本研究では,ネットワーク利用犯罪の問題に対する情報モラル意識の形成を図るため,システム思考ツールの一つである「氷山モデル」(SENGE et al.2014)を用いて「考えさせる学習活動」を取り入れた授業実践を試行した.女子高校生37名を対象に,ネットワーク利用犯罪の問題に関する講義,「氷山モデル」を用いて同犯罪被害の「パターン」,「構造」,「メンタルモデル」を考えさせ,意見交流を行わせる演習を実践した(計2単位時間).全体討論(意見交流)後の生徒の記述したワークショッププリントやカード型オンライン付箋システム(カードをWeb上のキャンバスへ表示させて情報共有できるツール)であるlinoの記載状況の検討,及び実践前後における「情報モラルに対する意識尺度」(宮川・森山2011)における「F4:情報社会における犯罪防止に対する意識」因子の有意な伸びから,本実践に一定の学習効果が認められた.