赤外レーザー内視鏡は胃癌の深達度と拡がりを診断するために考案された。波長805nm出力200~400mWの赤外線はクリプトン・ダィレーザーで発振された。それはディフューザーを通して通常の内視鏡のライトガイド・ファイバー束に誘導される。そのため胃壁は均一に照明される。赤外線は肉眼視できないので反射光は赤外ビジコンによってテレビモニター上に映し出される。それによって, 赤外レーザー光で照明された胃壁をテレビモニター上にリアル・タイムで観察できるようになった。胃壁の血管は黒く見える。それはヘモグロビンが赤外線をある程度吸収するからである。肝機能検査に汎用され, 805nmに強い吸光を持つICGを静注すると, 深層の血管網が著明に増強された。
胃癌46症例に本検査を行った。ICG (5mg/kg)の静注開始から約10秒で, すべての症例において血管像が著明に増強された。数分後に, 腫瘍濃染とpooling像が観察された。赤外レーザー内視鏡の特徴的所見は, それぞれ, m癌では粘膜の正常血管網の消失と淡いstain, sm癌では濃いstainと辺縁にそったpooling像, 進行癌ではクレーター上の濃いstainである。
腎癌46例中23例に対し, 赤外レーザー内視鏡所見を, 切除胃の病理組織と対比した。腫瘍濃染又はpooling像が全周に観察されたものが11例, 半周が6例, 一部が6例であった。
16個の胃癌病巣を有する他の15例について, 本法は内視鏡下の治療の適応すなわちHpD光化学治療か高周波電気焼灼かを決める目的で行なわれた。
本法は腎癌の内視鏡下の治療の適応を決めるのに非常に有用であった。
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