消費者行動の研究では, 知覚価格を説明するために参照価格をはじめ様々な価格概念が提唱されており, その分析に多項ロジット・モデルが幅広く適用されている.一方, ゲーム理論を用いた競争戦略の研究においても同様に知覚価格が考慮され, 多項ロジット・モデルが適用されている.しかし, これらのモデルはいずれも消費者効用を製品価格に関して一次の関数としているため, 参照価格, 留保価格以外の概念で知覚価格を取り扱うことは困難である.本研究では, 効用関数を製品価格に対して非線形な関数とすることにより知覚価格を捉え, そのときの価格決定を支援するモデルを提案する.はじめにNash均衡解が複数個存在することを想定して, Nash均衡解の極値条件を満たす局所的な均衡解の比較静学分析を行なう.次に企業数を2に限定して, Nash均衡解が一意に定まる条件について考察する.最後に小規模なサンプルを用いた数値実験を行なう.なお, 本研究では製品価格に関する効用関数の曲率により知覚価格の特徴を解釈する.
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