環境感染
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19 巻, 2 号
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  • 高良 武博, 大湾 知子, 加藤 種一, 上原 勝子, 津波 浩子, 佐久川 廣美, 備瀬 敏子, 久田 友治, 新里 敬, 健山 正男, ...
    2004 年 19 巻 2 号 p. 267-273
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    MRSA分離患者が多かった病棟において, 看護行為前後の手指衛生行動としての手洗いと手指消毒を経時的に参与観察し, 接触伝播に対する防止対策を検討した.看護行為全体に対する直接看護行為の割合は46%で, 診療・治療の介助が16.2%, 排泄ケアが9.8%と高く, 手指衛生行動の実施率は排泄ケア前後が46.6%と最も高かった. それらの行為後では流水による手洗いが多く, 実施場所はナースステーションが多かった. 手指衛生行動の必要場面の実施率は行為前より行為後が高く, 診療・治療の介助前が12.5%, 介助後が30%, 排泄ケア前が11.1%, ケア後が55.6%であった. しかし, MRSA患者に対しては排泄ケア, 入浴介助時の手袋着用率は高いが, 取り外し後の手指衛生行動の実施率は低かった. 手指衛生行動の関連要因では, 直接看護行為後に必要な手指衛生行動の実施率は看護経験年数と正の相関を認めた. 以上の結果より, 手指衛生行動の教育・啓発活動としては, ケア前後及び手袋取り外し後の手指衛生行動の遵守強化, 連続看護行為時の手指消毒の推奨, 手洗い設備としては, 看護行為場所から手洗いシンクへの移動時の接触伝播防止として, 各病室の手洗いシンクへの石鹸やペーパータオルの設置が必要である. 今後, 手指衛生行動の評価には看護行為実践時の経時的観察が必要であり, 看護行為及び手指衛生行動を経時的かつ迅速に評価できる観察・評価表を考案した.
  • 久田 友治, 佐久川 廣美, 仲宗根 勇, 津波 浩子, 上原 勝子, 大湾 知子, 比嘉 太, 健山 正男, 佐久川 廣, 齋藤 厚
    2004 年 19 巻 2 号 p. 274-276
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    医療や看護の臨床実践における手洗いのコンプライアンスは高くなく, また, 手洗いの評価報告の多くが現場で行われている手洗いとは乖離している可能性がある. 更に, CDCが速乾性手指消毒薬を高く評価した新しい手指衛生ガイドラインを発表した事もあり, 私たちは速乾性手指消毒薬のすり込みを含む手指衛生法を, 医療と看護の現場において評価した.対象を速乾性手指消毒薬のすり込み, 液体石鹸による手洗い, ポピドンヨードによる手洗いの3群に無作為に分け, 手指衛生前後の菌の減少率で比較した. 菌の減少率は速乾性手指消毒薬群 (n=20) で95.5±7.8%, 液体石鹸群 (n=19) で55.2±68.2%, ポピドンヨード群 (n=21) で46.6±54.0%であり, 群間に有意差を認めた (p<0.0001). 今回の結果と新しいガイドラインの教育は医療や看護の臨床実践における手指衛生のコンプライアンスの向上に有意義であると考えられる.
  • 村田 昌之, 岸原 康浩, 鍋島 茂樹, 古庄 憲浩, 黒木 信, 林 純
    2004 年 19 巻 2 号 p. 277-280
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    The BOX-O3 is a new, alternative apparatus that uses ozone for the disinfection of biomedical waste. This study evaluated the ability of the apparatus to disinfect contaminated medical and laboratory waste that included a variety of bacterial strains. Microbiological measurement was done on laboratory waste contaminated with a variety of bacterial strains, medical waste alone, and medical waste contaminated with Bacillus subtilis collected from the infectious disease ward of Kyushu-university hospital. The strains tested for were Bacillus subtilis, Pseudornonas aeruginosa, Staphylococcus aureus, Enterococcus faeciurn, and Candida albicans. A 100mL (5 test tubes containing 20 mL each) bacterial suspension consisting of 108 to 109 colony forming units (CFU)/mL was added to waste in a container. The mean bacterial load of the waste was measured immediately after shredding and ozone treatment. Three samples were recovered from three different places at random in the bulk ground. The samples were diluted to 1:10 and 1:100, then cultured at 37°C for 48 hr in a blood agar medium. For the measurement of primary bacterial load, shredding alone was done without the boost additive (hydrogen peroxide and acetic acid) and ozone treatment. All assays were done in triplicate. In the laboratory waste contaminated with a variety of bacterial strains, all bacterial populations were decreased by at least 4 log10 immediately after ozone treatment. The primary mean bacterial load of the untreated medical waste alone was 3.8log10 CFU/g, and only normal flora was observed. The primary mean bacterial load of the untreated medical waste contaminated with Bacillus subtilis was lower than that of the untreated laboratory waste contaminated with Bacillus subtilis. In the medical waste contaminated with or without Bacillus subtilis, no bacterial populations were detectable immediately after ozone treatment. The BOX-O3 safely and efficiently treated infectious medical waste collected from hospital ward, indicating that the BOX-O3 is an effective alternative technology for the treatment of infectious waste and for controlling hospital infection.
  • 村川 幸市, 三笠 桂一, 小泉 章, 徳谷 純子, 佐野 麗子, 増谷 喬之, 宇野 健司, 笠原 敬, 善本 英一郎, 前田 光一, 古 ...
    2004 年 19 巻 2 号 p. 281-286
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    当院で2001年6.月に組織した感染対策チーム (Infection Control Team, 以下ICTとする) の活動の中で, 同年9月から, 入院患者へ新規に注射用抗MRSA薬 (塩酸バンコマイシン: VCM, テイコプラニン: TEIC, 硫酸アルベカシン: ABK) が処方されると, 感染制御医師 (以下ICDとする) が病棟へ出向き, 担当医とその処方が適正かどうかを協議するようにした. 加えて2002年4月から, 新規にMRSAが検出された全入院患者につき, 担当医に, 保菌か感染症かの判断や, 注射用抗MRSA薬投与の見込み等を記載した報告書の提出を義務付け, また, MRSA非検出患者に注射用抗MRSA薬を投与した場合は, その理由を文書で報告することとした. これらの感染対策により, 新規MRSA検出患者数や, 注射用抗MRSA薬の総使用量の変化, 注射用抗MRSA薬の新規投与症例数と不適正投与 (保菌者への投与, 非検出患者への投与) 症例数の変化を検討した. 結果, 2001年9月から2002年3月までと2002年4月から2002年12月までとの比較において, 月平均の新規MRSA検出患者数は, 32.3人から29.6人に減少し, 月平均の注射用抗MRSA薬新規投与症例数は22.1人から20.8人に減少し, その内, 月平均の不適正投与症例数は8.4人から6.2人に減少した. 以上から, これらのICT活動を今後も立ち止まることなく継続することが, 抗MRSA薬の適正使用を促し, 新たな耐性を防止するために有効であると考えられた.
  • 小森 敏明, 藤田 直久
    2004 年 19 巻 2 号 p. 287-292
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    輸液ラインからの感染防止, 針刺し防止を目的とした閉鎖式ニードルレス側注デバイスを備えた輸液ラインが近年普及しつつある. しかし臨床で輸液の調剤・混注及び各接続部分の不適切使用に起因した輸液ルート内への細菌侵入は重篤な感染症を引き起こす危険性がある. 今回我々は, 国内で入手可能な閉鎖式ニードルレスデバイスを用いて輸液システムを構成し, 内部をセラチア菌で故意に汚染し, 24時間通液後のデバイス死腔内での細菌増殖性を検討した.
    内部死腔を有するデバイスでは, 汚染脂肪乳剤の停留を認め, 24時間通液後にセラチア菌の増殖を認めた. 一方, 内部死腔のないデバイスでは, 汚染脂肪乳剤の停留を認めず, 菌の増殖を認めなかった.
    閉鎖式デバイスの内部死腔に細菌混入が発生した場合, 細菌は死腔内で増殖し, 臨床において通常起こり得ない菌数が生体内に注入されることが起こる可能性がある. このことは血管内カテーテル由来菌血症をはじめ, 重篤な感染症発症の一因となる危険性が示唆された.
  • 木戸川 秀生, 伊藤 重彦
    2004 年 19 巻 2 号 p. 293-296
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    消化器外科術後の高カロリー輸液療法中に発症したカテーテル敗血症について, 発生率の推移および, 疾患の種類や手術の緊急性, 合併症の有無, カテーテル挿入日数などによって差があるか検討した. 対象は過去5年間の消化器術後TPN施行症例257例 (待機手術196, 緊急手術61) である. カテーテル敗血症の発生率は全体で10.9%であったが, 中心静脈留置カテーテルの管理マニュアルを作成して以降, 発生率は徐々に減少した. 100カテーテルあたり発生件数および1000カテーテル挿入日数あたり発生件数は, それぞれ待機手術で11.7, 4.3, 緊急手術で8.2, 2.9であった. 疾患別では食道癌, 肝胆膵の癌など侵襲の大きい手術, 術後合併症を有する症例で発症率が高かった.
  • 森兼 啓太
    2004 年 19 巻 2 号 p. 297-300
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    2000年11月から消化器外科手術を対象に手術部位感染 (SSI) サーベイランスを開始した. サーベイランスの対象は当科で施行される開腹術で, 開胸を伴うものや腹膜炎などの汚染手術は除いた. また, SSIサーベイランス開始前の比較対象として直近の10ヵ月, すなわち2000年1月から10月までの診療録調査を行なった. NNISのデータベースおよび過去のデータとの比較に際しては, NNIS Risk Index Scoreによるリスク調整を行ない, Standardized infection ratio (SIR) を算出した. サーベイランスの対象の大部分を占める大腸手術に関する解析では, サーベイランス開始直後の6ヵ月間のSSI発生率は低下し, それに続く6ヵ月間の発生率は開始前の発生率に対して有意に低下した. SSIサーベイランスを実施する傍ら, データ解析結果のフィードバックを通じてSSIを減少させる実際的な方策を議論し, 術中抗菌剤追加投与の徹底, 腹腔内洗浄, 手袋の交換, 閉創の工夫などを介入として行った. これらの活動が結果として質改善につながったと考えられる. SSIサーベイランスを通じて外科手術の質改善活動が行われ, SSIが減少した.
  • 清水 潤三, 福森 華子, 上野 敬子, 上山崎 みちる, 瀬田 友子, 高本 いく子, 安井 友佳子, 新見 喜洋, 今村 博司, 龍田 ...
    2004 年 19 巻 2 号 p. 301-305
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    目的: 当院では1997年より手術部位感染 (Surgical site infection: SSI) サーベイランスを実施し, SSIを減少させる努力を続けている. 5年間の結果について報告する.
    方法: サーベイランス開始前の1996年10月から97年3月を第1期, サーベイランス開始後の97年10月から98年3月を第2期, 99年4月から99年9月を第3期, 2000年4月から01年3月を第4期, 02年1月から02年6月を第5期として, 胃手術についてSSI発生率の変化を検討した. 結果: 各期の移行時に, SSIを減少させるための対策を立案し実施してきた. 具体的には予防的抗生物質の術直前の投与開始, 及び術中追加投与, 術前剃毛の中止, 術中腸管操作終了後の手袋交換等を対策として行った. さらに第4期から第5期への移行期には (1) 創処置前の1) 手洗い, 2) 手袋着用,(2) 術後のドレーン管理として, 1) クリニカルパス利用による早期抜去, 2) ドレーン袋・廃液キャップの清潔保持, 3) ドレーン刺入部の密閉ドレッシングの使用, を対策として行った. 各期のSSI発生率 (%) はそれぞれ30.8, 9.7, 17.8, 18.6, 9.4であった. 第5期では最もSSIが減少した. 考察: 5年間にわたり, SSIサーベイランスを行い様々な対策を行ってきた結果, SSIは減少した. 継続してSSIサーベイランスを行うことが重要と考えられた.
  • 古畑 勝則, 宮本 比呂志, 福山 正文
    2004 年 19 巻 2 号 p. 306-310
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    市販園芸用土におけるレジオネラ属の生息状況を把握するために112試料について分離を試みたところ, 11試料 (9.8%) から分離され, 低率ながら生息していることが判明した. また, これらの試料を室温で放置した場合は6ヵ月経過後でも分離され, 長期にわたって生残することが確認できた.分離菌種はL.pneumophilaが優占種であり, 血清群別では6群, 1群, 3群が比較的高頻度に分離された. これら分離株はいずれもAcanthamoeba内で増殖可能であったことから病原性を有すると考えられた. また, 分離株の薬剤感受性試験では, rifampicinのMIC90が0.125μg/mLと最も感受性が高かったが, minocyclineは32μg/mL, piperacillinは>256μg/mLとMIC値が高い傾向がみられた.
  • 住田 千鶴子, 丹羽 知美
    2004 年 19 巻 2 号 p. 311-314
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    今回, 看護職員に対し定期的な手洗いトレーニングを行い, 日頃の手洗い状況を客観的に認識させ, 手洗いのレベルアップを図った. 蛍光塗料を用いた洗い残しチェックを行い部位別に合計7点で点数化した. 次に個人別手形シートに洗い残しと手荒れの部位を示し, 各個人に提示して前回の結果との比較, 手洗いの実際, 速乾性擦式消毒薬の適正使用と活用の啓蒙, 皮膚保護剤での保湿を個別指導した. また, 速乾性擦式消毒薬とその効果を記したカードを各ベッドサイド, 人工呼吸器の側など使用しやすい場所に設置した. その結果, 3月, 5月, 9月の3回の調査で洗い残しが3点以上は58%, 48%, 61%, 1点以下は, 19%, 30%, 10%と推移した. 洗い残し結果からみる手洗いコンプライアンスは, 個別指導後2ヵ月では高まったが4ヵ月経ると再び低下しており, 個別指導の間隔と継続が重要であると考える. また, 手荒れは1, 2回目とも約半数の職員のほぼ同じ部位に存在した. しかし, 3回目には17%と減少し, セルフケアについての個別指導と, 速乾性擦式消毒薬の活用の成果がみられた.
  • オランダ・ドイツへの訪問を終えて
    森兼 啓太
    2004 年 19 巻 2 号 p. 315-319
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
    病院感染サーベイランスはアメリカで確立され, NNISシステムを中心とした確固たるサーベイランスが行われていることはよく知られている. しかし, 他の国の実情に関してはあまり知られていない. ヨーロッパでは数力国が1990年代に全国的サーベイランスを確立した. 現在は全ヨーロッパ的データベースを構築すべく取り組んでいる. 今回, オランダおよびドイツの全国的サーベイランス担当者を訪問し, ヨーロッパのサーベイランスの実情につき調査研究した. 両国は数年間で確固たるシステムを確立し, 情報技術 (IT) 専門家を擁し, データの質の高さを重視しているなどの共通点を持っている. 日本は当学会の事業であるJapanese Nosocomial Infections Surveillance (JNIS) システムが始動してまだ3年余が経過したにすぎない. 経済先進国としての責務を果たすべく, アメリカおよびヨーロッパのシステムを参考にして全国的サーベイランスシステムを確立し, 国際比較に耐えうるデータベースを構築してくことが求められている.
  • 小西 敏郎, 針原 康
    2004 年 19 巻 2 号 p. 320-322
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 19 巻 2 号 p. 323-326
    発行日: 2004/05/10
    公開日: 2010/07/21
    ジャーナル フリー
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