岩盤中には普遍的に裂カや断裂, 節理などの不連続面 (ここでは, 亀裂あるいは亀裂群と呼ぶ) が多数存在しており, これらが岩盤物性に大きな影響を及ぼしている.亀裂群は場所によって出現頻度および方位, 生成時期, 変質の程度や幅, 形状などの性質がそれぞれに異なる多様な亀裂の集合体であり, この多様性が岩盤物性の不均質性に密接に関係していると考えられる.このような亀裂の性質を把握し, 岩盤評価に適用するためには, 各亀裂について詳細な調査を行うとともに, それにより得られる膨大な量のデータを系統的かつ効率的に処理しなければならない.このような観点に立って, まず, 亀裂の調査項目を選定し, これに基づいて亀裂情報データベースシステムを構築した.次に, 本データベースシステムを釜石鉱山の北部に位置する花崗岩体中に掘削された坑道壁面で行った亀裂調査の結果に適用し, 湧水が顕著である亀裂群を有する岩盤領域は, 比較的大きな変質幅と充填鉱物の幅を有し, 緑泥石を含むような変質部が連続するゾーンに対応していることなどを明らかにした.
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