これまでpn管理図やp管理図に対する経済設計法に関して, さまざまな研究がなされている.とりわけ, Collaniらにより提案された計数値管理図に対する経済設計法は扱いが簡単で, 理解がしやすい.ところで, 最近, 高品質工程で不良率の変化を管理するのに, 不良品r個が観測されるまでの累積検査品数を品質特性とするCCC(Cumulative Count of Conforming)-r管理図が提案されている.ただ, CCC-r管理図には観測不良個数rを大きくとれば, 工程安定状態からの大きい方向への工程不良率の変化が小さい場合の検出特性は向上するが, 逆に品質特性値を得るのに必要な観測値の数が増え, そのため管理図への打点を得るのにかなりの費用を要するというトレードオフの関係がある.そこで, 本論文ではCollaniらにより提案された計数値管理図の経済設計法をもとに, 高品質工程用CCC-r管理図につき, 経済性の観点から観測不良個数rおよびサンプリング間隔と管理限界の最適設計法を提案する.併せて本論文で提案した高品質工程用CCC-r管理図の経済設計法を用いて, 実際に前提条件を与えた場合の, 観測不良個数rおよびサンプリング間隔hと管理限界LCLの最適設計値を数値検証するとともに, 設計値を固定したいくつかのCCC-r管理図に対して, 工程期待利益の比較を通して提案法の有効性を比較検討する.
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