情報地質
Online ISSN : 1347-541X
Print ISSN : 0388-502X
ISSN-L : 0388-502X
18 巻, 3 号
選択された号の論文の1件中1~1を表示しています
論説
  • 小池 克明, 劉 春学
    2007 年 18 巻 3 号 p. 159-171
    発行日: 2007年
    公開日: 2010/03/23
    ジャーナル フリー
     極限られた範囲の測定データから様々な大きさの領域での空間分布推定を目的とし,これに必要なスケール則を見出すために,同一地域に対する種々のデータ間隔のDEMを用いた。その結果,データ間隔が異なってもデータのヒストグラムとセミバリオグラムの形状は変わらないこと,およびこれらに含まれるパラメータはデータ間隔と関連性があり,回帰曲線を妥当に当てはめられることがわかった。このヒストグラムとセミバリオグラムのスケール則,およびセミバリオグラムの適合性を基準とした焼き鈍し法の組み合わせを提案し,これを多孔質材料の空隙分布シミュレーションに適用した。空隙の形状を球で近似することで,試料サイズを大きく超える領域においても空隙分布が妥当にシミュレーションできることが明らかになった。シミュレーション結果に基づき,空隙の連結距離の頻度と最大連結距離が,多孔質材料の透水係数の寸法効果を支配する主な要因であることなどが考察できた。さらに,本手法を代表的な多孔質岩石であるベレア砂岩にも適用し,小さな範囲の岩石試料画像データからその200倍程度の領域まで空隙分布がシミュレーションできるようになった。また,領域の増大につれてチャネルの形成が明瞭になり,連結空隙の体積の平均と分散も増加する傾向が明らかになった。
feedback
Top