Journal of the Japan Petroleum Institute
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57 巻, 6 号
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総合論文
  • 山中 一郎
    原稿種別: 総合論文
    2014 年 57 巻 6 号 p. 237-250
    発行日: 2014/11/01
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    燃料電池型反応器を用いた酸素,水素からの過酸化水素水の直接合成について解説した。過酸化水素は外部電力を用いずに触媒的に生成する。過酸化水素の高い生産性を達成するために,新規電極触媒と4種類の燃料電池反応器を設計開発した。具体的には金メッシュカソードとタイプ1反応器を用いた過酸化水素/塩酸水溶液,熱活性化マンガンポルフィリン担持活性炭カソードとタイプ2反応器を用いた過酸化水素/硫酸水溶液,気相成長カーボンファイバーカソードとタイプ3反応器を用いた過酸化水素/水酸化ナトリウム水溶液,熱活性化コバルトポルフィリン担持気相成長カーボンファイバーカソードとタイプ4反応器を用いた純過酸化水素水合成である。これらの研究成果は,効率的な酸素の還元による過酸化水素の生成には選択カソード触媒と酸素(気相),電極触媒(固相)と電解質(液相)からなる三相界面の協奏効果が極めて重要であることを示していた。最近の研究成果では,4.0 mol dm–3 (13.5 wt%)の純過酸化水素水を42 %と良い電流効率で直接合成することに成功している。
  • 山口 和也, 水野 哲孝
    原稿種別: 総合論文
    2014 年 57 巻 6 号 p. 251-260
    発行日: 2014/11/01
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    我々は,金属水酸化物が同一金属上に,Lewis酸とBrønsted塩基を併せもつという性質に着目し,金属水酸化物を基盤とした固体触媒開発を行った。担持金属水酸化物触媒は,アルコール,アミン,ニトリル,末端アルキンなどの様々な基質をLewis酸とBrønsted塩基の協奏作用により効率よく活性化できることを明らかにした。担持水酸化ルテニウム触媒(Ru(OH)x/Al2O3)は,分子状酸素を酸化剤としたアルコールやアミンの酸化的脱水素反応に極めて高い活性を示すことを明らかにした。本Ru(OH)x/Al2O3は酸化反応だけでなく,水素移行型還元反応やニトリルの水和反応に対しても高活性を示した。また,Ru(OH)x/Al2O3を用いた第1級アルコールのアンモ酸化,第1級アミンの形式的α-酸素添加反応などの酸化的官能基変換の開発にも成功した。さらに我々は,本触媒設計概念がルテニウム以外の種々の遷移金属種にも適用可能で一般性が高いことを示し,これらの同一金属上に存在する金属由来のLewis酸と水酸基由来のBrønsted塩基の協奏的効果を利用した種々の高効率官能基変換反応,たとえば担持水酸化銅触媒を用いたアルキンの酸化カップリング反応やアジドと末端アルキンの1,3-双極子付加環化などの開発にも成功した。
  • 山本 孝
    原稿種別: 総合論文
    2014 年 57 巻 6 号 p. 261-270
    発行日: 2014/11/01
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    X線吸収分光法により固体酸塩基触媒の構造解析および物性評価手法として利用した研究例を紹介した。アルミナの熱耐久性を向上させる効果があるランタンイオンについて,シンタリング抑制効果が発現する低添加量でもランタン種はペロブスカイト相を形成せずに孤立高分散状態で存在することを示した。固体強酸触媒タングステン–ジルコニウム酸化物触媒のタングステン種の存在状態について論じた。メソポーラスシリカが固体酸性質を発現することについて,歪んだシロキサン結合が薄い細孔壁中に存在することを示した。また,EXAFS解析に際して誤った結論を導きかねない事例について,構造の異なる複数の成分が共存する可能性の考察,EXAFS関数のフーリエ変換が動径構造関数を反映しない実例とその要因,多電子励起の影響について解説した。
一般論文
  • Fang Zhao, Rui Shen, Shu Sheng Gao, Gang Xu
    原稿種別: Regular Paper
    2014 年 57 巻 6 号 p. 271-275
    発行日: 2014/11/01
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    Waterflood front dynamic has important significance in evaluating waterflooding effect. It also guides the design of well pattern infilling, the adjustment of infilling and the waterflood method. Modelling heterogeneity (if any) is an important factor in any geological and reservoir simulation model. The proper estimation of waterflood front is highly depending on geologic modelling able to capture heterogeneous feature of reservoir. Combined with core composition experiments and actual field data, a new method for heterogeneous reservoir waterflood front calculation was proposed depending on the equation of Buckley-Leverett. Using this method to calculate well group of Wangyao oilfield, distribution of waterflood front and water breakthrough time of production wells were predicted, position of infill wells drilling was proposed and the results show that they were perfectly matched with the micro-seismic test data. When calculating the same well group with the homogeneous model, the error is large. The new calculation method has the advantages of simple and convenient operation, strong practicability and it functions just like a calculator to people that can easily identify the movement trend of the waterflood front which can not be achieved in numerical simulation or other calculation method.
  • 小島 啓輔, 田崎 雅晴, 岡村 和夫, Sueyoshi Mark, Al-Maamari Rashid S.
    原稿種別: 一般論文
    2014 年 57 巻 6 号 p. 276-286
    発行日: 2014/11/01
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    石油増進回収(EOR)技術の一つであるポリマー圧入法が適用された石油随伴水(PFPW)の水質は,従来の石油随伴水(PW)とは異なることが指摘されており,様々な処理方法が検討されている。本報では,PFPWに効果的な凝集処理技術を確立することを目的とし,PFPWに対する凝集剤の凝集効果を検討した。EOR用増粘剤を用いたビーカー試験の結果,増粘剤が随伴水に混入することにより,ポリ塩化アルミニウム(PAC)の効果が低減することが明らかになった。この効果低減は,単なるpHやアルカリ度の上昇によるものではなく,随伴水が含んでいる無機炭酸と増粘剤との相互作用により現れていた。PFPWに対しては,従来のPWにおいてPACよりも凝集効果が低い硫酸バンド(AS)が効果的に働くことが示された。この知見をもとにオマーンにてパイロットプラントによる実PFPWの連続処理試験を実施した。事前の条件設定試験により適切なAS添加濃度および処理フローを検討することにより,良好な処理を行えることが確認された。
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