本研究では分散配置と呼ばれる配置方法について取り上げた.この配置方法は同一の商品を複数か所に分散させることでより多くの種類の商品が近くに配置されることになり,少量かつ多種類の注文が入ってきた際,ピッキングにかかる歩行距離を減らす効果がある.一方で複数か所に配置されているが故にそれぞれの商品をどのように配置すれば良いのか,実際にピッキングする際にどこからピッキングを行えば良いのかがわかりにくく,まとめて配置する従来の方法と比べて問題が複雑になっている.そこで本研究では分散配置方法における商品配置問題およびルーティング問題を同時に考慮し,ピッキングにかかる総歩行距離を最小化するための解法の提案を行った.
混合品種組立ラインの各ステーションの作業量が均等化するようにタスクをステーションに割り当てる際に,任意の1つのタスクの処理を隣接するステーション間で分数の割合で分担できる環境に着目した.品種によって処理時間が異なりうるため,処理完了のタイミングのずれを吸収するバッファの配置に加え,組み立てる品種の順序の決定も重要となる.そこで,タスクのステーションへの割り当て,バッファの配置ならびに組み立てスケジュールを決定する混合整数計画モデルを構築した.2品種ならびに5品種問題に適用したところ,サイクルタイムよりも長い処理時間のタスクを含む品種の需要割合が高い状況で分数割当が有効であることが確認された.
本研究では2路線サプライチェーンに対する新たな在庫管理方針を提案する.2路線サプライチェーンにおいては,小売チャネルとWebを介した直接チャネルが存在する.従来研究では,生産と配送の開始及び停止させる切り替え点を用いた2路線サプライチェーンに対する新たな在庫管理方針を提案した.しかし,切り替えに線形関数を用いることで在庫費や売上損失を減らすことができると期待される.従って,本研究では,2路線サプライチェーンに対する線形関数を用いた在庫管理方針を提案し,数値実験より従来研究の在庫管理方針と比較することによって有効性を示す.