環境感染
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7 巻 , 2 号
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  • MRSAと緑膿菌について
    佐藤 隆志, 広瀬 崇興, 小六 幹夫, 熊本 悦明, 小林 宣道, 浦沢 正三, 上原 信之, 大水 幸雄
    1992 年 7 巻 2 号 p. 1-7
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    我々の病棟において, 一時期に尿および創感染からのMRSA分離頻度が増加したため, その主たる伝播経路を調べる目的でMRSA感染患者の周囲, 行動範囲内の手の触れる各場所, 患者と接触する主治医, 看護婦の手指および鼻腔などから菌の検出を試み, その伝播経路に関して検討した. また, 比較の意味で緑膿菌感染患者についても同様に検討した.
    1) MRSA感染患者では, 患者の腹部皮膚, 患者鼻腔, 患者の留置カテーテル表面, 主治医の手指から同じコアグラーゼ型で, しかも同じ抗菌薬感受性パターンを示すMRSAが検出された.
    2) 緑膿菌感染患者では, いずれの部位からも緑膿菌は検出されなかった. 以上より, 交叉感染の媒介に手指などが関与するという可能性は, 緑膿菌よりもMRSAで高いことが示された. したがって, もっとも基本的な手洗いと, 無菌的処置操作の徹底, 環境消毒がMRSA感染対策において重要であるということが改めて示唆された.
  • 新里 敬, 仲宗根 勇, 草野 展周, 小出 道夫, 重野 芳輝, 斎藤 厚
    1992 年 7 巻 2 号 p. 9-13
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) が分離された患者の頻度が高かった外科病棟の空中浮遊細菌, 医療従事者の鼻腔内のMRSA保有状況およびその除菌についての検討を行った.MRSAは病棟のナースステーション, 重症患者を収容する病室から分離された.医療従事者では看護婦24名中4名 (16.7%) からMRSAが分離され, 医師16名からは分離されなかった.看護婦から分離されたMRSAのコアグラーゼ型は4株中3株が皿型, 1ヵ月前に他施設から転勤してきた1名の1株が皿型であった・それらの株と外科病棟入院患者の同時期の臨床材料から分離されたMRSAについて薬剤感受性, コアグラーゼ型, β-ラクタマーゼ産生の点から比較検討してみると, 両者間に同様のパターンを示す株が多く認められた.
    保菌者は1名を除きポビドンヨード軟膏の鼻腔内塗布で除菌され, 除菌できなかった1名はバシトラシン含有軟膏を用いて除菌された.
    以上より, 医療従事者, 患者間におけるMRSA伝播の可能性と除菌におけるバシトラシン含有軟膏の有用性が示唆された.
  • 金子 明寛, 山崎 哲夫, 富田 文貞, 馬場 正道, 小島 勝, 川島 千恵子, 金山 明子, 小林 寅哲
    1992 年 7 巻 2 号 p. 15-20
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MRSA院内感染対策として環境調査を行い, 本菌の生物学的性状, 薬剤感受性による解析を行い, 対策を実施し, 環境由来MRSAの減少をみたので報告する. 小児科, 外科, 脳外科の各病棟および手術室において, 医療従事者がもっともよく触れると考えられた152ポイントより採取し, MRSA検出率は11.8%であった. 医療従事者の手指, 白衣より86ポイント採取し, 白衣からの検出率は20.9%, 手指からの検出率は14%であった. いずれもコアグラーゼII型, エンテロトキシンC型, TSST-1産生株であるが, 薬剤感受性は異なり, 外科および脳外科分離株はOFLXに耐性であるが小児科では感受性であった. 病棟単位で, 手指を介しての伝播を絶つことを目的とした感染予防対策勉強会を開催し, 対策後は医療従事者からの検出率は17.4%から2.3%に減少し, 環境では15.5%から7.1%に減少した.
  • 山添 喜久雄, 岩井 紀代身, 水上 勇三, 片桐 義博, 加藤 直樹, 渡辺 邦友, 上野 一恵
    1992 年 7 巻 2 号 p. 21-26
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院内の各種搬送物の細菌汚染は, 搬送途上における院内の他の部署への汚染の拡大や末端医療従事者への二次汚染, 二次感染を引き起こすことが懸念される. 薬剤部への病棟からの搬送物に関しても同様のことが考えられることから, これらに付着する菌種や除菌方法について検討した. 病棟から回収した注射薬補給ワゴン車および製剤容器とその運搬車の表面を拭き取り, 細菌の検出と同定を行った結果, Pseudomonas属は検出されなかったが, 製剤容器とその運搬車では, 単位面積あたり比較的多数のStaphylococcus属が認められた.検討した37本の製剤容器表面では34本 (92%) でStaphylococcus属を検出し, 35分離株中Staphylococcus aureusが9株 (26%) ともっとも多く, ついでStaphylococcus haemolyticusが7株 (20%) であった. 今回, 製剤容器から検出した42菌株の薬剤感受性試験ではS. aureusの78%に, またS. aureus以外のStaphylococcus属の9%にβ-ラクタム系抗菌薬に対する多剤耐性株が認められた. ATCC由来株を含めたS. aureus6株を用いて菌液をガラス板に塗布後, 各種消毒液 (0.1%グルコン酸クロルヘキシジン, 0.025%塩化ベンザルコニウム, 消毒用アルコール, 0.5%グルコン酸クロルヘキシジンアルコール) を噴霧したところ良好な除菌効果が認められ, これらの消毒液の噴霧は機材表面の汚染に対して有用な除菌方法であると考えられた.
  • 高森 スミ, 久家 智子, 辻 明良
    1992 年 7 巻 2 号 p. 27-32
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    手指消毒剤の評価のうち, 殺菌あるいは抗菌作用についての検討成績は数多く報告されているが, 使用者から手荒れの訴えがあるにもかかわらず, その検討報告は少なく, 対策に有用な成績は得られていない. 消毒剤を常用する医療従事者にとっては, 手荒れが生じにくくかつ除菌, 殺菌効果のすぐれた消毒剤が望まれる. 本研究では健常者を対象に実際の手指消毒法に準じた条件で, 1日8回, 8日間手洗いを行い, その前・後の皮膚状態を観察し, 加えて除菌効果およびパッチテストによる皮膚刺激性について検討した. 用いた消毒剤は4%グルコン酸クロルヘキシジン, 0.5%グルコン酸クロルヘキシジン, 0.1%塩化ベンゼトニウム, 0.2%塩化ベンザルコニウム・エタノール, 7.5%ポビドンヨードの5剤である.その結果, 使用した消毒剤すべてにおいて手洗い回数が増えるに従い手荒れがみられ, その程度は7.5%ポビドンヨードがもっとも高く, ついで0.1%塩化ベンゼトニウム, 4%グルコン酸クロルヘキシジン, 0.5%グルコン酸クロルヘキシジン, 0.2%塩化ベンザルコニウム・エタノールの順であった. また皮膚の状態から手荒れは爪周囲に強く認められた. 除菌効果は7.5%ポビドンヨード (平均76.9%) を除く4剤は91%以上と高い除菌率を示した. パッチテストの陽性率は0.2%塩化ベンザルコニウム・エタノールの35.5%がもっとも高く, ついで7.5%ポビドンヨードの15.5%であった.しかし, パッチテストの陽性率と手荒れ度との相関は認められなかった.
  • 西口 まゆみ, 川瀧 美智子, 久保 小百合, 瀧川 圭一, 山岸 善文, 根ケ山 清, 藤田 次郎, 森田 敏子, 中澤 晶子
    1992 年 7 巻 2 号 p. 33-37
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    1990年1月から1991年8月の期間に, 香川医科大学第一内科病棟入院中の免疫抑制患者37症例において上気道より, Pseudomonas cepacia (P. cepacia) を検出した. 感染源追及のため病棟内の環境調査を行ったところ, 病棟で使用されていたすべて (計8個) のネブライザー嘴管よりP. cepaciaが純培養された. さらに患者由来の菌株とネブライザー嘴管より検出されたP. capaciaとのtyping が一致したことより, ネブライザー嘴管を感染源とした院内感染であることが判明した. ネブライザー嘴管の消毒に使用していた0.1%ミルトンにてP. cepaciaは30秒以内に殺菌された. このことより汚染の原因は, ネブラ・イザー嘴管の複雑な構造のため, ミルトン消毒液が十分行きわたっていなかったことによるものと考えられた. 消毒方法を改善した結果, P. cep aclaによる院内感染症は終焉した.
  • 加瀬 哲男, 前田 章子, 峯川 好一, 横山 浩, 坂上 吉一
    1992 年 7 巻 2 号 p. 39-42
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    最近, 開発された遠赤外線熱風加熱処理装置を用いて, アデノウイルス (ADV) と単純ヘルペスウイルス (HSV) における加熱不活化試験を行った. ADVは, 120℃5分の加熱処理ではウイルスの感染価は低下したが, 細胞毒性, 感染性粒子の産生, 抗原性, 核酸の保存性の試験したすべての活性指標において陽性であった. しかし, 200℃30分以上の処理ではこれらすべての活性指標は陰性となり, ADVに対する滅菌処理の標準法が示された. 一方, HSVは, 100℃5分の加熱処理でウイルス感染価が検出限界以下となり, ADVに比べて低温でも不活化されることがわかった.
  • 荒川 迪生, 権平 文夫, 杉山 純一
    1992 年 7 巻 2 号 p. 43-46
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    海外旅行の経験のない76歳, 女性患者から, 1988年6月2日に採取した気管支肺胞洗浄液の培養で検出されたSalmomlla typhiの鞭毛抗原がZ66であった. このことから, 大阪市立桃山病院感染症センターに収容された腸チフス患者12人から経日的に検出・保存された菌株を用い, 特別な相変換操作を行うことなく鞭毛抗原Z66とjの出現状況を調べた. その結果, 海外旅行経験のない患者から検出されたUVS1以外のファージ型の菌株もZ66抗血清によって明瞭に凝集したが, j抗原を発現していた株はなかった・またUVS1も含めて分離日の異なる同一患者由来菌株が, dとZ66を同時に, または交互に発現することもわかった.
  • 渡部 節子, 戸田 すま子, 山本 匡子, 小田 切繁樹, 奥田 研爾
    1992 年 7 巻 2 号 p. 47-51
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    院内におけるMRSAの環境調査を実施した結果, 高率にフロアからMRSAが検出された.そこでフロアに注目し, これより検出されたMRSAをコアグラーゼ型, ファージ型, プラスミド・プロファイル, 薬剤耐性型別に疫学的調査をした. その結果, 個室では患者本人とは異なる型がフロアから検出されたり, また同病棟内においていくつかの部屋のフロアから同型が検出されるなど, MRSAが医療従事者により汚染拡大されている疑いが示唆された.
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