目的:臨床使用上の安全性に対する基礎的検討として,
in-vitro でエキシマレーザーの人工血管及び縫合糸に対する効果を検討した.方法:XeCl エキシマレーザー,波長308 nm,パルス幅130 nsec をコア径600 µm のシリカファイバーを用いて照射した.繰り返し周波数は5 Hz で,臨床に使用されるフルーエンス(35 と50 mJ/mm
2)を選択した.Expanded polytetrafluoroethylene(PTFE)とDacron の人工血管,及びポリプロピレンとPTFE 糸に
in vitro でレーザー照射し,その耐性を観察した.これらの人工血管を犬の動脈に移植し,18 週後に摘出した.内膜肥厚部,器質化血栓,及び対照として犬の大腿動脈を用いた.標本の厚さを,それを貫通するのに有したパルス数で除したものをアブレーションレートとして,エキシマレーザーに対する標本の耐性を定量化した.縫合糸の耐性評価には,それを破綻させるのに要するパルス数を測定した.結果:アブレーションレート(
μm/pulse, mean±SD)は35 mJ/mm
2で:大腿動脈 11.7±2.00,器質化血栓 10.5±3.50,内膜肥厚部 4.02±1.02†,摘出 PTFE グラフト 0.44±0.01†,摘出woven Dacron 4.15±0.24†,摘出 knitted Dacron 3.00±0.42†.結論:エキシマレーザーはPTFE グラフト閉塞に使用するには,人工血管には重大なダメージは生じないこと,しかしポリプロピレン糸はレーザーに対し極めて脆弱であることが示唆された.
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