地盤構成土質の深度変化を数的に評価するために, 尺度構成法をボーリング記録中の土質をカテゴリにまとめ適用した.土質カテゴリを数値に置き換えると, 土質の数処理が手軽にできる.本報告では, カテゴリに当てはめる尺度の検討をおこない, その尺度のボーリングー記録のクラスター分析とボーリング位置とクラスターによる地盤図の作成への応用例を示す.資料は北海道室蘭市東部地域で収集した149本のボーリング記録である.ボーリング記録中の土質は以下の13の順序づけた継次カテゴリに分類した.すなわち表土 (盛土, 埋土を含む) <高有機質土<火山灰質粘性土<有機質土<粘性土<シルト<砂質土<砂<礫質土 (砂礫を含む) <礫<凝灰岩類 (第四系) <凝灰岩 (新第三系) <岩類 (凝灰岩を除く)
これらの継次カテゴリに対して尺度構成法を適用じた.この結果23組の値が尺度として求められた.結論として以下の知見を得た.
1) 等現間隔尺度, 意図的尺度, 統計学による理論的尺度および半理論的尺度の比較において, とりわけ都合の良い尺度はなかった.
2) 等現間隔尺度および意図的尺度 (I) によるボーリング記録の評価値は理論および半理論尺度による評価値と強い相関をもっている.
3) 本報告では意図的尺度の1, 2, 3, …, 10, 11, 16, 17を尺度に採用した.この尺度は任意地点の土質カテゴリの推定やボーリング土質記録のクラスター分析に具合がよっかった.
4) 各クラスターを代表するボーリングや特徴的ボーリングを簡単に見いだすことが可能である.代表的ボーリングは各クラスターにより区分された地盤の土質構成の具体的にイメージを与える.
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