Journal of the Japan Petroleum Institute
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45 巻, 6 号
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  • 二タ村 森, 椛島 一, 永長 久寛
    2002 年 45 巻 6 号 p. 329-341
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    低温プラズマの発生法と物理化学的な性質, 低温プラズマ中における窒素分子, 酸素分子, 揮発性有機化合物, 窒素酸化物の反応挙動, 低温プラズマと触媒/光触媒との相乗作用に関する知見を基にして, 有害大気汚染物質(HAPs)の分解反応, 小分子からの水素生成, 炭化水素の改質といった化学反応に対する低温プラズマの応用可能性について論じた。低温プラズマの平均電子温度や生成する活性種の分布はプラズマ発生法に大きく依存する。上記反応系のエネルギー効率を高めるために, 低温プラズマと触媒/光触媒との複合化は必須であろう。低温プラズマ技術実用化のための課題についてHAPs分解処理を例にして論じた。著者らの実験結果と文献データの比較により, 低温プラズマ反応装置のスケールアップはプラズマ発生法に則して慎重に行う必要がある。
  • 杉岡 正敏, 黒坂 忠弘
    2002 年 45 巻 6 号 p. 342-354
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    本論文では新規の高活性脱硫触媒を開発するために, 脱硫反応のモデル反応であるチオフェンおよびベンゾチオフェンの水素化脱硫反応に対する貴金属(NM)担持ゼオライトおよびその関連物質 (アルミナ層間架橋粘土化合物 (Al-PILCs) およびメソポーラスシリカ (MCM-41)) の触媒特性を検討した。
    貴金属を担持したゼオライト, アルミナ層間架橋粘土化合物(Al-PILCs) およびメソポーラスシリカ (MCM-41) によるチオフェンの水素化脱硫反応では, Pt/HZSM-5, Rh/Al-PILM (モンモリロナイト), 硫化Rh/Al-PILH (ヘクトライト) およびPt/MCM-41触媒が高活性かつ安定性に優れた触媒特性を示した。また, これらの触媒の活性は市販のCoMo/Al2O3系脱硫触媒よりも高いものであった。
    さらに, ベンゾチオフェンの水素化脱硫反応に対して, Pt/HZSM-5, Pt/Al-PILHおよびPt/MCM-41はCoMo/Al2O3触媒よりも高活性であり, これらの触媒は石油中の分子サイズの大きな有機硫黄化合物の水素化脱硫に対して高い能力を有していることがわかった。したがって, ゼオライトおよび関連物質に担持した貴金属系触媒は石油の新しい脱硫触媒として大きな可能性を有しているものと考えられる。
    一方, 水素化脱硫反応に対する貴金属担持ゼオライトおよび関連物質系触媒の高活性発現の原因は, これらの触媒は脱硫反応に対して二元機能触媒として作用するためであることが考えられた。すなわち, これらの触媒の貴金属は水素の活性化の活性点として作用し, スピルオーバー水素を生成する。一方, 担体の酸点はチオフェン類の活性化の活性点として作用し, 活性化したチオフェン類を生成する。貴金属上で生成したスピルオーバー水素は担体上を移動し, 酸点上で生成し活性化したチオフェン類を攻撃して水素化脱硫反応が進行する。したがって, より高活性な貴金属担持ゼオライトおよび関連物質系脱硫触媒を開発するためには, 触媒中の貴金属の水素活性化能と担体の酸性質の高度な調和が重要である。
  • 村松 暁, 角田 範義, 吉田 清英
    2002 年 45 巻 6 号 p. 355-360
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Ce, Mnで修飾したカリウム添加活性炭 (K, Ce, Mn/C)を用いてNOの還元活性を模擬排ガス中の酸素に注目して評価した。模擬排ガス中に酸素が存在しない状態では, 473K以上の温度でNO還元が起こったが, 酸素が存在するとその活性は飛躍的に向上した。反応温度473K, 酸素濃度2%の条件では, 25%のNOがK, Ce, Mn/Cとの反応によって還元された。同じ条件下のK, Ce/CおよびK,Mn/CでのNO還元率は約10%であるが, カリウム添加活性炭にCeとMnが共存すると, NOは炭素により安定にかつ効果的に還元されることがわかった。
  • 木下 睦, 高橋 悟, 上村 宏孝, 三樹 正美, 守谷 武彦, 榎本 兵治
    2002 年 45 巻 6 号 p. 361-367
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    オイルサンドの実用的油層内回収技術として期待されるSAGD法と一体化したオンサイト低粘度化技術の開発を目的とし, ビチュメンをアルカリ超臨界水熱反応により低粘度化させるための反応条件を検討した。その結果, (1) 水を加えない場合の熱分解と比較して, 超臨界水熱分解では, ビチュメンの低分子化とコークの生成反応が抑制されていることが推察された。(2) 超臨界水へのアルカリの添加は, わずかではあるが脱硫, 低粘度化をより進行させた。(3) アルカリ超臨界水熱条件下で, ビチュメンはパイプライン輸送可能なレベルまで粘度化した。このときの生成油収率は, 初期油量の約85%であり, コークを8%程度生成した。(4) 低粘度化に伴い脱硫も進行し, 生成油中の硫黄含有率は初期値の約半分まで減少した。(5) ビチュメンの粘度低下は, 特に反応初期における粘度低下が著しい。この初期の粘度低下は温度が高いほど, また反応溶媒密度が低いほど進行する傾向がみられた。
  • 神力 学, 羽田 政明, 金田一 嘉昭, 長尾 幸徳, 佐藤 一仁, 吉成 知博, 濱田 秀昭
    2002 年 45 巻 6 号 p. 368-374
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アルミナとAg/SiO2を物理的に混合した触媒を用いて, プロペンによるNO選択還元反応について検討したところ, それぞれの単独触媒よりもNO還元活性が向上することがわかった。その原因を調べたところ, 物理混合による活性向上効果は, 反応中にAg/SiO2からアルミナへ銀が移動して生成したAg/Al2O3によるものであることが明らかとなった。銀の移動は酸素雰囲気下でのみ進行し, 水蒸気の共存によりこの移動が促進された。デカン還元剤によるNO選択還元においても, プロペン還元剤の場合と同様の物理混合効果が認められた。
  • 尾花 良哲, 衛藤 和也, 伊藤 正実, 夏 清, 西口 宏泰, 石原 達己, 滝田 祐作
    2002 年 45 巻 6 号 p. 375-381
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    アルカンの酸化的脱水素反応に有効なピロリン酸ニッケル触媒とオレフィンのアリル型酸化反応に有効なBi1-Mo12-Fe1-Co6-Ni2-Cs0.14-Ox触媒の組合せによるイソブタンのメタクロレインへの直接合成について検討した。二つの触媒層を持つ一つの反応器での酸化ではメタクロレインが65%もの高い選択率で生成した。両触媒を粉末混合した触媒ではCOxへの酸化分解は抑制され, イソブテン合成に活性であったが, 粒体混合した触媒の活性は低かった。反応系への水蒸気の添加は含酸素化合物の生成を抑制し, イソブテンの生成を促進した。
  • 宮尾 敏広, 川島 泰明, 澤栗 由紀子, 内藤 周弌
    2002 年 45 巻 6 号 p. 382-388
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    白金, ニッケルおよびパラジウム多結晶箔 (はく) 上でCOの水素化反応を行った。本反応の活性および選択性は水素還元処理の繰返し, およびその温度によって著しく変化した。X線回折および電子線後方散乱スペクトル測定の結果, 水素還元処理によって多結晶箔中の結晶子サイズと優先方位が変化していることが明らかとなった。
    白金箔上では, 主な生成物はメタンとメタノールであり, これらの生成速度は水素還元処理の繰返しによって増大した。一方, ニッケル箔上ではC1からC4炭化水素が主な生成物であり, これらの生成速度は箔の厚みによって大きく変化した。また, パラジウム箔の場合, メタノールとアセトアルデヒドが主生成物であった。いずれの触媒の場合も, 結晶子のサイズと方位の変化が触媒活性に対応していることから, 金属多結晶の結晶方位が活性の支配因子であると結論した。
  • 佐藤 光三
    2002 年 45 巻 6 号 p. 389-403
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    複素変数境界要素法 (CVBEM) は, その計算精度と計算効率の高さをコーシーの積分公式に拠っており, 準解析的な数値解法ととらえることができる。そのような確固たる数学基礎を伴っているものの, CVBEMの実際の計算精度は計数基礎に左右され得るものである。本研究は, そのような基礎的側面のうち, CVBEMの定式化と坑井特異点の処理に焦点を据えたものである。
    CVBEMの定式化には三種類が考えられ, それぞれの計算精度を評価した。定式化Iは既知量を等置するものであり, 未知境界値に誤差を蓄積し, 結果的に激しい誤差振動を招く危険性がある。これと比較して, 未知量等置を用いる定式化IIは, 誤差の蓄積と振動を小さく抑えることができる。定式化IIIは未知量ならびに既知量を等置するものであり, 三種類の定式化の中では最良の計算精度を示した。
    特異点の処理に関しては, 特異解と非特異解を区別する特異性プログラミングをCVBEMに適用することを考える。非特異な流れの挙動は滑らかであるから, CVBEMはその解を高精度で与え, 完全解は解析的特異解を非特異解に重ね合わせることによって求められる。このように, CVBEMに特異性プログラミングを組み合わせることにより, 坑井特異点を精度を損ねることなく取り扱うことができる。
  • 山根 典之, 外輪 健一郎, 草壁 克己
    2002 年 45 巻 6 号 p. 404-408
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    CoMo/Al2O3触媒に, 助触媒として各種の調製法で作製したゼオライトあるいはNi担持ゼオライトを加えて, 難脱硫性硫黄化合物である4,6-ジメチルジベンゾチオフェン (4,6-DMDBT) をデカン中270°C, 水素圧2.5MPaで脱硫した。また, キュリーポイントパイロライザーによりゼオライトあるいはNi担持ゼオライトを用いて, 4,6-DMDBTの異性化反応を行った。脱硫反応性に及ぼすゼオライトの異性化反応性, Si/Al比およびNi担持量の影響について検討した。4,6-DMDBTの脱硫反応性は, 固体酸触媒の異性化反応性が高いほど高かった。4,6-DMDBTの異性化に有効な触媒としてはシリカアルミナ比が小さく, 加えて4,6-DMDBTの拡散を促進するために, 脱アルミ処理することでメソポアが発達した構造であることが必要である。以上の条件を持つYゼオライトにNiを担持することで脱硫反応性が向上し, 本研究で調製したCoMo/Al2O3触媒を単独で使用すると4,6-DMDBTの転化率は40%であるが, 助触媒としてNi担持Yゼオライトを2wt%加えることで, 転化率が最高78%に向上した。
  • 安東 智子, 池永 直樹, 中川 清晴, 鈴木 俊光
    2002 年 45 巻 6 号 p. 409-413
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    オンサイト型燃料電池を用いたコジェネレーションは, 比較的小規模な設備として興味深いものであり, その燃料としてメタンが適しているとされている。しかし, メタン改質は高温を要するため小規模な装置では熱損失が大きく, より適切な原料を用いた水素製造法の開発が望まれる。
    本研究では, 水素製造原料として灯油の使用可能性を検討するため, モデル物質としてドデカンを用い, La2O3に担持させたRh, RuおよびIr触媒を用いてドデカンの水蒸気改質を773~1073Kで行い, 触媒特性を比較した。ドデカンの水蒸気改質ではRh/La2O3およびRu/La2O3が高い活性を示したが, Ir/La2O3はそれらと比較して活性が低かった。しかし, 酸素を同時に供給することによりIr/La2O3はRh/La2O3やRu/La2O3とほとんど同じ活性を得ることができた。担持Ir触媒を用いた酸素存在下での水蒸気改質において, 塩基性のLa2O3が最も高い活性を示した。
  • 堀井 秀之, 川平 洋司, 小池 一栄
    2002 年 45 巻 6 号 p. 414-419
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    石油精製装置の無開放連続運転時間 (機器を開放して洗浄することなく連続運転する時間) の延長, あるいは定期補修期間の短縮, 安全に機器を開放し点検•補修することのできる状態にする方法の一つに装置に対する薬品洗浄がある。これは洗浄対象機器に対して循環ループを組み, 汚れの除去能力を持つ洗浄薬品を含む洗浄液で循環して汚れを除去する方法である。これまでの薬品洗浄技術を装置に適用しても汚れや有害ガスを十分に除去できないことがあったため, この問題を解決することができる薬品洗浄技術を開発した。この技術の要点は, 薬品洗浄の前工程である軽油循環中に芳香族溶剤を添加すること, およびデコンタミネーション後の排泥処理を強化することである。この薬品洗浄を減圧蒸留装置の原料油予熱系•減圧残油系熱交換器群に適用した結果, 汚れは除去され, 機器を開放して行う高圧水洗浄と比較して同程度まで熱交換器の機能を回復させることができた。また, 熱交換器内部からの有害ガスは認められなかった。一方, 水系薬品洗浄で発生した洗浄排水のCOD (化学的酸素要求量) や全窒素量が高いため, 浄化することなく河川や港湾へ放流することができない。ここでは, 洗浄排水を活性炭とイオン交換樹脂に通水処理することで, 製油所内の排水処理設備で処理可能な水質まで高効率に浄化できることがわかった。
  • 白井 誠之, Bhalchandra M. Bhanage, 仙北 久典, 藤田 進一郎, 荒井 正彦
    2002 年 45 巻 6 号 p. 420-421
    発行日: 2002/11/01
    公開日: 2008/10/15
    ジャーナル フリー
    Platinum nanosheets between graphite layers were active for hydrogenation of ethynyl group of phenylacetylene but less active for that of aromatic rings of phenylacetylene and benzene due to its structural characteristics.
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