Journal of the Japan Petroleum Institute
Online ISSN : 1349-273X
Print ISSN : 1346-8804
ISSN-L : 1346-8804
65 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
総合論文
  • 桑原 泰隆, 山下 弘巳
    原稿種別: 総合論文
    2022 年 65 巻 4 号 p. 125-133
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    二酸化炭素(CO2)回収 · 貯留技術や触媒を用いたCO2変換反応は温室効果ガス削減に向けて極めて重要な技術であるが,実用化に向けては克服すべき課題が多い。ポリエチレンイミン(PEI)は分子鎖内に高密度のアミン部位を持ち,有望なCO2吸着材の一つである。本研究では,PEIをCO2吸着材とし,ナノポーラス材料を担体に利用した固体吸着材および機能集積型固体触媒を開発し,CO2吸着およびCO2の触媒的変換に応用した。PEIとメソポーラスシリカからなる固体吸着材は10 %および400 ppmのCO2濃度の模擬排ガスから効率的にCO2を吸着できる。さらに,メソポーラスシリカ骨格内に異種原子(Zrなど)を導入することでPEIとシリカ表面の相互作用が強化され,CO2吸着量,CO2脱離挙動,再利用性が大幅に向上できる。また,化学的安定性に優れたナノ多孔体材料(チタン酸ナノチューブや中空メソポーラス有機シリカなど)に金属錯体や金属ナノ粒子をPEIとともに共内包したハイブリッド触媒を開発し,CO2の水素化反応によるギ酸合成反応に応用した。これら触媒では,PEIのCO2吸着能とナノ多孔体担体の安定化効果により,高い触媒活性と再利用性が達成できる。

  • 松本 崇弘
    原稿種別: 総合論文
    2022 年 65 巻 4 号 p. 134-139
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    錯体化学は,長い歴史の中で,経験則 · 物理化学 · 量子化学に基づく金属錯体のデザイン合理性「錯体化学的スマートデザイン」を確立してきた。これまでに報告されてきた数多くの金属錯体は,論理的に説明可能な設計原理に基づいて,その機能や性質の発現機構を理解することができる。本論文では,ターゲット反応を誘起するデザイン合理性により達成したいくつかの代表的な研究,特に酸素 · 水素 · メタンの変換反応について解説する。酸素を酸化剤とする芳香族環の水酸化 · スチレンのエポキシ化 · C–H結合の酸化は,二核銅酸素錯体を合理的にデザインすることで誘起させることができる。水素の酸化と酸素の還元は,二核ニッケル · 鉄錯体のバタフライ構造によって促され,水素燃料電池の電極触媒への展開も可能とした。酸素を用いるメタンの変換は,有機ルテニウム錯体に光エネルギーをインプットすることで発現する高い酸化力によって達成している。

一般論文
  • Juan A. VARGAS JACOB, Andriy SADOVNICHYY, Gonzalo E. DOMINGUEZ DYCK, E ...
    原稿種別: Regular Paper
    2022 年 65 巻 4 号 p. 140-149
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    Electromagnetic methods are used for the accurate integrity assessment of buried pipelines. A non-invasive electromagnetic inspection method for metallic pipelines is described which uses magnetic field line variations (MFLV) to determine the position and thickness of faults in metal pipes. The skin effect is applied to solve the framework problem and establish the measurements for identifying the vector angle variations. A simulation case of the mathematical assumptions was performed to verify the presence of damage in a pipeline by comparing magnetic field measurements at different transmitted signal frequencies. Finally, the technical specifications of the required electronic equipment were defined to implement the technology.

  • 黒木 孝行, 江藤 真由美, 濱田 玲, 酒井 伸吾
    原稿種別: 一般論文
    2022 年 65 巻 4 号 p. 150-155
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    軽油脱硫触媒の活性向上と,顧客ニーズへの迅速な対応を目的として,複数の軽油向け脱硫触媒を積層し,提案するシステムの検討を実施した。効果的な実験データの入手と効率的な設計を目的として,積層システムの検討に実験計画法と機械学習および多目的最適化手法を導入した。積層比率,実験条件を実験計画法により設定し,パイロットでの性能評価結果を教師データとして,応答局面法で機械学習を実施した。積層比率,性能評価条件,原料油性状を入力パラメーターとした生成油硫黄濃度を,RBFカーネルを用いて予測した。RBFカーネルは最も広く使用されるカーネルの一つで変数間の非線形性を考慮する関数である。機械学習により得られた最適な積層比率での性能の予測値は実験結果とよく一致しており,さらに使用した触媒単独および他積層比率よりも良好な結果を得ることができた。

  • 渡邉 悠介, 薗部 智史, 朝熊 裕介, Anita HYDE, Chi PHAN
    原稿種別: 一般論文
    2022 年 65 巻 4 号 p. 156-160
    発行日: 2022/07/01
    公開日: 2022/07/01
    ジャーナル フリー

    最近の私たちの研究では,マイクロ波が界面で強く吸収されるため,油-水系の界面張力を変化させることを示している。同時に,マイクロ波の吸収によるエネルギー集中によって界面活性剤分子は界面から脱着し,その脱着レベルは照射モードに依存することが分かった。したがって,マイクロ波照射により引き起こされる界面活性剤の脱着時の界面張力の増加量は,HLB値(親水性-親油性バランス)に代わる新たな界面活性剤能力の推定方法に使用できると考えた。本研究では,親水性または疎水性の長さが異なる界面活性剤を使用し,マイクロ波照射中および照射後の界面張力を測定した。その界面張力の経時変化によると,パルス照射後の界面活性剤の脱着によって引き起こされる急激な界面張力の増加は,親水性または疎水性の長さに依存し,その増加比率はHLB値と密接に関連していることが分かった。界面活性剤の脱着は,マイクロ波吸収による界面での水分子の回転によって強制的に引き起こされ,界面張力の最大値は実際の吸着能力を表すと考えられる。最後に,この手法は,将来的には界面活性剤の新しい評価方法となることが期待される。

feedback
Top