Journal of the Japan Petroleum Institute
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48 巻, 3 号
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一般論文
  • 小林 克則, 広中 清一郎, 田中 章浩, 梅田 一徳, 飯島 澄男, 湯田坂 雅子, 糟屋 大介, 鈴木 雅裕
    2005 年 48 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    新しいナノカーボン材料であるカーボンナノホーン(CNH)が最近様々な産業分野において注目されている。本研究では,このCNHをグリースに添加した場合に,焼き付きや摩耗に関してどのような特性が得られるかを調べた。グリースにはリチウム石けんグリースを用い,添加物にはCNHおよび熱処理したナノホーン(NT-CNH)のほかにグラファイト,クラスタダイヤモンド(CD),グラファイトクラスタダイヤモンド(GCD)を用いた。試験はFalex型摩擦試験機により行った。いずれの添加物の場合にも添加により焼き付き荷重は増加した。CNH添加グリースの場合,CDおよびGCDを添加したグリースの場合と同程度かより優れた耐焼き付き性を示したが,耐摩耗性に関しては添加の効果は見られなかった。一方,HT-CNHに関しては,1 mass% だけグリースに添加するだけでも,CDやGCDを添加したグリースの場合よりも優れた耐焼き付き性を示した。さらに,HT-CNHを添加したグリースでは耐摩耗性も明らかに向上した。添加量が多くなると,グラファイト添加グリースが最も良い耐焼き付き性を示した。
  • 橋本 義人, 上道 芳夫, 菖蒲 明己
    2005 年 48 巻 3 号 p. 127-136
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    固定床気相流通反応器と液相固定床半回分式反応器を用いて,298 K,常圧の水素気流中で,パラジウム担持γ-アルミナ触媒およびパラジウム担持アルミナルイス超強酸触媒上でのモノクロロベンゼン(MCB),1,4-ジクロロベンゼン(DCB),1,3,5-トリクロロベンゼン(TCB)の水素化脱塩素反応を行った。気相反応において,両触媒は白金担持触媒よりも高い水素化脱塩素活性を示した。反応生成物はベンゼンとシクロヘキサンのみであった。接触時間3900 g·h·mol-1でのMCB,DCBの反応における転換率とシクロヘキサン収率はともに100% であり,一方TCBの反応では転換率90% において95% 以上のシクロヘキサン収率が得られた。これらパラジウム担持触媒は反応中に生成する塩素の触媒表面への蓄積による活性低下を示した。353 Kの反応における蓄積塩素量は298 Kの時の約1/4であった。すなわち,反応温度を高くすると触媒の活性低下は効果的に抑制された。さらに,パラジウム担持触媒は,常温の液相反応においても水素化脱塩素に対して適度な活性を示し,ベンゼンとシクロヘキサンを生成した。クロロベンゼン類の水素化脱塩素反応は,パラジウム上で生成しアルミナ表面上にスピルオーバーした水素とアルミナ上のルイス酸点に吸着し活性化されたクロロベンゼンとの間の反応であると推定された。
  • 石原 篤, 望月 博美, 李 載永, 銭 衛華, 加部 利明, 巽 勇樹, 梅原 一浩
    2005 年 48 巻 3 号 p. 137-144
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    アルミナに担持したモリブデンジチオカルバメート(Mo-DTC)およびリン酸ジチオモリブデン(Mo-DTP)触媒前駆体を調製した。ジベンゾチオフェン(DBT)の水素化脱硫反応(HDS)を用い,これらの前駆体の触媒としての可能性を評価した。その結果,硫化水素または水素で予備処理したアルミナ担持Mo-DTCおよびMo-DTP触媒前駆体は,従来法でアンモニウムヘプタモリブデートを用いて調製したMo触媒と同等の活性を持つことが分かった。また,モリブデン錯体の触媒活性に及ぼす活性化方法の影響を調べた。窒素と水を用いて処理したMo-DTCおよびMo-DTP前駆体は最も高い活性を示すことが分かった。さらに,Mo-DTCおよびMo-DTP前駆体由来触媒は従来の予備硫化したモリブデン触媒より高い直接脱硫活性を示した。
  • 小俣 光司, 橋本 正彦, スタルト , 石黒 群司, 渡辺 裕輔, 梅垣 哲士, 山田 宗慶
    2005 年 48 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    銅-亜鉛酸化物触媒のメタノール合成活性は添加物によって大きく変わり,また最高活性を示す触媒組成は反応条件により敏感に変化することが知られている。人工ニューラルネットワーク(ANN)を用いて実験結果を再解析することにより新規添加物を探索した。元素Xのイオン半径,イオン化ポテンシャルなどの物性値とCu-Zn-X酸化物触媒の活性の関係をANNで学習した。22種の添加物の実験結果を学習に用い,学習データには含まれない29種の元素の添加効果を予想した。Beの優れた添加効果が予想されたが,この予想は実験的にも確認された。
  • 山口 勝之, 佐々木 厳, 西崎 到, 明嵐 政司, 森吉 昭博
    2005 年 48 巻 3 号 p. 150-155
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    アスファルト舗装の供用中の劣化現象に影響の大きい光に注目し,この劣化におけるアスファルト単体の膜厚の影響を調査した。その結果,膜厚が薄くなるにつれて,特に200 μm以下の領域で,弾性率の増大や粘性の喪失,また酸化劣化を示すカルボニル基生成の増大など,劣化の程度が急激に著しくなることが確認された。
    また,分光劣化試験による波長依存性を調査した結果,外観変化やカルボニル指数の挙動より,アスファルトの光による劣化には波長範囲300~400 nmの紫外線の影響が大きいことを明らかにした。
    さらに,遮光性フィラーとして知られるカーボンブラックは,光による劣化の著しいアスファルト層の表面付近で機能し,波長300~400 nmの紫外線による劣化を抑える効果のあることが見出された。
  • 萩原 和彦, 海老原 猛, 浦里 延明, 藤川 貴志
    2005 年 48 巻 3 号 p. 156-161
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    129Xe NMRを用いて,Mo/Al2O3脱硫触媒におけるCo添加効果について検討を行った。Xe吸着量および129Xe NMRのピーク幅はCo担持量に対してほとんど変化しなかった。この結果は,触媒表面上のCo種がXeの細孔内での運動にさほど影響を及ぼさないことを示している。129Xe NMRのピークの化学シフトδはXe吸着量に対して非直線的に変化した。これは,Xeと配位不飽和な陰イオン欠陥サイトとの強い相互作用によるものと考えられる。なお,Co担持量2.2 mass% 以上でδの曲率がより大きくなった点は,Xeの電子がCo種に強く引き付けられていることを示唆している。さらに,理論式へのフィッティングにより求めたパラメーターδ0は,Co/Mo比に伴って徐々に大きくなり,Co/Mo = 0.71で最大値となった。これは,磁化率に依存する項δMの増加によるものであり,反強磁性的なCo-Mo-S相が形成されたことを強く示唆している。一方,Co/Mo = 0.99でδ0がやや減少した点は,反磁性的なCo9S8の形成に伴う試料全体の磁化率の低下に起因していると考えられる。以上のことから,129Xe NMRがCoMo/Al2O3脱硫触媒上のCo-Mo-S相の形成状態の分析に有用であることが示された。
  • 宮澤 朋久, 阿部 透, 国森 公夫, 冨重 圭一
    2005 年 48 巻 3 号 p. 162-172
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    これまでの研究で,バイオマスとして杉を用いたガス化に対してRh/CeO2/SiO2触媒が,従来と比較して極めて高い活性を示すことを見出してきた。ここでは,新たにバイオマスとしてスペントモルトを用いて,熱分解により生成したタールの部分酸化をRh/CeO2/SiO2触媒,水蒸気改質用Ni触媒,無触媒で行い,性能の評価と杉との比較を行った。無触媒では,タールが多く残留し,その収率は杉とスペントモルトで類似していた。杉の場合,Rh/CeO2/SiO2触媒,水蒸気改質用Ni触媒の両者で,タールはほぼ完全に転換された。一方,スペントモルトの場合,杉と比較してタールが残留しやすく,Rh/CeO2/SiO2触媒を用いても,タールを十分に改質するには923 Kを必要とした。このような反応性の違いの原因としてスペントモルトに含まれる窒素分の影響が考えられる。そこで,アンモニアを導入した効果や,GC-MSを使用してのスペントモルトおよび杉から生成したタールの分析を行った。スペントモルトの熱分解に由来したタールには,含窒素炭化水素や芳香族炭化水素が多く含まれ,これらの成分は杉に由来するタールの主成分である含酸素炭化水素に比べて部分酸化に対する反応性が低く,これが要因となっていることが示唆された。
ノート
  • 駒井 慎一, 矢澤 義輝, 薩摩 篤, 服部 忠
    2005 年 48 巻 3 号 p. 173-177
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/07/01
    ジャーナル フリー
    CeO2を含む触媒では,還元CeO2表面にH2やCOが吸着するので,吸着法による金属分散度の測定が困難であると言われている。そこで,Pt/CeO2触媒を用い,触媒学会参照触媒委員会による金属表面積のCOパルス迅速測定法の標準化マニュアルを基礎としてCO吸着量に対する前処理条件の影響を検討した。標準化マニュアル指定の条件(673 K,15分)で還元した場合には,低表面積CeO2(12.6 m2·g-1)担体では吸着CO量と担持Pt量の比は妥当な値であったが,高表面積のCeO2(66.7 m2·g-1)に担持したPt触媒ではCO吸着量は担持Pt量を上回った。還元温度を373~573 Kに下げたところ,還元時間15分から5時間の範囲で,CO/Pt比は約0.40とほぼ一定となった。この値から球形粒子を仮定して推算した平均粒子径は,TEMで観察した体面積平均粒子径とよく一致した。以上より,還元温度を下げれば,CeO2の還元効果が抑制されて吸着法による金属分散度測定が可能であることが示された。
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