著者らは, 千葉県香取郡下に設置された4種類の豚舎, すなわち, 糞尿分離型スノコ式豚舎 (以下, A), ふん尿混合型スノコ式豚舎 (以下, B), 単飼型ケージ式豚舎 (以下, C), 群飼型ケージ式豚舎 (以下, D) の管理作業を調査し, 管理者1人で1頭の豚を1日管理するために必要な所要時間と歩行距離にまとめた。これらの豚舎は, いずれも自動給餌器, 自然除ふん機の装備のないものであった。
その結果の要約は, 次のとおりである。
1. 管理作業は, 給餌給水作業, 除ふん清掃作業, 手入れ観察作業, 飼料調製作業, 舎内整備作業, しき料投入作業の6種に分類された。
2. 4種類の豚舎を平均した場合の全管理作業の所要時間は24.10秒であり, 歩行距離は6.36mであった。
3. 所要時間を最も多く要していた単位作業は除ふん清掃作業で12.59秒であり, 給餌給水作業はこれに次いで8.27秒であった。これらの作業に要する所要時間は全作業の80%強を占めていた。
4. 歩行距離に最も多くを要していた単位作業は給餌給水作業で2.65mであり, 除ふん清掃作業はこれに次いで2.44mを要していた。この2者を合せると全作業の80%を超えていた。
5. 給餌給水作業では, 所要時間の少なかったのは (D) で6.87秒であり, (C) は最も多くを要し10.79秒であった。また, 歩行距離では (A) が最も少なく1.46mであり, (D) は3.69mを要していた。
6. 除ふん清掃作業では, 所要時間の最も少なかったのは (C) の2.81秒であり, (D) は17.60秒を要していた。また, 歩行距離においては (C) の0.70mが最も少なく, (D) は4.19mを要していた。
7. 作業能率を豚舎別にみると, 所要時間, 歩行距離とも最も能率の良いのは (C) であり, 以下 (B) (A) (D)の順であった。
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