欲, 及び精液生産が早期にみとめられることなどが交雑種の雄豚にみとめられて, より好まれている。
母豚として能力の高い交雑雌豚に成長が速やかでかつすぐれた品質の枝肉をもつ特別な種雄の品種を用いると全体として最良の結果をもたらすことが結論できる。このような交配システムにおいては十分な利点が得られる。すなわち第一には, 交雑種の雌豚からの産仔において母性のヘテローシス (雑種強勢) がみとめられること, 第二に発育, 飼料効率, 及び枝肉の特徴において個々の豚にヘテローシスがみとめられること, 最後に純系育種の雄豚に対して通常実施されている著しい選抜を行なうこと, 等の利点である。
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