Journal of the Japan Petroleum Institute
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47 巻, 6 号
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総合論文
  • Patrizia Davit, Gianmario Martra, Salvatore Coluccia
    2004 年 47 巻 6 号 p. 359-376
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/01
    ジャーナル フリー
    空気および水中を汚染する有機化合物(たとえばフェノール,VOCs,アセトニトリル)の光触媒分解過程において,暗所およびUV照射下,TiO2表面で起こる現象を分子レベルで調べた一連の研究がまとめられている。分析手法として,FT-IR分光法を模擬操作条件で利用し,さらにTiO2粒子の表面構造と形態の解明に高分解能透過電子顕微鏡を用いた。得られた結果は,UV照射下における吸着/反応サイトとして表面水酸基が重要な役割を示すこと,および塩基性表面サイト(TiO2格子中の水酸基あるいは表面O2−)も表面の化学反応過程に影響を与える可能性があることを示している。
  • 大塚 潔, 竹中 壮
    2004 年 47 巻 6 号 p. 377-386
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/01
    ジャーナル フリー
    酸化鉄の水素による還元(Fe3O4 + 4H2 → 3Fe + 4H2O),それに続く金属鉄の水蒸気による酸化(3Fe + 4H2O → Fe3O4 + 4H2)を応用した純水素の貯蔵と生成を紹介した。この方法では,水素を金属鉄として化学的に貯蔵し,水を原料として水素を発生させるので,極めて安全・安価であり,燃料電池用水素の貯蔵・回収法に応用できる。また,酸化鉄のメタンによる還元(Fe3O4 + CH4 → 3Fe + CO2 + 2H2O),およびそれに続く金属鉄の水蒸気による酸化を応用したメタンからの純水素生成を紹介した。酸化鉄単味は,上記の還元・酸化によりシンタリングし,還元・酸化活性がただちに失活する。そこで,低温で還元・酸化が進行し,繰り返し使用してもシンタリングしない酸化鉄の開発を行った。酸化鉄にAl,Cr,Moなどの金属イオンを添加するとシンタリングが抑制され,繰り返し水素を生成することができた。また,Ni,Cu,あるいはRhを酸化鉄に添加することで,より低温で還元・酸化が効率よく進行した。
一般論文
  • 小俣 光司, 貫井 紀利, 堀田井 孝弘, 尚和 義人, 山田 宗慶
    2004 年 47 巻 6 号 p. 387-393
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/01
    ジャーナル フリー
    メタンのドライリフォーミング反応は温暖化ガスを合成ガスへ転換する反応として注目されるが,高圧における炭素析出の抑制が課題となっている。高活性低炭素析出のCo-MgO触媒が得られるクエン酸調製法の調製条件を実験計画法,人工ニューラルネットワーク(ANN),グリッドサーチにより探索した。コバルト含有量,クエン酸量,焼成温度,成型圧力をL9直交表により設定し,9種類の触媒を調製し,高圧固定床流通式反応装置により活性と炭素析出量を測定した。その結果をANNで学習してグリッドサーチによりANN中の最適点を得た。さらに,高活性低炭素析出の触媒が得られたことを実験的に検証した。これら三つの手法の組合せにより触媒の迅速な改良が可能となった。
  • 金 英傑, 浅岡 佐知夫, 黎 暁紅, 朝見 賢二, 藤元 薫
    2004 年 47 巻 6 号 p. 394-402
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/01
    ジャーナル フリー
    ゼオライト触媒を用いてメタノールおよび/ないしジメチルエーテル(DME)を原料とした液化石油ガス(LPG)合成を試みた。ゼオライトの中でMFI構造を有するH-ZSM-5が,選択的LPG合成に最も利用可能性の高いゼオライトであることが明らかとなった。また,H-ZSM-5のSiO2/Al2O3比のメタノールないしDME転化に対する影響を検討した結果,この比の値がメタノールでは約50のとき,DMEでは約90のときに最高の転化率を示すことが分かった。しかしながら,LPG成分への選択性は,どちらの原料のときもSiO2/Al2O3比が増すと向上した。さらに本研究では,選定したH-ZSM-5触媒を用いて,触媒性能と動力学的因子の関係をメタノール転化の場合について検討した。ガス空時速度と反応温度および原料分圧を変えて検討した結果,C3-C4炭化水素生成に対する最適の運転条件は,20,000~30,000 h−1,400℃,システム圧約120 kPaのとき約45 kPaであることが明らかとなった。メタノール,DMEあるいはこれらの混合物,いずれから出発しても,LPG成分炭化水素へ選択的に転化させることができた。また,希釈ガスとして窒素の代わりに部分的に水蒸気を用いたときにはDME転化率は減少した。
ノート
  • 古島 健, 清水 康嗣, 伊東 章
    2004 年 47 巻 6 号 p. 403-405
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/01/01
    ジャーナル フリー
    トリエチレングリコール(TEG)とゼオライト粒子を混合して除湿膜として応用する方法を検討した。この膜は製膜の容易さと耐久性に利点がある。TEGに3A,5Aなど種々のゼオライト粒子(粒径2~3 μm)を40~60 wt% 混入して,疎水性多孔質膜上に塗布して膜とした。これを平膜セルに設置し,透過側を真空にした透過操作により,空気からの除湿性能を検討した。空気の透過を抑えるためには膜の厚みが300 μm以上であることが必要であった。ゼオライト混入TEG膜の除湿性能はトリエチレングリコール液体膜と同程度の良好なものであった。実験結果よりゼオライト3A 60 wt% 混入TEG液体膜の水蒸気/空気分離係数は約25と推算された。比較のため行った細孔のないシリカ微粒子混合膜の結果と併せて,ゼオライト混入TEG膜の除湿性能にはゼオライト内の細孔による水蒸気の吸着とTEGによる水蒸気吸着がともに関与していると考えられる。
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