種の生存期間の離散的表現に向けた数学的アプローチとして,半開区間(左閉右開区間)の集合演算を考察する.はじめに半開区間Tに含まれる半開区間の和集合,共通集合,補集合を求める公式を示す.Tを空集合,単一の半開区間,複数の半開区間の和集合からなる無限集合としたとき,Tは演算に関して閉じている.SO を生存期間がTであるタクソンΣに分類される種の集合としたとき,SO の元(種)の生存期間はTの元であり,その演算によって新しいTの元が矛盾なく生み出される.タクソンΣの生存期間TはSO の元(種)の出現時刻と絶滅時刻を端点とする小区間に直和分割でき,種の生存期間はいくつかの小区間の和集合として表現できる.集合Tの場合と同様に,空集合,単一の小区間,複数の小区間の和集合からなる有限集合TM は集合演算に関して閉じている.最終的に,種の生存期間に関する集合演算は小区間を単位にした離散的処理として矛盾なく実行できると結論した.