配送センターと消費地から成る広域的な物資の在庫・輸送の計画を扱う物流システムに対する新しいモデルとそのための解法について検討している.すなわち, 消費地の需要量が定常で既知の確率分布をもつ確率変数であり, また, 消費地の配送センターへの割り当てを固定しない場合について, 在庫管理と輸送を同時に考える統合的問題を取り扱い, 在庫保管費用, 品切費用および輸送費用の総和の期待値を最小にする最適化問題として定式化している.その決定変数は各配送センターの在庫補充水準と輸送量である.本研究では, 解法として, 費用の計算のためにシミュレーションおよび線形計画法を用いる方法を展開し, また, 最適な在庫補充水準を決定するための探索法を独自に開発している.遺伝アルゴリズムによる探索法も試み, 比較検討を行っている.数値計算例ならびに数値計算実験によって, 本研究で考慮しているモデルの意義を明確にするとともに, 提案する計算手順・探索法の有効性を示している.
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