露頭データベースの作成には層序と露頭構造の数学的表現が必要である.層序と露頭構造の数学的表現方法として,グラフ理論と二項関係を使用した構造グラフ,構造行列,構造式を提案し,これらの理論的背景を検討した.構造グラフはラベル付有向グラフを使用して層序と露頭構造を表現したものであり,G=(V, E, ∅)で表現される.Vはグラフの頂点(地層)の集合,Eは弧(地層間の接触関係)の集合,∅はEの順序対 (v
i,v
j)を接触関係のタイプに関連づける関数である.弧の方向は下位の地層から上位の地層に向く.構造行列(s
ij)はグラフの隣接行列(a
ij)を再定義したもので,行列の要素s
ijは(v
i,v
j) ∈ Eならばs
ij=##であり,それ以外はs
ij=0である.##は地層v
iとv
jの接触関係である.層序式は層序と露頭構造を式で表現したものであり,v
1 ##
1v
2 ##
2…##
n-1 v
nで表現される.また,(v
1 ##
1 v
2 ##
2…##
n-2 v
n-1) ##
n-1 v
nのように()や[ ),(]などを使用して複雑な構造を表現することが可能である.これらの手法により,露頭構造を数学的に表現できるようになった.
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