日本経営工学会論文誌
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65 巻, 3 号
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巻頭言
原著論文(理論・技術)
  • 古賀 裕之, 谷口 忠大
    2014 年 65 巻 3 号 p. 144-156
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    本稿では話し合いにおいて,参加者の自由な発話タイミングを阻害することなく,均等な発話を促すことのできるコミュニケーション場のメカニズムとして発話権取引を提案する.発話権取引では参加者に等しい数の発話権が与えられ,これを自由に行使することで参加者は話し合いに参画することができ,また,発話権は自由に融通しあう事ができる.このメカニズムの特徴を実験に基づいて検討した.また,経済学的な考察を与えた上で,付加的な要素として発話振興券を導入し,その導入効果を実験に基づき評価した.発話権取引は,話し合いにおいて誰かが司会を行う負担を減らし,また,意思表示や理由に関する発言数を増やすことが分かった.
  • 赤池 勇磨, 谷口 忠大
    2014 年 65 巻 3 号 p. 157-167
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    ビブリオバトルにおける発表制限時間は5分と定められている.その発表制限時間は長すぎず短すぎないものとして経験的に定められたものであり,その妥当性が実証的に確かめられたことはない.本稿では異なる発表制限時間がビブリオバトルでの書評者の発話にどのような影響を与えるかについて検証する.また,参加者への感性アンケート調査を行うことで,発表制限時間の変化がもたらす感性的な影響を調査する.本実験の結果,3, 5, 7分の発表制限時間の違いにはほとんど全ての項目で有意な差は生まれなかったが,1, 10分という時間では発表制限時間の長さの感じ方や,視聴者が書評者の意図を理解できるかといった項目で有意な差が観察された.
  • 西野 成昭, 奥田 啓介
    2014 年 65 巻 3 号 p. 168-179
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    本研究は,製造業における会員型サービスの枠組みをゲーム理論を用いてモデル化し,実験経済学の手法に基づく被験者実験とマルチエージェントシミュレーションを組み合わせたアプローチで,そのメカニズムについて分析を行っている.近年,製造業は過酷な価格競争,製品ライフサイクル短縮化,コモディティ化などの問題に直面し,製造業のサービス化の重要性が増している.その中でも,会員型の枠組みで製品サービスシステムとして提供するという考え方が着目されており,例えば,カーシェアリングなどがその典型例である.このような背景をもとに,本研究は製造業のサービス化戦略への示唆を与えることを念頭に製造業会員型サービスのモデル化を行っている.分析の比較対象として,従来の製品販売,製造業の非会員型サービスのモデルを加えて構築した.まず,均衡分析によってその理論的構造の違いを明らかにし,次いで被験者実験により,各モデルでの実験結果から行動ルールを抽出し,それを実装したエージェントからなるマルチエージェントシミュレーションを実施した.結果として,必ずしも合理的では無いエージェントからなる場合でも,理論解が示す基本的な性質が示された.具体的には,製品の生産コストが高い場合は,特に生産者が会員型サービスを行うことで収益を大きくできることを明らかにした.
  • 齊藤 史哲
    2014 年 65 巻 3 号 p. 180-190
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    近年,ユーザーレビューとして顧客の声がWebを通じて,テキスト形式で容易に収集可能になってきている.これに伴い,レビュー文のデータから知識を抽出し,自社製品やサービスの向上・改善に反映させるテキストマイニングに対するニーズが高まっている.この知識抽出においては,レビューの分布を低次元空間にマッピングして可視化することが有効である.テキストデータを単語頻度ベクトルなどとして,低次元空間への写像を求める際には,主成分分析やコレスポンデンス分析などが用いられるが,テキストデータが大規模疎で多クラスなうえに,非線形性や多重共線性を持つ状況下では多量の情報を切り捨てて表現することになってしまう.そこで,本研究では多くのテキストデータの可視化において高い成果を収めている自己組織化マップを用いてユーザレビュー文のテキストデータの分布を可視化する方法を提案する.本論文では,自己組織化マップをユーザレビューに応用する際に,大規模疎行列を小規模密行列に変換する方法として,確率的潜在意味解析を用いることを提案した.さらに,評価値の分布を各ノードに対応付ける計算方法を提案した.これにより,製品やレビュー文間の評価値の関係性を視覚的に把握することができることを,ECサイトにおけるレビュー文を用いて確認した.
  • 須藤 秀紹, オールマン ルディガー
    2014 年 65 巻 3 号 p. 191-200
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    クロスロードゲームは,ジレンマ状況における判断の多様性について学ぶカードゲームである.本研究では,このクロスロードゲームに基づいて,大学などの演習におけるチームワークの向上を目的としたソーシャルゲームを提案する.プレイヤーは,順に提示される設問に対してyesもしくはnoで回答する.そして多数派となったものが得点を得ることができる.つまり自分自身の意見を主張するのではなく,他者の考えを予想することが高得点に繋がる.このことによって,問題に対する多様な考え方に気づく機会をもつことになり,これがチームワークの向上に繋がると期待できる.
  • 三木 賢太郎, 安瀬 美知子, 水山 元
    2014 年 65 巻 3 号 p. 201-210
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    プロジェクトの適切なリスクマネジメントのためには,まず,プロジェクトの成否に影響を及ぼし得るリスク事象を,できる限り網羅的に列挙することが望まれる.本論文では,このリスク事象を列挙していくタスクを支援するための発散デルファイ法を提案する.この手法は,デルファイ法の各ラウンド終了後に,それまでに提起されたアイデアを集計し,それらを各参加者に空間的にフィードバックすることによって,発散的な発想を促進し,得られるアイデアの網羅性を向上させるものである.被験者実験の結果,リスク事象の発想数,網羅性,質などの点で,提案手法の有効性が確認された.
原著論文(事例研究)
  • —知の生成をうながすゲーミング・インタラクションに注目して—
    日比野 愛子, 江間 有沙, 上田 昌文, 菱山 玲子
    2014 年 65 巻 3 号 p. 211-218
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    集団でのコミュニケーションや学習プロセスに寄与するツールとして,ゲーミング手法が注目を集めている.筆者らは,生活習慣(病)を題材にした対面型交渉ゲームの開発実践を進めてきた.当ゲームは,仕事と健康のジレンマ状況をめぐって,複数のプレイヤー同士が不健康行動への誘惑と交渉のコミュニケーションを展開する.本稿では,事例のレビューを通じて,他のコミュニケーション場やゲーミングとは異なる,当生活習慣病対策ゲームの特徴を明らかにする.その上で,インタラクションの構造が異なる2種類のゲームの設計と質問紙調査を通じ,ゲーミングにおけるインタラクションの型がどのように知の生成に影響するのかを明らかにする.
  • —集合知メカニズムを活性化する方策と有効性—
    熊坂 治, 鈴木 定省
    2014 年 65 巻 3 号 p. 219-226
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    知識データを有効活用するために,対象分野の情報を体系的に集約したポータルサイトが普及している.これを効果的に機能させるためには,検索や参照を経由したユーザーからのアクセスを活性化することが重要である.本研究では,経営工学的情報提供を企図したポータルサイト「ものづくり革新ナビ」を事例として,サイトへのアクセス数に影響する要因を検証することで,集合知メカニズムを活性化するための指針を得ることを目的とする.事例調査の結果,サイト内におけるコンテンツ数の増加や,Facebook,メールマガジンによる情報発信がサイトへのアクセス数増加に結びついていることが検証された.またいずれの方策においても,コンテンツ内容が訪問者に有用であることの重要性が示唆されている.
  • 江上 慎, 依田 哲也, 伊藤 義武
    2014 年 65 巻 3 号 p. 227-237
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    企業において「従業員のコラボレーション」と「組織の生産性」の関係を明らかにすることは非常に重要な課題である.本稿では,従業員のコラボレーションを促進すると共に,業務遂行状況や生産性を計測することが出来る「配信機能を持った掲示板付き社内Wikiシステム」を日常業務の支援ツールとして考案し導入した.システムログから得られる「コラボレーション・ネットワーク」の構造分析により,そのネットワークの平均経路長と生産性が非常に強い相関関係を持つことを定量的に示し,また,システム導入効果として生産性を2 倍に向上させた実績を示す.これらの分析結果を踏まえ,従業員の業務スタイルや組織運営について考察する.
  • 高島 健太郎, 妹尾 大
    2014 年 65 巻 3 号 p. 238-247
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    今日,知的生産性を向上させるオフィス環境への注目が高まり,ワーカー間のインタラクションを促す情報システムが多数提案されている.本研究ではワーカーの状況を示す「アウェアネス(存在感・臨場感)情報」に注目し,オフィスに存在する動的なコンテクストの存在感を「場のアウェアネス情報」として提案する.分散オフィス間のインタラクションを支援するため,互いのオフィスのコンテクストを漫画表現を用いたストーリーの様式で伝達し合うシステムを構築した.実験を行い,様々なコンテクストが伝達されたことを確認し,またシステムの改善点を得た.さらに連帯感および相互の興味と理解を向上させる効果があることが示唆された.
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