肥育豚に対するラジノクローバサイレージの効率的利用体系を明らかにするため, サイレージの給与割合を異にした場合の発育, 枝肉形質及び肉質に及ぼす影響, 利用可能限界, 豚の品種別での利用性, 高熱量飼料の比較, 動物性油脂の添加率及び種類, 肉質改善のための濃厚飼料の種類, 体重別のサイレージの給与適量について一連の試験を実施した。
1. 肥育豚でのラジノクローバサイレージの配合飼料に対する代替率は, 発育増体を考えると風乾物で40%が限度であった。
2. ラジノクローバサイレージの豚の品種別での利用性には差がなかった。
3. ラジノクローバサイレージの多給によって不足する熱量を補うためには, 動物性油脂が最適であった。
4. ラジノクローバサイレージの多給における動物性油脂の添加率は配合飼料に対し, 10~15%の範囲であった。
5. 熱量を補正するために添加する動物性油脂の種類としては, ファンシータローが有効であった。
6. ラジノクローバサイレージと動物性油脂の給与によって低下する肉質改善のための濃厚飼料は, 大麦主体 (85.2%) の配合飼料に肉質改善の効果が最も大きかった。
7. ラジノクローバサイレージの発育段階別の給与適量は, 体重40kgまでの給与率を低くし, 体重50~70kgの間に多給した方が発育増体は良好であった。
8. いずれの実験とも, ラジノクローバをいかに食い込ませるかが重要で, 採食率を高める給与法として, 濃厚飼料と混合給与することがよいと考えられる。
9. サイレージの調製には, 当初, 原料草を予乾して行っていたが, 水抜きと重石, 密封を十分にすれば, 予乾, 添加物は特に必要なく, 良質のサイレージが得られた。
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