日本経営工学会論文誌
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66 巻, 4 号
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原著論文(調査研究)
  • 石橋 貞人
    2016 年66 巻4 号 p. 309-316
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    本研究では,職務特性が組織市民行動に及ぼす影響について職務満足を媒介変数とした直接・間接および総合効果を構造方程式モデルで表現し,832人の回答者のデータから定量的に分析・検証した.結果として,仮説モデルは支持されたことから,職務特性と組織市民行動の関係は,職務満足を醸成するような職務特性を踏まえた職務設計をすることにより,職務満足を高め,そのことによって組織市民行動を促すという間接効果よりも,本研究で使用した「タスク重要性」「フィードバック」「自律性」といった職務特性を持つよう職務設計をすることにより,職務満足も高まり,また組織市民行動を促すこともできることが確認できた.
  • 早川 知道, 伊美 裕麻, 伊藤 孝行
    2016 年66 巻4 号 p. 317-326
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    日本のOpenStreetMap(OSM) は活発な活動により多くの成果物が作成されているが, 持続可能なコミュニティとなり多くの社会活動に成果物を活用するためには, 様々な課題がある. 本稿では, 日本のOSMの現状分析を行い, 今後の課題を明確にし, 日本のコミュニティに問題提起するための検証をした. 最初に, 成果物数と貢献者数について日本とOSM先進地域で比較調査分析し, 日本のOSMの現状と課題を明確にした. 次に, OSMの品質の要素である, 成果物の粒度について調査した. 調査の結果, 貢献者をいかに定着させるか, さらには, 新たな貢献者をいかに増やすのか, が日本のOSMコミュニティの課題となった.
原著論文(理論・技術)
  • 坂本 隆, 由良 憲二
    2016 年66 巻4 号 p. 327-334
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    現在の家庭や企業の中では,消費者のニーズに合った新しい電子機器が使われている.これらの新製品は,時間が経つと開発競争の中で陳腐化し,より機能が高く安い製品にとって代わられる.新技術や新製品のライフサイクルは,4つの期間に分かれており,導入,成長,成熟,衰退と名付けられている.製品市場の衰退は製造企業の関心事で,新製品が顧客に売れる期間の把握や次世代製品の発売時期の判断など,経営分析に関係するものである.本研究では,製品市場の衰退現象を分析するにあたって活用可能な新規なモデルや分析方法を提案する.衰退現象の裏には技術進歩があり,携帯電話から誕生したスマートフォンのように1つの電子機器のジャンルを超えた複数のジャンルにおける機能を統合化した製品への移行が行われつつある.そこで,このような単機能から多機能統合化製品への移行現象に焦点を当て,具体的な電子機器について現存機種の衰退量と新機種の成長量との回帰分析を行う.回帰分析後に得られる出荷数衰退量を定義する式を評価し,その衰退分析の応用の可能性を示す.
  • 三川 健太, 後藤 正幸
    2016 年66 巻4 号 p. 335-347
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    入力データの統計的特徴を考慮した距離計量を学習するための手法としてDistance Metric Learnig(以下,計量距離学習)が提案されている.計量距離学習では,適切な制約条件のもとで,繰り返し法による最適化問題を解くことにより最適な計量行列を学習する.しかしながら,一般的な計量距離学習手法では繰り返し毎に固有値分解を行うアルゴリズムを採用していることが多く,学習データの次元数が増加した場合には計算量が大幅に増加し,現実的な時間で最適解を得ることが難しい.また,これらの手法では学習データ全体に対し唯一の計量行列の存在を仮定しているため,学習データの統計的特徴を考慮することが難しいという問題点も存在している.これらの問題点を改善するため,本研究ではカテゴリ毎に複数の計量行列の存在を仮定し,その学習方法について提案を行う.各カテゴリの計量行列導出時にはカテゴリ間の特徴の差異を考慮した定式化を行うとともに繰り返し法を用いずに最適解を得る方法についても述べる.提案手法により得られた計量行列は各カテゴリの統計的特徴を保持していると考えられるため,これらの情報を活用したデータの分類方法についても提案を行う.提案手法の有効性を,低次元密なデータセット,ならびに高次元スパースなデータセットを用いることで示す.
原著論文(事例研究)
  • —時間割編成を例に
    柿本 陽平, 高橋 弘毅, 島川 陽一
    2016 年66 巻4 号 p. 348-354
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    本稿では,時間割編成問題を制約充足問題として定式化し,単体法を用いて厳密解を求める.その結果から制約がどのように解に影響を与えるのか検証する.具体的には時間割編成において除外しても実行可能な解に影響のない制約条件を除き,計算時間や単体法の反復回数を基準として問題を難しくしている可能性のある制約を見つけ出す.得られた結果から2時限連続で行う科目や1日に同じ科目を行える回数を制限する制約といった科目の配置に影響を与える制約が問題を実行不可能にしていることがわかった.そこで,問題が実行不可能となるような制約を導入するために,制約の違反を許しその違反の量を目的関数により最小化する方法を提案する.
  • 堀川 三好, 竹野 健夫, 菅原 光政
    2016 年66 巻4 号 p. 355-362
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    本研究は,農水産物流通の中でも近年急速に市場規模を伸ばしている農産物産地直売所を対象に,VMI(Vender Managed Inventory)を拡張した在庫管理方式を提案し,適用した事例について報告する.外部環境による影響が大きく,需給バランスの調整が難しい生鮮品を取り扱う販売物流においては,販売側が供給側の全体統制を行いながら供給側が主な意思決定を行うVMIを導入することによる利点は大きい.本研究では,農産物産地直売所を対象に導入したVMIの概要,情報システムの運用状況や効果について報告することで,生鮮品を取り扱う販売物流においてVMIを導入する際の指針を示している.
  • ― H型集材方式の特性解析と改善 ―
    小谷 重徳
    2016 年66 巻4 号 p. 363-371
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/16
    ジャーナル フリー
    林業の再生・発展のために国はいろいろな施策を推進してきたが,林業における生産性の低さ,輸入材の増加,木材価格の低下,需要の低迷などから林業は衰退の道を辿ってきた.今日,成長した木を伐採して市場に出荷しても補助金なしには利益がでにくい状況である.そこで,木の伐採から市場に出荷(搬出作業)するまでの費用を大幅に削減すること目指して研究に取り組んできた.本研究は,伐採した木を作業場に集める作業方法の1つであるH型集材方式を取り上げ,作業場の設置場所に関する特性解析を行い,作業場の設置場所やその数を検討する際の判断資料を提供する.また,H型集材方式の作業方法の問題点を指摘し,労働生産性が2.6倍になる改善案を提案する.改善には林業機械の改良が必要であるが,技術的には可能であることを製造会社に確認している.本改善は他の集材方式への波及効果が期待されるので,林業の生産性アップが叫ばれている昨今であり,改善案を早期に実現することが今後の課題である.
研究速報
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