Journal of the Japan Petroleum Institute
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58 巻, 5 号
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総合論文
  • Franck Dumeignil, Mickaël Capron, Benjamin Katryniok, Robert Wojciesza ...
    原稿種別: Review Paper
    2015 年 58 巻 5 号 p. 257-273
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    Biomass valorization is a booming field. Especially, the valorization of platform molecules by catalytic processes has driven a large interest in the recent years, and many groups are actively working on the transformation of biosourced substrates to a variety of upgraded chemicals. In this context, in the present paper we put in perspectives the scientific works of our research team. We first classified catalytic transformations of industrial interest according to the number of carbons of the starting material, from C1 to C6. They involve, among others, acid catalysts (e.g., for glycerol dehydration), redox catalysts (e.g., for 5-HMF conversion to diformylfuran), acid and redox catalysts (e.g., for direct acetalization of alcohols), or complex multifunctional catalysts, especially for the Guerbet reaction. Further, we also developed what we called ‘toolboxes,’ which are general concepts or technologies with a broader field of applications. For example, we adapted the two zones fluidized bed reactor (TZFBR) concept to the single reactor continuous regeneration of coking catalysts. Further, we designed a completely new high throughput platform enabling synthetizing, characterizing and testing the performances of many catalysts for considerably accelerating the catalysts discovery/optimization loop.
  • 永岡 勝俊, 佐藤 勝俊
    原稿種別: 総合論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 274-284
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    Redox能を有する担体にRhを担持した触媒を用いることで,炭化水素の酸化改質による水素製造反応のコールドスタートプロセスの構築に成功した。このプロセスは還元した触媒の酸化により発生した熱で,触媒を常温から酸化改質の反応開始温度まで急速に加熱することで,結果的に酸化改質を常温から駆動するものである。873 Kで水素処理したRh/CeO2ではn-ブタンの酸化改質の常温駆動が可能であったが,還元態の常温での再酸化性に劣るRh/Pr6O11とRh/Tb4O7では常温駆動ができなかった。そのため,このプロセスに用いる触媒の担体には還元性はもちろんのこと,常温での酸化性が強く求められることが明らかとなった。そこで,低温での酸化還元特性に優れたCe0.5Zr0.5O2をRh触媒の担体に用いたところ,373 Kでの還元,および酸化改質の生成物である水素によるin-situ還元によって担体が還元され,熱損失の起こる非断熱条件であっても,繰り返しの常温駆動が可能となった。この新規酸化改質プロセスは新世代の自立型燃料電池の実現に寄与するものであると期待される。
一般論文
  • 坂 祐司, 千代田 範人, 渡辺 克哉
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 285-292
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    燃料油の需要構造変化および環境保全の観点から高分解活性かつオクタン価の高いガソリン留分(FCCガソリン)の製造が求められており,これまでに我々はFCC(Fluid Catalytic Cracking)装置で用いられる触媒(FCC触媒)には第一リン酸アルミニウム(Al–P)が有効であることを見出した。本論文では,Al–Pの添加による触媒安定性への影響を検討したところ,Al–Pは水蒸気雰囲気下におけるゼオライトの劣化(水熱劣化)を抑制し,ゼオライト結晶構造を安定化させることを見出した。その結果,分解活性向上効果が得られ,実際の商業FCC装置においても高分解活性を示し,さらにはオクタン価の高いガソリン留分が得られることを確認した。
  • 朝見 賢二, 小松 祐一, 小野 啓児, 長谷川 毅, 村上 弥生, 谷 春樹, 藤元 薫
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 293-301
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    各種の植物油脂類からの脱炭酸反応による新しい炭化水素混合物バイオ燃料の製造について,固定床反応器を用いて検討した。固定床反応器でも廃食油,ヤトロファ油,ダーク油,パーム油など種々の原料油でスムーズに反応を行うことができ,ディーゼル留分の炭化水素を主体とする分解油が得られた。従来の撹拌槽型反応器と比べてC21以上の成分が多く,これは重質な生成物が軽質な炭化水素へ分解を受ける前に触媒層から流出するためと考えられる。用いる触媒としては,MgO/SiO2触媒が有効であり,活性炭担持触媒よりも酸価(AV)値の低い分解油を与えることが分かった。廃食油を用いて温度,原料供給速度の影響を調べ,最適化を行った結果,固定床反応器では450 °C,LHSV=0.3 h−1であることが分かった。触媒はLHSV=0.3 h−1の条件下で24 h程度の連続使用が可能であったが,その後はコーク析出による活性劣化,特にAV値の上昇が観測された。しかし,簡便な空気焼成処理により,活性を回復させることができた。
  • 石原 篤, 今西 健太, 橋本 忠範, 那須 弘行
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 302-311
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    水溶性の芳香族化合物を含む廃水のモデルとしてフェノールの水溶液(フェノール水)を用い,亜臨界水状態条件で水熱ガス化反応処理することで燃料ガスを製造した。金属アルコキシドとPEGを組み合わせることで触媒担体に炭素骨格と金属酸化物を同時に導入し,新規金属酸化物─炭素複合担体担持Ni触媒を調製した。金属アルコキシドの種類を変えることにより担体の活性および安定性に及ぼす影響を検討し,フェノール水にメチオニンを加えることによる触媒への被毒効果を調べた。水熱ガス化反応は,固定床流通式反応装置を用いて350 ℃,20 MPa, LHSV 48 h−1,反応溶液 フェノール水2 g/L の条件で行った。XRD測定より,いずれの触媒にも金属Niが見られ,シリカ(S),ジルコニア(Z),アルミナ(A)含有触媒の場合,5~7 nmのNi微粒子が生成した。反応後,チタニア(T)およびジルコニア含有触媒では大きな変化を確認することはできなかったが,シリカ含有触媒では反応後に炭化ケイ素が,アルミナ含有触媒ではベーマイトのピークが確認された。窒素吸着測定の結果,アルミナとシリカは反応後に大きく表面積が変化したが,チタニアとジルコニアは反応後も表面積の変化は小さく,熱安定性が高いことが分かった。フェノール水の水熱ガス化反応を行った結果,チタニア,ジルコニア,アルミナ含有触媒の16N53C31T,16N11C73Z,16N53C31Zおよび16N63C21A(16N: 16 wt% Ni; 11, 53, 63C: PEG中の炭素11, 53 あるいは 63 wt%; 21, 31, 73A, Z, T: 21, 31, 73 wt% Al2O3, ZrO2 あるいは TiO2)では,時間の経過とともにフェノール転化率が100 %に達した。シリカを除いて,いずれの場合も炭素の含有量を多くすることで,相対的にNiの担持量が増えたため転化率が向上した。ジルコニアおよびアルミナ含有触媒は非常に高いガス回収率を示した。
  • 澤田 紋佳, 神田 康晴, 杉岡 正敏, 上道 芳夫
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 312-320
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    リン化ロジウム(Rh2P)の生成,分散性および水素化脱硫(HDS)活性に対するゼオライト担体の構造の影響について検討した。TPRより,リン酸種の還元温度の序列はNa-beta>NaMFI>NaMORであった。XRDの結果から,Rh2Pの生成温度の序列はリン酸種の還元しやすさの序列と一致することがわかった。また,Rh–P/NaMOR触媒のCO吸着量は他の触媒よりも著しく低かった。これらより,NaMOR担体は1次元チャネルを有する細孔構造であるため,リン酸種およびRh種が細孔内へ拡散しにくいことが示唆された。チオフェンのHDS活性の序列はNaMFI>Na-beta≫NaMORであった。TEM像から得られたRh2Pの平均粒子径はNaMOR>Na-beta ≈ NaMFIの序列であった。Na-beta上ではRh2Pの生成に高温を要したため,崩壊したbeta担体にRh2P粒子が覆われたと推測された。以上より,NaMFI上では比較的低温で分散性の良いRh2Pが生成したため,高活性を示したと考えられる。
  • 李 文泽, 张 婉莹, 石 磊, 王 玉鑫, 譚 猗生, 樊 栄剛, 椿 範立
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 321-328
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    安価な原料と簡易な方法を用いて,ゾル-ゲルの表面含浸燃焼法でCu–ZnO/SiO2およびCu–ZnO触媒を調製した。XRDとSEM の測定結果から,表面含浸燃焼法で調製されたCu–ZnO/SiO2触媒では,Cuの結晶子径もCu–ZnO粒子径も非常に小さいことが明らかになった。触媒調製の燃焼過程において,シリカ担体の共存によって,燃焼熱の吸収ならびに熱の拡散が素早く進行し,触媒調製過程の温度変動,熱変化は温和であった。Cu–ZnO/SiO2およびCu–ZnO触媒を用いて,エタノールを触媒的な溶媒とし,CO2を含む合成ガスからの低温メタノール合成を行った。反応条件は443 K,5.0 MPa,8 h とした。Cu–ZnO/SiO2触媒はCu–ZnO触媒より高い活性とメタノール選択性を示した。これは,Cu–ZnO/SiO2触媒の高い銅表面積と高分散された銅ナノ粒子によるものであると考えられる。XRD,TG-DTA,FT-IR,ラマン,SEM,BET,N2O化学吸着などのキャラクタリゼーション手法を用いて,この二つの触媒におけるシリカ有無の効果を詳細に比較した。シリカ担体の共存は,Cu–ZnO活性種の高分散を実現しただけではなく,触媒調製過程の燃焼熱をスムーズに拡散した役割も果たした。
  • 麓 恵里, 杉本 義一, 佐藤 信也, 鷹觜 利公
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 329-335
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    ジルコニアとアルミナを含む酸化鉄系触媒による重質油の接触分解を水蒸気雰囲気下で行い,水蒸気由来水素種と酸素種の生成物への添加について検討した。常圧残油の接触分解により軽質油や二酸化炭素が生成し,原料に対する水蒸気の割合が増加すると軽質脂肪族炭化水素のアルケン/アルカン比が減少して二酸化炭素の収率が増加した。モデル物質としてドデシルベンゼンの分解を行った結果,常圧残油分解と同様にアルケン/アルカン比が減少する傾向がみられ,少量の含酸素化合物が生成した。これらの結果から,水蒸気由来酸素種は重質油と反応して二酸化炭素と少量の含酸素化合物へ組み込まれる。このとき水蒸気由来水素種が生成し,軽質炭化水素へ組み込まれてアルケンの生成が抑制される。また,ジルコニアは水蒸気からの水素種生成を促進するため,触媒のジルコニア含有量が増加するとアルケン/アルカン比が減少した。
  • 麓 恵里, 佐藤 信也, 鷹觜 利公
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 336-340
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    水蒸気を用いた重質油の脱硫を検討するため,酸化鉄系触媒による常圧残油(AR)の分解を行った。水蒸気なしでのAR分解では,硫化水素がほとんど生成しないが,水蒸気供給量が増加すると,硫化水素の生成量が増加した。分解油中の硫黄濃度は原料の約半分まで減少し,触媒上には硫黄化合物が堆積した。水蒸気由来酸素種による重質油の酸化分解反応では,水蒸気から水素種が生成し,水素種の一部が触媒上で重質硫黄化合物と反応して,硫化水素,軽質硫黄化合物や炭化水素が生成した。酸素種の一部は二酸化硫黄へ供給される可能性がある。したがって,水蒸気由来水素種と酸素種による水素化および酸化によって,ARの脱硫が進行した。重質油に含まれる硫黄化合物のうち,非環状硫黄化合物よりも分解されにくい環状硫黄化合物の反応性を検討するため,ジベンゾチオフェンの分解を行った。本触媒によりジベンゾチオフェンは分解され,二酸化炭素や硫化水素が生成したことから,環状硫黄化合物が本反応により分解されることが示された。
  • 佐伯 貴紀, 大北 博宣, 角田 範義, 水嶋 生智
    原稿種別: 一般論文
    2015 年 58 巻 5 号 p. 341-350
    発行日: 2015/09/01
    公開日: 2015/11/01
    ジャーナル フリー
    エタノール水蒸気改質による水素製造における金属酸化物担体と第一遷移金属触媒の影響を検討した。CeO2担体上のNiはZrO2,SiO2,Al2O3,MgO担体上のNiよりも容易に還元され,より低温で水素を生成した。また,Ni/CeO2触媒は反応温度673 Kにおいて高い活性を維持するとともに炭素の析出を抑制した。以後,担体としてCeO2を用いることとした。Ni/CeO2と比べるとFe/CeO2やMn/CeO2は不活性であった。Co/CeO2は673 Kではわずかに活性が低かったが,873 Kでは同等の水素収率を示した。Cu/CeO2は還元されやすく,より低温で水素を生成し始めたが,炭素析出により活性は次第に低下した。したがって,Ni/CeO2は673 K での最高水素収率と長時間安定性を有する最良の組み合わせであると結論した。
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