デジタル処理によるパターン認識手法を南九州の高隅山地域におけるランドサット衛星TM画像の端, 線, 線密度と標準偏差の解析に適用した.高隅山地域は白亜紀から第四紀までの堆積物が分布し, 中新世に貫入した高隅山花崗岩が中心に位置し, ほぼ20km×24kmの広がりをもつ.高隅山花崗岩の周辺には含金タングステン鉱床が分布しているが, 既に廃鉱となっている.画像から抽出された端状構造と線状構造の多くは, 断層, 節理面, 裂か面, 層理面の走向等の地質構造に対応している.その理由は, 線方向が, この地域の一般的地質構造の傾向に合致し, 線状構造と端状構造が概ね似ており, 長く連続性のある端状, 線状構造が主断層に調和的であるからである.テクスチャーとしての標準偏差画像や線密度画像に示される面的特徴は地層の分布にほぼ調和的である.パターン認識による面的特徴の解析は資源探査等に応用するための地質解析に有効である.本研究では, 線状構造, 線密度と標準偏差画像の重ね合わせ表示を, 地質解析に用いるべく, 新たに提唱している.
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