北海道への台湾人観光客が急増している状況を受け, 北海道の温泉宿泊施設は台湾人観光客を新たな顧客として経営資源を投入してきた.新たな顧客の行動や意識を把握して, それに合った計画を策定することは経営者の重要な課題である.そこで, 本論文では, 台湾人観光客の行動や意識を理解し, 彼らが期待するサービス要素を明らかにすることを目的として, 一対比較法を中心とする質問票調査を2001年秋に行った.期待度や重要度に関する質問法として従来からよく用いられている方法は評定尺度法である.しかしながら, 評定尺度法により得られた回答を用いて分析する際には, いくつかの問題点が生じることがある.例えば, 各項目における回答に明確な順序がつかない場合や, 回答の分布が対称分布にならない場合などが挙げられる.これらの問題を解決するため, 本論文では, 各項目を直接比較する一対比較法を用いて期待度を測定する.そして, 調査結果から計算したウエイトを分析に用いる.ウエイトは比率尺度であるため, 分散分析等を実施することが可能となる.分散分析やクラスター分析の結果, 台湾人観光客は無形的サービスより有形的サービスを重視することがわかった.
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