Journal of the Japan Petroleum Institute
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67 巻, 1 号
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総合論文
  • 石原 篤
    原稿種別: 総合論文
    2024 年 67 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/01
    ジャーナル フリー

    接触分解触媒の研究において,新しいマトリックスの調製法と接触分解での機能に着目し,様々な階層構造触媒を調製した。メソ孔成分からなるマトリックスの触媒への導入が活性を向上させ,ゼオライトの機能に大きく影響することを示した。ゲル骨格補強法はゼオライト含有階層構造触媒の製造に有効に働き,触媒の活性と選択性を向上させた。また,キュリー · ポイント · パイロライザー法を用いて,巨大分子の接触分解を解析することで触媒性能を評価できることを示した。水素化分解触媒の研究では,ゼオライトとAl2O3からなる複合担体に,NiMoとPtとを担持した触媒を用いて,油脂やFAMEを低圧で処理し,芳香族と水素を製造する環化脱水素化分解を初めて提案した。接触改質触媒の研究では,n-ペンタンの環化脱水素による芳香族製造を,Zn(Ga)交換H-ZSM-5とAl2O3との混合触媒を用いて行い,Al2O3の存在が芳香族選択性に影響を及ぼすことを見出した。また,C2〜C4オレフィン間のDiels–Alder反応による二量化によって,芳香族が生成することを示した。

一般論文
  • 村田 聡, 鈴村 未佳, 中山 翔世, 森下 優, 名村 信吾, 畠山 賢彦, 砂田 聡
    原稿種別: 一般論文
    2024 年 67 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    回分および流通反応装置を用いて酸素雰囲気下,アルデヒド,遷移金属触媒を用いたジベンゾチオフェンの酸化反応を行った。回分反応では,マンガン塩およびコバルト塩を触媒とし,主として反応溶媒および含窒素化合物の添加効果について検討を行った。反応溶媒となる炭化水素の構造は反応速度に大きく影響し,特にテトラリンのような引き抜かれやすい水素を有する溶媒中では反応は阻害された。含窒素化合物のうち,五員環構造を持つピロール類は触媒毒として機能し,反応は阻害された。一方,六員環構造を持つピリジン類の反応速度に及ぼす影響は小さかった。次に,流通反応装置を用いた反応を行ったところ,回分装置を用いた場合と同様反応は進行し,ジベンゾチオフェンはスルホンへと酸化された。触媒としてはMnCl2またはCoCl2をHY-ゼオライトに担持したものが最も良好な結果を与えた。反応溶媒としていくつかの炭化水素溶媒を試したところ,回分反応と同様テトラリンのような引き抜かれやすい水素を持つ溶媒中では硫黄化合物の転化率が低下した。また,反応系にキノリンを添加したところ,反応は阻害されることが分かった。反応機構を基に,溶媒や含窒素化合物の効果について考察を行った。

  • 村田 聡, 佐々木 雪和, 園部 塁, 畠山 賢彦, 砂田 聡
    原稿種別: 一般論文
    2024 年 67 巻 1 号 p. 24-29
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/01
    ジャーナル フリー

    いくつかの有機極性溶媒を用いてn-ヘキサンとジベンゾチオフェンからなるモデル軽油の抽出脱硫を行った。極性溶媒(5 g)を用いてモデル軽油(10 g)からジベンゾチオフェンの抽出を行ったところ,49〜86 %のジベンゾチオフェンが抽出された。検討した溶媒の中では,1-メチルピロリジン-2-オンが最も効果的であった。溶媒の抽出能力と性質の相関について検討を行い,溶媒の極性(双極子モーメント)と抽出率の間に一定の相関があることを見出した。次に,いくつかのベンゾチオフェン誘導体の抽出実験を行い,硫黄化合物の構造と抽出率の関係について検討したところ,芳香環の縮合度が高いほど抽出率は向上し,メチル基の導入は抽出率の大幅な低下をもたらすことが分かった。最後に分配平衡について検討したところ,抽出能力の低いアセトニトリルやγ-ブチロラクトンでは通常の分配平衡が観測され,実験結果と計算値がよく一致していたが,アミド系溶媒では,アミド使用量が少ない場合平衡からずれ,抽出量が計算値より小さくなる傾向があることが分かった。これはジベンゾチオフェンとアミド系溶媒の間に強い相互作用があるためと考えられる。

  • 大島 一真, 柳田 晃秀, 田代 啓悟, 里川 重夫, 岸田 昌浩
    原稿種別: 一般論文
    2024 年 67 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/01
    ジャーナル フリー
    電子付録

    プラスチック等の熱分解時に発生する有害物の除去を目的として,そのモデル反応として希薄フェノールの水蒸気改質について検討した。一般的な水蒸気改質触媒であるNi/Al2O3に対して,Sr添加効果の検討を通して,反応開始温度が低下することを見出した。Srの添加方法としては,Al2O3にNi担持後Srを添加したSr/Ni/Al2O3よりも,Al2O3へSrを添加後にNiを担持したNi/Sr/Al2O3が効果的であった。また,NiとSrを共含浸したNi–Sr/Al2O3はNi/Sr/Al2O3に劣るが近い効果を示した。なお,Ni/Sr/Al2O3における最適なSr/Ni比は1であった。Sr添加は,(1)CO2-TPDによるフェノールの塩基性吸着サイトの増大だけでなく,(2)XPS表面状態観察によるSrからNiへの電子供与効果によるNiの反応サイトの変化が確認され,この2因子の複合が活性向上に寄与している可能性が示された。

  • 岡庭 健斗, 園山 希
    原稿種別: 一般論文
    2024 年 67 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/01
    ジャーナル フリー

    半炭化バイオマスペレット(TBP)は,貯蔵時に自然発熱することが指摘されている。TBPの貯蔵指針を策定する上で,自然発熱特性および発熱挙動を把握することが重要である。そこで本研究では,約1500 tのTBPの屋外貯蔵試験を行い,TBPパイルの温度変化を測定した。また,疑似断熱式自然発熱測定装置(SIT)により,TBP,れき青炭および亜れき青炭の自然発熱特性を評価した。屋外貯蔵試験では,約15日間で293 Kから313 Kまで上昇する地点があり,発熱しやすいことが示唆された。SITでは,TBPはれき青炭よりも発熱が遅く,屋外貯蔵試験の傾向を予測することができなかった。TBPと石炭を比較するには,比表面積を考慮する必要があることを明らかにした。屋外貯蔵時には,経時的な温度監視と313 Kを超過した場合の対応が重要であった。

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