生層序学の基礎概念を数学的に表現するために提案した山口・塩野(2022)の枠組みに基づき,種や種の集合を辞書式順序で順序付ける原理を提案する.種の集合SやSを構成する種の生存期間が与えられたと仮定したとき,次のことがいえる.⑴ すべてのSの元はその生存期間の辞書式順序によって定まる関係⊰のもとで比較可能であり,Sは全順序集合である.⑵ Sのすべての部分集合は,S上の関係⊰を基礎にした辞書式順序≼のもとで比較可能であり,Sのべき集合は全順序集合である.⑶ 集合Sが条件Hを満たすとき,任意の2つの時刻に生存する種の集合の順序関係≼は時刻の前後関係に対応する.⑷ Sを構成する種の生存期間によって最小区間を定めたとき,2つの最小区間の前後関係≪もそれぞれの期間に生存する種の集合の順序関係≼に対応する.えられた成果は生層序学の数学的基礎の体系化に寄与することが期待できる.