Journal of the Japan Petroleum Institute
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45 巻, 2 号
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  • 池田 昭夫
    2002 年 45 巻 2 号 p. 55-69
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    鉄鋼の炭酸ガス (CO2) 腐食現象の特徴は, 弱酸環境にもかかわらず, カソード反応の特異性に基づき高い腐食速度を示すことと, 腐食生成物の作用で虫食い状 (ringworm, wormhole) や台地状 (mesa) 腐食などと呼ばれる特異な腐食形態を示すことである。CO2腐食現象を解明するために, 純鉄を用いた系統的な実験結果と公表された論文を総合的に検討した。3MPaのCO2分圧下で, 純鉄の腐食の活性化エネルギーはCO2の水和反応の活性化エネルギーに極めて近いことが実証された。カソード反応機構はH+の拡散律速還元反応とCO2の水和律速によるH2CO3の直接還元反応の重畳反応であるが, 活性化エネルギーの解析結果から, 高CO2分圧 (1.1~3MPa) や高温 (313~353K) では, 後者が主反応になることを検証した。FeCO3被膜の性状と関係してCO2腐食が温度領域で三つのタイプに分類される。特に, 腐食生成物被膜の組成と性状に注目し, CO2腐食に及ぼす主要な環境因子と冶金 (やきん) 的因子の影響を明確にした。エンジニアリング面で重要である de Waard-Milliams 式による炭素鋼のCO2腐食速度についての記述の妥当性を実験および理論の両面から検討した。また, 耐CO2腐食管材料とその特性について言及した。
  • 小澤 光一
    2002 年 45 巻 2 号 p. 70-76
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アスファルト混合物は連続粒度混合物のほかに特殊混合物の使用実績が増加してきており, これらすべてに従来のアスファルト舗装要綱や排水性舗装技術指針 (案) に示されている配合設計法を適用するには限界があると考えられる。アスファルト混合物の特性はアスファルトモルタル量やフィラービチューメン量に大きく影響されることが良く知られており, これらの要素を考慮した配合設計法が望ましいと考えられる。
    本論文は, 粗骨材間げき容積に対するアスファルトモルタル容積比と, 細骨材間げき容積に対するフィラービチューメン容積比を配合指標として定義し, これらの指標によってアスファルト混合物の特性が適切に表現できるかを検討したものである。その結果, これらの配合指標は連続粒度, 不連続粒度, 開粒度アスファルト混合物の特性値の変化傾向を適切に表現できることが確認された。また, 本配合指標を用いて合理的な舗装用加熱アスファルト混合物の配合設計が可能であることが明らかになった。
  • 担体の影響とカリウム塩の添加効果
    椿 範立, 常 傑, 米山 嘉治, 藤元 薫
    2002 年 45 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アサバスカオイルサンドビチューメンの水素化熱分解を673~713K, 1.0~5.0MPa水素圧下で行い, 反応の最適条件を調べた。マグネシア, 活性炭, シリカおよびアルミナを担体として用い, ニッケルを活性金属種として選び, 担体に担持させ, 水素化熱分解反応における触媒活性を調べた。塩基性であるマグネシアと中性の活性炭の担持触媒は, 酸性担体であるシリカ担持触媒よりもコーク収率が低かった。酸性担体であるシリカ担持触媒でもカリウム塩を1wt%添加することにより, コーク収率は低下し, ガス収率も低下した。
  • 森吉 昭博, 田畑 昌祥, 北川 弘光, 徳光 克也, 佐伯 昇
    2002 年 45 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アスファルト舗装で雨の降り始めに見られる表面水の細かい泡はウインドーウォッシャー液中の界面活性剤が主な原因であり, この泡は日本だけでなく世界中で観測されている。本論文は, 自動車用のウインドーウォッシャー液中の界面活性剤が25ppmの低濃度でもセメントコンクリート構造物中のセメントの脱カルシウム化をもたらすことを道路沿いの種々のセメントコンクリート構造物, および実験室の作製供試体の浸漬実験やESCA法等から最初に明らかにした。すなわち, 本研究は陰イオン系の界面活性剤を有するウインドーウォッシャー液中のNa+等がセメント中のCa2+と急速に化学反応し, セメントの主要鉱物であるCa成分が次第に外部に溶け出すこと, また戸外で採取した脱カルシウム化したセメントコンクリート構造物には界面活性剤とアスファルトが内部に蓄積されていることを見い出した。
  • 耐摩耗性TiO2担持V2O5系触媒の製造法と反応特性
    浅見 幸雄, 青野 利直, 岩崎 守, 廣岡 昇, 信澤 達也
    2002 年 45 巻 2 号 p. 89-98
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    近年, 無水フタル酸製造において, その原料事情によりナフタレンおよびo-キシレンに共用できる高機能触媒の開発が望まれている。この目的に適用できる耐摩耗性TiO2担持V2O5系流動触媒の開発例はこれまで報告されていない。本報では, 耐摩耗性に優れた微小球形の高活性, 高寿命の流動触媒の開発のため, スプレードライ法を用いる300°Cで焼成したときのアナターゼTiO2 (2θ=25.3°) の結晶子径が10nm以下となる水酸化チタンゲルを担体として用いる新規な触媒製造法を開発し, さらに第3成分の添加により流動触媒の組成および物性の適正化を検討した。その結果, 既報のSiO2担持V2O5系触媒の結果と異なり, 無水フタル酸生成にはK2SO4/V2O5<1 (重量比) の組成が有効であることがわかった。一定量のLa2O3の添加は担体アナターゼTiO2を安定化し, 活性•選択性を向上させること, 一方でB2O3はとくに流動触媒の耐摩耗性を向上させることが判明した。適正組成のTiO2担持V2O5系触媒はナフタレンおよびo-キシレン酸化のいずれにおいても無水フタル酸の生成に高活性を示した。さらに, 得られた適正組成触媒をメークアップ触媒としてナフタレンフィードで操業中の実装置に適用した結果, 従来のSiO2担持V2O5系触媒に比し約2/3のメークアップ量でも安定して無水フタル酸収率の向上が達成された。
  • 多湖 輝興, 利弘 淳, 岸田 昌浩, 長田 秀雄, 若林 勝彦, 永松 茂樹, 猪俣 誠
    2002 年 45 巻 2 号 p. 99-102
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    ベンゼンとトリメチルベンゼンのトランスアルキル化を各種ゼオライト触媒を用いて検討した。反応は, 小型オートクレーブ内にベンゼン, トリメチルベンゼンとゼオライト触媒を仕込み, 反応温度250°C, 気相圧力3.0MPa, ベンゼン/トリメチルベンゼンのモル比=1の条件で行った。
    本研究で検討したゼオライトの中でトランスアルキル化反応が進行したのは, Mordenite, β型ゼオライトとY型ゼオライトであり, Y型ゼオライトが高活性であった。Y型ゼオライトに脱アルミニウム処理を施したUSY型ゼオライトの場合は, Y型ゼオライトより高活性であった。これは, 脱アルミニウム処理によって新たにメソ孔が生成したためであると考えられる。
    固体酸量の影響を検討するために, 金属イオン (Mg2+, Ca2+, Sr2+, Ba2+) 交換Y型ゼオライトを用いトランスアルキル化反応を行った。酸量が減少するに従って, トランスアルキル化活性は減少した。
  • 広中 清一郎, 鈴木 雅裕, 太田 善郎
    2002 年 45 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    セリサイト, 二硫化モリブデン (MoS2), メラミンシアヌレート (MCA), およびこれらの混合物を鉱油またはリチウム石けんグリースに添加した場合の高温ねじ用潤滑剤としての研究が行われた。室温におけるボルト/ナットの締め付けおよび緩め操作において, MoS2やMCAは低いトルク係数を示したが, 800°C, 5hの加熱処理後はこれらの値は著しく増大した。セリサイトおよびそのMoS2との混合物は, 加熱処理前後も緩めトルクは減少またはほとんど変わらなかった。
    高速四球試験において, グリースに添加したセリサイトはグラファイトより潤滑性を示し, 硫黄およびリンを含む極圧剤(SP系極圧剤) と併用するとMoS2と同等の極圧性を示した。
  • 実験調査
    Shedid A. SHEDID, Abdulrazag Y. ZEKRI
    2002 年 45 巻 2 号 p. 109-116
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    水平坑井の生産能力におけるパーフォレーション区間長の重要性ついては, シミュレーションにより多くの研究がなされてきた。しかしながら, それらのものは正確な実験測定値やフィールドデータを欠いていることもあって今一歩信頼性が乏しい。本報告は, パーフォレーション区間長とフラクチャーが水平坑井の生産性に与える影響を実験により調べ, シミュレーション精度を向上させるために行ったものである。
    実験に使用したモデルは60cm×40cm×20cmの大きさで, 均質で未固結な孔げき媒体を表現するために十分にふるい分けをした砂を詰め, さらにフラクチャーを表現するために孔をあけたアルミ板をいれたものである。実験は均一な媒体の中で, フラクチャーがある場合, ない場合, また水平坑井の長さやパーフォレーション区間長の比率を変えて計18回行った。
    その結果, パーフォレーション区間が長くなると水平坑井の生産レートは増すこと, また水平フラクチャーがある場合も, 垂直フラクチャーがある場合もともに水平坑井の生産性は増すことが確認された。なお, 垂直フラクチャーの場合には, 同じパーフォレーション区間長とパーフォレーション密度で仕上げた水平坑井でも, 水平フラクチャーの場合よりもより高い生産性を示した。本実験から, フラクチャーをもつ均質な孔げき媒体内に仕上げられた水平坑井の生産性について, いくつかの経験式を得ることができた。
  • 三木 康朗, 杉本 義一, 田中 元雄, 呉 志垣
    2002 年 45 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    直留軽油 (LGO, S: 12,000ppm), 深度脱硫軽油 (DGO, S: 147ppm), 超深度脱硫軽油 (HDGO, S: 18.5ppm) および接触分解軽油 (LCO, S: 2600ppm) に含まれるジベンゾチオフェン (DBT) 類を定性•定量分析した。LGO中のDBT類の濃度は4000ppmで, 化学発光硫黄検出器によるガスクロマトグラムには約100本のDBT類のピークが認められた。DGO中の主要DBT類として4,6-ジメチルDBTおよび4-エチル-6-メチルDBTのほかに, 1,4,6-, 2,4,6-および3,4,6-トリメチルDBT類, 4,6-ジエチルDBT, 1-エチル-, 2-エチル-および3-エチル-4,6-ジメチルDBT類, および4位と6位にメチル基を有するテトラメチルDBT類が認められた。HDGO中の主要DBT類およびそれらの相対濃度はDGOにほぼ等しかった。LCO中のDBT類の濃度は2000ppmで, その組成はLGOに類似していた。
  • 佐藤 一仁, 吉成 知博, 羽田 政明, 金田一 嘉昭, 浜田 秀昭
    2002 年 45 巻 2 号 p. 123-126
    発行日: 2002/03/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    The additive effect of noble metals (Rh, Ir, Ru, and Pd) on the catalytic activity of Ag/Al2O3 for the selective reduction of NO with n-decane in the presence of O2, H2O and SO2 was investigated. Although NO reduction activity of Ag/Al2O3 was decreased by coexisting SO2 at temperatures below 450°C, the addition of Rh improved the activity at 300-400°C. Optimum Rh loading was 0.05-0.1wt% and the effect was remarkably observed at low concentration of coexisting SO2.
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