Journal of the Japan Petroleum Institute
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60 巻, 3 号
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総合論文
  • 北野 政明, 小林 久芳, 林 繁信, 原 亨和
    原稿種別: 総合論文
    2017 年 60 巻 3 号 p. 113-120
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー

    チタン酸ナノチューブの固体酸触媒特性を,異なる構造を有したチタン酸化物と比較することで評価した。チタン酸ナノチューブは,スクロール構造を有した材料であり,フリーデル・クラフツアルキル化反応やベックマン転位反応に高い触媒活性を示した。その触媒活性は,同様の結晶構造を有するチタン酸ナノロッドやナノシートよりも優れていることが明らかとなった。チタン酸ナノロッドの方がイオン交換サイトを多く持っているが,ナノロッドのイオン交換サイトは,層間に存在し,表面に露出していない。一方,チタン酸ナノチューブは,ブレンステッド酸とルイス酸の両方の酸点が表面に露出している。さらに,チタン酸ナノチューブは,スクロール構造によるひずみによりチタン酸ナノシートよりも高いブレンステッド酸性を示す。これら表面に露出したブレンステッド酸点とルイス酸点が協奏的に作用することで高い触媒活性を示す。

  • 蛯名 武雄, 石井 亮, 相澤 崇史, 吉田 肇
    原稿種別: 総合論文
    2017 年 60 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー

    我々は,水素タンク用に最近粘土を主成分とする新しい膜(Clay-based film; CBF)を開発した。この材料は非常に高い水素ガスバリア性と耐久性を有する。この材料の水素ガスバリア性能は他の高分子系材料と比較して2~3桁優れていることが予備試験より示された。我々は,さらにリチウム交換スメクタイトとナイロンからなるこのナノコンポジット膜の伸びとガスバリア性能について調査した。その結果,破断伸びとガスバリア性能のバランスから,粘土70 %組成の膜を提案した。また,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とCBFの多積層材料,およびCFRPベースのタンクを試作した。開発材料は航空宇宙用,車用軽量水素タンクに適していることが示された。

一般論文
  • 齊藤 優, 長崎 宏, 渡邊 繁幸, 藤本 尚則
    原稿種別: 一般論文
    2017 年 60 巻 3 号 p. 127-136
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー

    地球温暖化の防止,食料との競合を回避するために,第2世代のバイオマス(セルロース系バイオマス)から燃料基材であるエタノールを製造することは重要である。エタノール発酵で利用されている酵母(Saccharomyces cerevisiae)はセルロース中のC6糖(グルコース)からエタノールを生産することは可能であるが,ヘミセルロース中のC5糖(キシロース)からエタノールを生産することができない。本研究では,酢酸を阻害物質として添加し,Candida intermedia(NBRC 10601)の馴養および選抜を繰り返し,C. intermedia 4-6-4T2株を単離した。C. intermedia 4-6-4T2はC5(キシロース)およびC6(グルコース)を同時に消費し,エタノールへ変換することが可能である。キシロースからエタノール生産可能な酵母(C. intermedia 10601 (親株),C. intermedia 4-6-4T2 (馴養変異株),Pichia stipitisCandida shehataeおよびPachysolen tannophilus)を糖組成および濃度を変化させた液体培地でそれぞれ前培養後,酢酸を添加した糖液で発酵試験を実施した。P. tannophilusを除き,キシロースおよびグルコースを添加した前培養後の酵母では,グルコースまたはキシロースのみ添加した場合よりも糖液からのエタノール生産性は増加した。今回試験をした酵母株の中で,C. intermedia 4-6-4T2はキシロース(44 g/L)およびグルコース(88 g/L),発酵阻害物質として酢酸(3 g/L)を含む糖液(pH 5.5)から最も高濃度のエタノール(54 g/L)を生産した。さらに,C. intermedia 4-6-4T2はセルロース系バイオマス由来の糖化液(サトウキビバガスまたはコーンストーバー)からキシロースおよびグルコースを同時に消費し,約50 g/Lのエタノールを生産した。また,その時のエタノール生産性は1.0 g/L/hを示した。

  • 渡辺 文博, 鏑木 以久子, 霜田 直宏, 五十嵐 哲, 里川 重夫
    原稿種別: 一般論文
    2017 年 60 巻 3 号 p. 137-145
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー

    メタン水蒸気改質反応のためのα-アルミナ担持貴金属(Rh,Pt,Ir,Ru)触媒の硫黄耐性を700 ℃で検討した。反応ガス中に不純物硫黄としてのジメチルスルフィド(DMS)が存在すると各触媒のメタン転化率は減少した。反応ガス中のDMS濃度が増えると各触媒の劣化速度が加速された。一般的に硫黄被毒は触媒劣化の主な要因の一つであることが知られている。触媒の劣化挙動は硫黄濃度や活性金属種により異なる。Rh触媒やRu触媒では数時間で失活した。Pt触媒やIr触媒では数時間でメタン転化率がある程度まで低下するが,それ以降はメタン転化率が変化しなかった。Pt触媒やIr触媒はDMSの供給を止めることによって触媒活性が回復し,Rh触媒はある程度までしか回復しなかった。Ru触媒ではほとんど回復しなかった。メタン水蒸気改質反応中のPt触媒やIr触媒に対する硫黄被毒の影響は一時的であった。

  • 渡部 岳, 中坂 佑太, 増田 隆夫
    原稿種別: 一般論文
    2017 年 60 巻 3 号 p. 146-153
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー

    MTW型アルミノシリケートおよびフェリシリケートによる2-メチルナフタレン(2-MN)のメチル化を高圧条件下で行い,速度解析を実施した。得られたメチル化および異性化の活性化エネルギーは酸量や骨格導入ヘテロ原子種によらず,それぞれ176 kJ mol−1および26 kJ mol−1と求まった。Si/Al比の異なるアルミノシリケートを用いた場合,Al量の増大に伴いメチル化および異性化の速度定数は向上した。一方,アルミノシリケート(Si/Al=100)と比較して,フェリシリケート(Si/Fe=100)のメチル化速度定数は同程度の値を示し,異性化速度定数は大きく低下した。異性化反応が抑制されるため,フェリシリケートは高いジメチルナフタレン(DMN)選択率およびβ,β-DMN組成を示した。

ノート
  • 松井 徹, 西野 智彦
    原稿種別: ノート
    2017 年 60 巻 3 号 p. 154-157
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル フリー

    吸着法によりポリウレタン発泡体へアルカン分解細菌を固定化し,繰り返し分解処理について検討した。疎水性化合物を共存培養させることにより,BrevibacteriumRhodococcusPseudomonas属のアルカン分解細菌の担体への吸着が促進された。共存化合物の吸着効果は,log Pで示される疎水性パラメーターに従って促進されることが明らかとなった。アルカン分解菌による資化性を示した糖類,トリグリセリド,脂肪酸を用いてlog P値が−3.24(グルコース)から23.7(トリオレイン)の範囲で吸着効果を維持しながら増殖を示す基質について検討した結果,トリオレインが最も高い効果を示した。トリオレイン含量の高い市販油脂としてサラダオイルを使用し,最も高いアルカン分解活性を示したBrevibacterium ketoglutamicum ATCC15587の固定化菌体を用いて300時間のn-テトラデカンの繰り返し分解が可能であった。

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