近年,バイオマスのガス化によってCH
4を主成分とする合成天然ガス(SNG)を製造し,化石資源の代替燃料に活用するアプローチの実用化が検討されている。バイオマスのガス化は吸熱反応であるため,メタネーションの発熱反応と統合することで,オートサーマル方式でSNGを製造できる可能性がある。そこで本報告は,オートサーマル型SNG製造のプロセス性能を,未反応のH
2モル分率やCH
4収率という重要な指標に基づいて評価した。特に,SNG製造後のCO
2分離には多大な熱エネルギーを要する点を踏まえ,省エネルギーなCO
2回収を実現する有力候補としての膜分離法に着目した。その上で,オートサーマル型SNG製造システムに膜分離ユニットを導入することの可否を,プロセス計算によって評価した。その結果,膜分離のユニット性能を表すCO
2/CH
4分離係数の値が50を上回ると,CH
4損失率が2 %未満に抑えられることが判明した。本報告で得られた結果は,CO
2膜分離型SNG製造プロセスの実現可能性を検証するための基礎データとして位置づけられる。
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