ヘルスプロモーション理学療法研究
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最新号
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原著
  • 等々力 賢輔, 甲斐 義浩, 向井 章悟, 村田 伸
    原稿種別: 原著
    2025 年 14 巻 3 号 p. 115-121
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,膝OA 患者16名30肢を対象に,マーカーレスモーションキャプチャおよび光学式モーションキャプチャを用いて,歩行中の初期接地期と立脚期における最大膝内反角,立脚期から初期接地の膝内反角を引いた膝内反角変化量を測定し,その再現性と妥当性について検討した。再現性は級内相関係数を求め,また絶対信頼性としてBland-Altman 分析を用いた。妥当性は,ピアソンの相関係数を用い,各測定値間の関連を検討した。分析の結果,初期接地期,立脚期における膝内反角および膝内反角変化量は,極めて高い再現性を示した。また,各測定値間に有意な強い正相関が認められた。さらに,Bland-Altman 分析の結果,各測定法の測定値の間に固定誤差を認めた。マーカーレスモーションキャプチャは,歩行中の膝関節側方動揺性を簡便かつ定量的に測定でき,かつ測定値の信頼性と妥当性が担保された測定法であることが示された。

  • 葛迫 剛, 村田 伸, 合田 明生, 菊地 雄貴, 森 耕平, 中野 英樹
    原稿種別: 原著
    2025 年 14 巻 3 号 p. 123-130
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,Body Mass Index(以下,BMI)と体脂肪率の肥満区分の違いによる女性高齢者の身体機能の特徴を明らかにすることである。2023年に開催された体力測定会に参加した65歳以上の女性高齢者222名を解析対象とした。BMI による肥満区分は,目標体重未満(18. 5-22),目標体重(22-25),肥満(25-30)とし,体脂肪率による肥満区分は30%未満を非肥満,30~35%未満を肥満Ⅰ,35%以上を肥満Ⅱとして,各肥満区分によって身体機能を比較した。その結果,BMI による肥満区分では,目標体重群と肥満群が,目標体重未満群より筋力と片脚立位時間で有意に低値を示した。一方,体脂肪率による肥満区分では,肥満Ⅱ群が非肥満群と肥満Ⅰ群より筋力やバランス,歩行能力で有意に低値を示した。これらより,身体機能の低下を反映する肥満区分としてBMI より体脂肪率35%が指標になることが示唆された。

  • 末永 拓也, 釜﨑 大志郎, 松本 雄次, 宮副 孝茂, 松永 成美, 大田尾 浩
    原稿種別: 原著
    2025 年 14 巻 3 号 p. 131-136
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    [目的]慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の吸気筋力は栄養状態との関係が報告されている。栄養状態は多角的に評価することが望ましい。臨床で使用されている簡易栄養状態評価(mini nutritional assessment-short form:MNA-SF) で栄養状態を評価しCOPD 患者の最大吸気口腔内圧(maximal inspiratory pressure:MIP)との関係を調査した。[対象]COPD 患者90名(平均年齢75± 9 歳,男性84%)とした。[方法]吸気筋力はMIP を,栄養状態はMNA-SF を評価した。MIP を従属変数,MNA-SF,m MRC,努力性肺活量,% 1 秒量,年齢,性別を独立変数とした重回帰分析を行った。[結果]MIP とMNA-SF[β:0.25,p=0.002 ]との間に関係がみられた。[結論]COPD 患者のMIP にはMNA-SF が関係することが明らかになった。

短報
  • パイロットスタディ
    合田 明生, 兒玉 隆之, 田畑 研太, 上田 龍也, 宮地 諒, 西村 卓朗, 辻 徳生
    原稿種別: 短報
    2025 年 14 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,手指屈伸補助装置を使用した動作時の脳波を解析し,動作適応に関連する指標を検討することである。対象は健常若年成人男性8名(年齢22 . 0±6. 2歳)とした。対象者は右手に補助装置を装着し,補助条件と能動条件の2条件下で右手指屈伸動作を実施した。解析では,左前頭前野(F7)と左一次運動野(C3)に該当するチャンネルにおける周波数成分解析およびチャンネル間のコヒーレンス解析を実施した。解析の結果,補助条件においてF7とC3の間でβ帯域のコヒーレンス値が有意に増加した(p<0. 05)。また,能動条件では,F7のβ / θ比とコヒーレンス値の間に有意な負の相関が認められた(p<0. 05)。以上の結果から,手指屈伸補助装置を使用した動作では,初期の適応段階で関連する脳領域間の機能的連結性が増加し,動作が自動化されるにつれてその連結性が減少する可能性が示唆された。

活動報告
  • 宮崎 直人, 安彦 鉄平, 初瀬川 弘樹, 深田 光穂
    原稿種別: 活動報告
    2025 年 14 巻 3 号 p. 145-150
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    回復期リハビリテーション病棟のセラピストは,住宅改修を提案する際,家屋調査前に情報収集をするが,収集すべき具体的情報は明確ではない。本研究の目的は,家屋調査を実施する前に収集すべき重要な評価項目を特定することとした。調査項目は理学療法士3 名を2 班,計6 名で行ったブレインストーミングにて抽出した。抽出した項目に対して,当院に在籍する11名のセラピストにデルファイ法と11段階のリッカート尺度を用いて重要度の調査を実施した。調査の結果,家屋調査を実施する前の重要な項目は,「自宅内生活を具体的に予測するための情報」や「介護保険制度上,住宅改修が可能か」「家族や本人の合意があるか」であることが示唆された。

  • 野中 嘉代子, 菊地 雄貴, 田中 真一, 松本 典久, 澤田 誠, 久保 温子, 村田 伸
    2025 年 14 巻 3 号 p. 151-156
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス

    目的: 本研究の目的は, 地域在住高齢者の中枢性感作関連症状(Central Sensitization-related Symptoms:CSS)とヘルスリテラシー(Health Literacy:HL)および運動機能との関連を明らかにすることである。方法:地域在住高齢者211 名を対象に,Central Sensitization Inventory-9(CSI-9),Communicative Critical Health Literacy (CCHL),運動機能評価として30秒椅子立ち上がりテスト,長座体前屈距離,開眼片足立ち保持時間, Timed Up & Go Test,歩行速度を測定した。統計処理は,各測定項目間の相関分析,およびCSI-9を従属変数,相関分析で有意な相関を認めた項目を独立変数として重回帰分析を実施した。結果:CSI-9を従属変数とした重回帰分析の結果,CSS の重症度に関連する因子として,CCHL と教育歴が抽出された。結論:HL が低く,教育歴が短い高齢者は,CSI-9のスコアが高いことが示唆された。このことから,HL が低く,教育歴が短い高齢者は,自身の健康に関心を持ち知識を高め,自己管理する力を身に付けていくことでCSS の改善に繋がる可能性が示された。

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