【目 的】 初産婦が保健行動をとる際の動機, 負担を明らかにし, 妊婦の保健行動の実態に即した保健指導のあり方を検討する資料を得ることを目的とする.
【方 法】 妊娠30週~34週の妊婦10名を対象に, 初妊婦が保健行動をとる際の動機と負担について, 半構造化面接法によりデータを収集した. 分析はベレルソンの内容分析を使用した.
【結 果】 初産婦が保健行動をとる際の動機と負担について, (1)【妊娠中の身体と日常生活に関心をもって気を付けようとする動機】, (2)【医療従事者, 夫や会社の人に指摘を受けたことに関連した動機】, (3)【出産・出産後に関連した自分の体と胎児の健康に関連した動機】, (4)【妊娠経過の変調の気づきに関連した動機】, (5)【出産体験のある実母や祖母など身近な人から妊娠中の体験を聞いたことに関連した動機】, (6)【仕事が負担になり妊娠期の保健行動がとれない負担】, (7)【食習慣や生活リズムの変更が自分でコントロールできない負担】という7つのカテゴリーが得られた.
【結 語】 初産婦が保健行動をとる際の動機と負担について得られた7つのカテゴリーから, 妊婦の保健行動は, 食事, 動静, 生活リズムなど日常生活上の生理的欲求と関係する行動が多いことが明らかになった. 初産婦への保健指導では, 妊婦の日常生活と保健行動に関与する人間関係を考慮して, 保健行動をとる際の動機になること, 負担になることを把握し, 妊婦自身が妊娠期の健康を意識できるような指導が必要であると考える.
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