硫黄分を含有するライトナフサの異性化反応を金属/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3触媒を用いて行い,EPMA(Electron Probe Micro Analysis)による金属濃度分布から耐硫黄性の発現について検討した。
Pt/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3触媒の異性化活性は原料中に硫黄分が存在すると時間とともに直線的に低下するが,Pdを担持したPt/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3触媒は,高濃度の硫黄分を含有するライトナフサの異性化反応でも安定して高い異性化活性を示すことが分かった。EPMAによる金属濃度分布の結果から,この触媒はPdが選択的にAl
2O
3粒子に担持されたハイブリッド構造(Pt/SO
42−/ZrO
2-Pd/Al
2O
3)を形成しており,高い耐硫黄性は触媒中に形成されたPd/Al
2O
3粒子の脱硫機能に起因していることが分かった。さらに,Pd/Al
2O
3粒子の効果を説明する目的で,Pt/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3触媒とPd/Al
2O
3触媒とを粉砕混合した触媒の耐硫黄性についても同様の異性化試験を行った。粉砕混合した触媒でもPd担持Pt/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3触媒同様に高い耐硫黄性を示すことから,Pd/Al
2O
3粒子は脱硫機能を有すると同時にPt/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3粒子への水素供与機能も有していることが示唆された。さらに,寿命試験結果からPd担持Pt/SO
42−/ZrO
2-Al
2O
3触媒の耐硫黄性は長期間に渡って維持され,安定的な異性化生成油が得られることを明らかにした。
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