本研究の目的は,国際疾病分類を用いた傷病名分類作業の作業手順の枠組みの構築である.国際疾病分類は,WHOが作成した傷病と医療保健サービスの分類体系である.本邦では,疫学調査や医療保険をはじめ,臨床研究の基礎データとして利活用が広がっている.これらの利用は,その分類作業が分類者や分類環境に依存せず,常に適切に実行されることを前提とする. WHOは,加盟国で分類作業が適正に行われるよう,分類作業のガイドラインを示しているが,作業手順として十分な記述がなされているかの検証は行われてこなかった.本研究は,WHOのガイドラインの改善点を明らかにし,分類作業の作業手順の新たな枠組みを構築した.
再購入率を高めることは,企業の効率的な利益に貢献する.したがって,その要因を特定し,効果的に投資することが重要である.しかし,多様な企業活動や顧客との接点を横断的に評価した事例は少ない.本研究では,自動車業界の企業・商品・販売会社の観点から,再購入意向に寄与する要因を共分散構造分析で評価した.その結果,販社スタッフの魅力が最も効果的であり,次いで商品の魅力,企業ブランドイメージが寄与することが明らかになった.企業において,プロジェクト数が増大し,大きな負担になるケースが散見される.各部門から上がってきたプロジェクト計画の優先順位を全社的な視点で概算的に判断できる基準を持つことは有益である.
複数の作業場を持つ工場の生産性を上げるためには,効率的なレイアウトの作成は非常に重要である.レイアウト問題について研究した論文は数多く存在するが,消防法に基づく危険物を取り扱う工場についてのレイアウト問題は少ない.それらの中でも消防法で定められる保有空地について取り上げた研究はない.そこで,本研究では消防法に基づく危険物を取り扱う工場の保有空地を考慮したレイアウト問題を提案する.また,危険物の貯蔵所は屋内と屋外の2種類の貯蔵所に分類され,その選択により保有空地の長さが変化する.そこで,本研究ではその選択に伴う保有空地の変化も組み込んだレイアウト問題の最適化を実現する.
種まき方式は顧客の注文に基づき,保管されている商品を取り出し,顧客毎に出荷する作業方法の1つである.従来,種まき方式における仕分け作業では,作業者は商品を1種類ずつ梱包容器に仕分けていた.そのため仕分け作業に対して歩行時間が長くなるという課題があった.本研究ではアパレル物流センターを対象に,複数種類の商品をまとめて仕分けする仕分け作業方法を提案する.まとめて仕分けすることで歩行時間は短くなるが複数の商品から選ぶという選択時間が長くなる.この関係下で,メイクスパンと,歩行時間やブロッキングなどの総作業時間への影響を明らかにし,状況や目的に合わせて仕分け作業を選択する必要があることを示す.