多期間在庫配送計画問題(MPIRP)はIRP(Inventory Routing Problem)を拡張したものであり,配送日,配送量,および配送順番が決定変数となる.配送日および配送量が決まれば配送順番の決定問題は既存のTSPまたはVRP手法を用いて解くことができるが,配送計画を考慮せずに配送日と配送量を決定すると,ある特定の日に配送量が集中して実行不可能になる可能性がある.逆に配送順番を決定するときに小売店の在庫を考慮しないと,配送コストを最小にすることはできても在庫コストが高くなる可能性がある.本研究では配送日および配送量を決める多期間在庫計画問題と配送日および配送順番を決める多期間配送計画問題を統合し,1つのデポがM個の小売店に在庫の補充を行う問題について定式化を行うとともに,配送間隔を一定にすることで原問題を簡約し,近似解法を提案した.具体的には,各小売店の計画期間における在庫コストが最小になるように代替可能な配送パターンを生成し,計画期間中の輸送コストが最小になるように配送パターンの組合せを選択することで,在庫コストおよび配送コストの合計コストを最小にする配送回数および配送パターンを決定するアルゴリズムを提案する.提案モデルの有効性を検証するために数値実験を行い,既存法と比較した結果,配送回数を固定している既存法に比べて平均10%以上のコスト削減を実現し,提案法の有効性を示した.
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