アルファルファより調製したLPCの, 肉豚に対する蛋白質飼料としての効果を, 大豆粕と比較検討するため, 豚産肉能力検定飼料中に含有する大豆粕の一部ないし全量を, LPCで代替えした際の肥育効果について検討した。試験飼料は, 検定飼料中に含有する大豆粕 (9.0%含有) を, LPCで0, 25, 50および100%代替えし, それぞれ対照区, 25%区, 50%区および100%区の4区とした。供試豚は, ランドレース去勢雄24頭で, 各処理区に6頭ずづ配分した。肥育試験期間は, 各個体とも体重30kg~100kgの間とし, それぞれ単飼により, 飼料は不断給与とした。その結果, 発育成績においては, 試験所要日数, 日平均増体量, 飼料消費量および飼料要求率とも, 処理間に有意差 (P>0.05) を認めなかったが, 100%区は他区に比較し, 日平均増体量で若干劣る傾向が認められた。屠殺成績についてみると, 冷屠体重および枝肉歩留において, 100%区は他区よりも低下の傾向がみられたが, 処理間に有意差 (P>0.05) は認められなかった。その他の屠体測定値においても, 処理間に有意差 (P>0.05) は認められなかった。胸最長筋の理化学性状については, 特に処理間による有意差 (P>0.05) は認められなかった。枝肉の脂肪の水分, 色および融点については, LPCの給与による悪影響は認められなかった。また, 脂肪酸組成についてみると, ロース背部皮下内層脂肪のC
18:3において, 100%区が対照区に比較し有意差 (P<0.05) を認めたものの, その他の脂肪酸については, 特に明らかな差を認めなかった。以上の結果から, 検定飼料中の大豆粕をLPCで50%まで代替え給与しても, 肥育効果および屠体形質の上で特に悪影響を及ぼさないものと判断された。なお, 大豆粕をLPCで100%代替えすると, 日増体量および枝肉歩留において若干低下の傾向が認められたが, その影響は小さく, LPCは肉豚用の蛋白質飼料として, 十分に活用できるものと推察された。
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