最適化原理による曲面推定法 (塩野ほか, 1986, 1987) を拡張して, 不規則に分布する測定データを使って, 鉛直な境界面を境にして不連続が生じた曲面を推定する原理とFORTRANプログラムを開発した.最適化原理による方法では, 与えられた標高データや走向傾斜データを満足する多くの関数の中から, 関数の滑らかさを評価する汎関数
J (f) =m1J1 (f) +m2J2 (f) を最小にするものが最適な曲面として選択される.この方法にBolondi
et al. (1976) と同様に不連続線と交差する格子点問の連続性を切断する処理を追加することによって曲面の不連続を導入した.プログラム上では不連続線の両側に位置する格子点に関連した
J1 (f) と
J2 (f) の項を無視するという処理で具体化した.この原理はすでに野藤ほか (1988) でN
88-BASICプログラムとともに紹介していたが, メモリの制約や実行速度が遅い点で実用化に制約があった.本研究の主目的は野藤ほか (1988) のN
88-BASICプログラムのFORTRANへの移行であるが, 原理の再検討を行った結果, 多少の改良で曲面の不連続だけでなく, 曲面としては連続しているが1階導関数が不連続な曲面の推定も可能であることがわかったので, 0階および1階導関数の不連続が同時に処理できるような改良を行った.これによって, 処理の高速化や推定格子数の拡大を実現するとともに, 断層を含む地層面の推定だけでなく谷筋や尾根筋を1階導関数の不連続として組み込むことが可能となった.
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