膵頭十二指腸切除や胆管切除を伴う肝葉切除などの肝胆膵外科領域における高度侵襲手術は,合併症発生率も高く, 術後管理に難渋する症例も多い. さらに患者の高齢化によりサルコペニア併存患者の増加は避けられず, 周術期管理の重要性は増すばかりである.
慢性炎症やimmunosenescenceの状態であるサルコペニア併存患者に対しては, われわれが以前から導入しているimmunonutritionのより高い効果が期待できるのではないかと仮説を立て, immunonutritionを行った症例に対して, 後方視的に検討した.
その結果, サルコペニア併存患者(低骨格筋量)に対するimmunonutritionの感染性合併症の防止効果は, 非サルコペニア併存患者のそれと比べて,約7倍以上であった.
Immunonutritionは, 膵頭十二指腸切除術だけでなく, その他の高度侵襲手術でのサルコペニア併存患者に対する栄養管理として, 術後合併症を軽減することができる有用な手段の一つであると考えている.
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