地質関数は3次元空間内の任意の点に対して,その点がどの地質体に含まれるかを特定することができる関数であり,地質図のコンピュータ処理の基本要素である.地質関数を基礎にして3次元地質構造のモデル化あるいは可視化のアルゴリズムが開発されてきた.しかしながら,地質関数は地質境界という概念を含まないため,地質境界線の取り扱いは未解決の課題として残されていた.本論文ではこの課題を解決するために,3次元空間内の任意の点にその点の直下にある地質体と直上にある地質体の対を対応づける拡張地質関数を新たに定義した.拡張地質関数により地質体と地質体の境界を明確に定義できるため,地質図に地質境界線を表現できることが可能となる.この拡張地質関数にもとづいて地質表示面に地質境界線を作図するアルゴリズムを開発し,Visual BasicプログラムGeomodel2003として具体化した.このプログラムは従来開発されてきたGeomodel2000を基礎にしている.既存のサブルーチンは可能な限りそのまま活用し,境界線を描くのに必要な部分のみを新たに追加した.いくつかのモデルを使って,アルゴリズムの妥当性と有効性を検証した.秋田県の本荘地域の3次元地質モデルをGeomodel2003に適用して地質平面図,地質断面図や立体地質図のすべてに地質境界線を表示できることを確認した.
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