外科と代謝・栄養
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47 巻, 4 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
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原  著
  • ―実験小腸移植における―
    橋本 直樹
    原稿種別: 原著
    2013 年 47 巻 4 号 p. 85-91
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    【目的】小腸graft のSMV は,recipient の門脈へ吻合する方法とIVC へ吻合する2 つの静脈ドレナージ法が行われていた.SMV-門脈吻合は生理的な静脈のoutflow であるが,SMV-IVC 吻合では小腸血はsystemic へdiversion されるpartial meso-caval shunt である.そこでSMV-IVC の小腸自家移植モデルに脾動静脈側々吻合を付加する部分的門脈動脈化を施行し,肝に対する影響について検討した.
    【方法】ビーグル犬を用い,SMV-IVC 吻合した小腸自家移植(MCA)(n=6),MCA+脾動静脈側々吻合(MCA+A)(n=5),Porta-caval shunt (Eck)(n=6),Sham ope(n=5)を作成し術後4 週目に肝血流,肝ATP,NH3,アミノ酸,門脈圧,門脈血中酸素濃度を測定した.
    【結果】MCA においてEck にみられるようなamino acid imbance や高NH3 血症はなかったが,肝ATP はControl に比し有意に低値を呈した.しかし,MCA+A では,肝 ATP はControl に近似した.
    【結語】門脈動脈化は肝機能低下を防止する意味において有用であると考えられた.
症例報告
  • 住田 亙, 渡辺 芳夫, 高須 英見
    原稿種別: 症例報告
    2013 年 47 巻 4 号 p. 93-98
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
    【背景】電解質異常のため経静脈的な補充(DIV)が必要な腸管機能不全(IF)の症例で,低カリウム(K)血症の原因がナトリウム(Na)とマグネシウム(Mg)の欠乏と推測された症例を報告する.
    【症例】症例1 は20 歳女性.トライツ靭帯から70cm の空腸が経肛門にプルスルーされている.症例2 は10 歳男児.残存小腸は50cm で,回盲弁は無く上行結腸より肛門側が残存.ともに経口でカロリーは摂取できるが,低K 血症のためDIV に依存していた.尿中Na 排泄の抑制からNa 欠乏を疑い,Na を補給した.また低Mg 血症を認め,Mg を補給した.低K 血症は改善し,症例1 はDIV での電解質投与量を漸減中で,症例2 はDIVから離脱できた.
    【考察】報告症例の低K 血症の原因はNa とMg の欠乏であった.電解質異常でDIV 依存となっているIF には,検査上低下している電解質の補給では改善されない症例もあり,注意が必要である.
  • 春田 英律, 細谷 好則, 倉科 憲太郎, 宇井 崇, 斎藤 心, 瑞木 亨, 中野 今治, 佐田 尚宏, 安田 是和
    原稿種別: 症例報告
    2013 年 47 巻 4 号 p. 99-104
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
      胃切除術後6 年目に発症したビタミンB1 欠乏による脚気ニューロパチー,衝心脚気の1 例を経験したので報告する.患者は58 歳男性.胃癌に対して噴門側胃切除術,近位側空腸嚢間置法による再建術を受けた.術後極端な偏食はなく,通常量の食事を摂取していたが,術後の腹部CT 検査や内視鏡検査では,毎回間置空腸嚢内に食物残渣が多量に貯留していた.術後6 年目に四肢遠位筋優位の筋力低下,異常知覚,両下腿浮腫,易疲労感が出現した.症状は進行し,乳酸アシドーシスと急性心不全を発症した.血中ビタミンB1 値は10(正常値20-50)ng/ml と低値であり,ビタミンB1 の静脈内投与により症状は劇的に改善した.胃切除術後長期経過症例であっても,近位側空腸嚢間置法による再建術を受け,間置空腸嚢内に残渣が貯留している症例では,潜在的にビタミンB1 吸収障害を来しやすい可能性があり,脚気を含めた栄養吸収障害発症のリスクを考慮する必要がある.
特  集 「がん治療患者に対する栄養法ー治療完遂をめざした新しい栄養支持療法」
  • ― ED 併用群とED 非併用群との比較:後方視的検討―
    中山 昇典, 西村 賢, 高木 精一, 須江 聡一郎, 浅見 昌樹, 井口 靖弘, 亀田 亮, 井上 俊太郎, 工藤 春菜, 原田 大司, ...
    原稿種別: 特集
    2013 年 47 巻 4 号 p. 105-110
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/03/03
    ジャーナル フリー
      化学療法施行中に口内炎を発症した消化器癌患者に対するエレンタール(ED)の有用性について,ED 併用群とED 非併用群とを後方視的に比較検討を行った.胃癌および大腸癌患者に対して化学療法施行中に口内炎を認めた患者は22 例であり,ED 併用群12例,ED 非併用群10 例であった.ED 併用群には,成分栄養剤エレンタール80g 以上/日経口投与した.治療開始1 週間後に,ED 併用群は有意に口内炎 grade を改善したが,ED 非併用群では有意な改善は認められなかった.治療開始2 週間後においては,両群とも有意な口内炎 grade の改善が認められた.しかし,2 週間後の評価においても ED 併用群の方が有意に改善していた.このことより,エレンタールは早期に口内炎 grade を改善すると考えられた.(p=0.0223),消化器癌化学療法施行中に口内炎を有した症例においてエレンタールは有効であり,とくに早期改善効果が期待できる可能性がある.
用  語
記  録
巻  末
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