Journal of the Japan Petroleum Institute
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59 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
総合論文
  • 牧野 貴至, 金久保 光央
    原稿種別: 総合論文
    2016 年 59 巻 4 号 p. 109-117
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,イオン液体のCO2吸収特性およびイオン液体分離膜のCO2透過選択性について,我々の研究成果を中心に概説する。イオン液体は室温近傍以下に融点を持つ液体の塩であり,不揮発性,難燃性,多様な物質の溶解能力等の従来の有機溶媒にない特徴を有する。イオン液体を用いたCO2分離回収は有望な技術として注目されており,主にイオン液体を吸収液および分離膜として利用することが提案されている。本稿では,特に(1)酸素原子を含む物理吸収イオン液体のCO2吸収特性, (2)化学吸収イオン液体の高圧CO2雰囲気下における化学吸収および物理吸収特性,(3)イオン液体+高分子膜のCO2透過選択性に対する高分子種および高分子濃度の影響,に焦点を絞って紹介する。

一般論文
  • 深谷 訓久, 宮治 孝行, 小野澤 俊也, 崔 星集, 上田 正枝, 高木 由紀夫, 崔 準哲, 坂倉 俊康, 安田 弘之
    原稿種別: 一般論文
    2016 年 59 巻 4 号 p. 118-125
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    3本の独立したSi–O–Si結合によってシリカ表面に強固に結合することが可能な「3点結合型リンカー」を用いてジフェニルホスフィンパラジウム錯体固定化触媒を調製した。ジフェニルホスフィン配位子をシリカ表面に固定化するにあたって,(i)臭素置換の3点結合型リンカーをシリカ表面に固定化した後,カリウムジフェニルを反応させる方法(ボトムアップ法),(ii)ジフェニルホスフィン配位子を有する3点結合型リンカーを事前に合成し,それを直接シリカ表面と反応させる方法(トップダウン法)の二種の方法で調製を行った。それぞれの触媒について,臭化アリールを用いた鈴木-宮浦カップリング反応における性能を評価した。ボトムアップ法で調製した触媒では,トップダウン法で調製した触媒や従来型リンカーで固定化した触媒よりも,パラジウム金属およびリン配位子の反応後の溶液に対する溶出が低減していることが分かった。

  • Nasrollah MAJIDIAN, Saeed SOLTANALI
    原稿種別: Regular Paper
    2016 年 59 巻 4 号 p. 126-139
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    The purpose of this work is to study the performance of fixed and monolith bed reactors in Fischer-Tropsch (FT) synthesis by modeling these reactors. A pseudo-homogeneous 2D model was proposed for FT fixed and monolith bed reactors. The model results shows good agreement with experimental data reported in literatures. The performance of the FT reactors was investigated in industrial scale under low temperature FT conditions (pressure = 2 MPa and temperature = 230 °C). The modeling results were organized in three sections, (1) effect of operating condition parameters, which have similar effects on both reactors, (2) effect of structure parameters, which have different effects such as pellet diameter on FT fixed bed reactors, and thermal support property, the number of channels per cross sectioon area (CPSI) and wash coated catalyst thickness on FT monolith bed reactors, and (3) comparison of FT fixed and monolith bed reactors.

  • 金指 正言, 宮宇地 秀治, 早川 慎二郎, 長澤 寛規, 吉岡 朋久, 都留 稔了
    原稿種別: 一般論文
    2016 年 59 巻 4 号 p. 140-148
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    本研究では,ゾル-ゲル法によりbis (triethoxysilyl) methane (BTESM)をSi前駆体として用い,Al,Agをドープしたオルガノシリカ膜のC3H6/C3H8透過特性を評価した。BTESMにAgをドープすることで各気体透過率が小さくなったが,気体選択性(H2/CH4,H2/C3H6,H2/C3H8,C3H6/C3H8)は変化しなかった。X線吸収微細構造でドープしたAgはネットワーク構造内でイオンとして存在する可能性が示された。Agがネットワーク内でイオンとして存在しても,ネットワークサイズは変化しないことが明らかになった。一方で,BTESMにAlをドープすることで各気体透過率が小さくなり,気体選択性 (H2/N2,H2/CH4)はネットワークの緻密(ちみつ)化により大きく向上した。吸着親和性の指標になるC3H6透過の活性化エネルギーは,AgをドープすることでBTESM(〜−7 kJ mol−1),Al-BTESM(~3 kJ mol−1)膜よりも小さくなった。すべてのオルガノシリカ膜は,50 ℃におけるC3H6/C3H8混合分離試験で純ガス透過の選択性よりも高い選択性を示した。たとえば,Ag-BTESM(Si/Ag=9/1)膜は,50 ℃における混合分離試験で,純ガスを用いた透過試験のときの透過速度比(~19)に比べ,混合ガスを用いた場合では選択性(=32.5)が向上した。なお,選択性は操作圧力に大きく依存しなかった。

  • Rozyanti MOHAMAD, 秋 庸裕, 中島田 豊, 岡村 好子, 田島 誉久, 松村 幸彦
    原稿種別: 一般論文
    2016 年 59 巻 4 号 p. 149-154
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    食品工業で広く用いられているソルビトールは水熱分解によってバイオマスから回収可能であるが,その過程における分解挙動を把握することは必要不可欠である。水熱条件下におけるソルビトールの分解挙動を解明することを目的として,ソルビトールの水熱分解を170~250 ℃の温度範囲,25 MPaで流通反応器を用いて行った。分解は一次反応速度で表され,その速度定数はアレニウスの法則に従った。頻度因子および活性化エネルギーも決定した。ソルビトール異性体であるマンニトールと比較すると,ソルビトールの分解の方が急速で,構造の違いにより水分子の近づきやすさが異なるためと考えられた。マンニトールとソルビトールの活性化エネルギーはそれぞれ29.1 kJ mol−1と28.3 kJ mol−1で同等であったが,頻度因子は6.19 s−1と42.9 s−1で,マンニトールがソルビトールよりも一けた低い値であった。

  • 山口 有朋, 三村 直樹, 白井 誠之, 佐藤 修
    原稿種別: 一般論文
    2016 年 59 巻 4 号 p. 155-159
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    イソソルビドおよびその派生物は,高分子産業で有望な単量体であるだけでなく,医薬品産業における重要な中間体である。近年,担持金属触媒と酸触媒を利用して,セルロースからワンポットでイソソルビドへの変換が報告されているが,リグノセルロース系バイオマスからワンポットでイソソルビドへの変換は,ほとんど報告されていない。本稿では,担持金属触媒とイオン交換樹脂Amberlyst 70を用いてリグノセルロース系バイオマスからイソソルビドへのワンポット変換を検討した。463 Kで担持ルテニウム触媒とAmberlyst 70を用い,スギから収率25.4 %でイソソルビドにワンポットで変換することに成功した。ユーカリおよびバガスを用いたワンポット変換反応では,それぞれ収率が8.3 %および12.8 %でイソソルビドが得られた。リグノセルロース系バイオマスから有用化学物質へのワンポット変換反応が有望であることが示された。

レター
  • 古川 森也, 西村 元樹, 小松 隆之
    原稿種別: レター
    2016 年 59 巻 4 号 p. 160-163
    発行日: 2016/07/01
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー

    前周期金属を含むPd系金属間化合物(Pd3M: M = Nb, Ti, Zr)をアーク熔解により調製し,その表面の電子状態をX線光電子分光により評価した。調製した金属間化合物の鋳塊を大気下にて粉砕した場合,その表面は酸素により酸化され金属Pdと前周期金属の酸化物の混合物に分解した。これらの酸化物は,水素雰囲気下800 ℃で還元処理を行っても0価の金属状態に還元されなかった。また,これらの金属間化合物を酸素濃度1 ppb以下の窒素雰囲気下にて粉砕した場合,Pd3Zrでは表面の大部分が酸化されず金属間化合物の状態が維持されるのに対し,Pd3TiやPd3Nbでは表面が完全に酸化されるということが判明した。これらの結果は,前周期金属を含む金属間化合物が酸素に対し極めて敏感であり,表面の状態を維持することが困難であることを示している。

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