リモートセンシングデータは棚田を抽出するための有効なデータとされている.しかしながら,これらの研究の多くは非常に高いもしくは高い空間分解能を有した衛星画像に焦点を合わせている.本研究ではRapidEye,Sentinel-2およびLandsat-8の3つの中解像度の人工衛星画像を用いて棚田抽出の検証をおこなった.さらに,ピクセルベース画像解析(PBIA)とオブジェクトベース画像解析(OBIA)では強力な機械学習分類器である多層パーセプトロン,ランダムフォレスト,サポートベクターマシンのアルゴリズムを使用して棚田の分類をおこなった.PBIAで分類された棚田は3種類の衛星画像すべてで90.3%から92%の高い精度が得られた.一般的にOBIAのセグメンテーションの閾値が増加すると精度が低下するため,OBIAではPBIAと同等の精度は得られなかった.RapidEyeを用いた分類のOBIAは85%を超える精度が得られた.Sentinel-2を用いた分類では80%を超える結果が得られた.Landsat-8を用いた分類では75%という低い精度であった.OBIAの分類精度はリモートセンシングデータの空間分解能に依存性を示すが,3つの機械学習分類器を用いた分類結果は高解像度の画像の棚田の小さな区画を区別できることを除いて大きな違いがないことを確認できた.その結果に基づいて,PBIAは調査地域で棚田を抽出するための簡単で正確な方法を提供できると考えられる.
抄録全体を表示