近年, 日和見感染や院内感染の原因菌として注目されつつある
Methylobacteriumextorquensの院内環境における分布状況を把握するため, 飲料用タンク水 (水道水) および空気環境について調査を実施した. その結果, タンク水では50試料中37試料 (74%) から本菌が検出され, 広く分布していることがわかった. また落下細菌では50ヵ所中外来通路6ヵ所 (12%) から検出された.
本菌は血液寒天やマッコンキー寒天培地などには発育しにくく, 37℃, 24時間の培養では集落を形成することは困難であった. しかし, 標準寒天等の培地上では, 25~30℃, 5日間以上の培養で, 淡紅色の非水溶性色素を産生する, 直径1mm前後のS型集落を形成した. これらは空胞性のグラム陰性桿菌で, 極単毛による著しい運動性を示した. オキシダーゼおよびカタラーゼは陽性であったが, 他の酵素活性は微弱であった. 炭素原としてメタノールを利用することが本菌の特徴のーつであった.
また, 薬剤感受性試験の結果では, ミノサイクリン, カナマイシン等の抗菌物質には感受性であり, リンコマイシン, クリンダマイシン, ナリジキシン酸, コリスチン, ポリミキシンB等に対しては抵抗性を示した.
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