ゼオライト触媒を用いてメタノールおよび/ないしジメチルエーテル(DME)を原料とした液化石油ガス(LPG)合成を試みた。ゼオライトの中でMFI構造を有するH-ZSM-5が,選択的LPG合成に最も利用可能性の高いゼオライトであることが明らかとなった。また,H-ZSM-5のSiO
2/Al
2O
3比のメタノールないしDME転化に対する影響を検討した結果,この比の値がメタノールでは約50のとき,DMEでは約90のときに最高の転化率を示すことが分かった。しかしながら,LPG成分への選択性は,どちらの原料のときもSiO
2/Al
2O
3比が増すと向上した。さらに本研究では,選定したH-ZSM-5触媒を用いて,触媒性能と動力学的因子の関係をメタノール転化の場合について検討した。ガス空時速度と反応温度および原料分圧を変えて検討した結果,C
3-C
4炭化水素生成に対する最適の運転条件は,20,000~30,000 h
−1,400℃,システム圧約120 kPaのとき約45 kPaであることが明らかとなった。メタノール,DMEあるいはこれらの混合物,いずれから出発しても,LPG成分炭化水素へ選択的に転化させることができた。また,希釈ガスとして窒素の代わりに部分的に水蒸気を用いたときにはDME転化率は減少した。
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