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今枝 真二郎, 笹川 周作, 辻本 良真, 山本 治樹, 前田 真一, 小俣 達男
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0501
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
NRT2は硝酸イオンの吸収に関する輸送体で、植物あたり数分子種が存在している。ヒメツリガネゴケも8つのNRT2分子種をもつが、主要成分はNRT2;1~NRT2;4の4つである。一般にNRT2は高親和性の硝酸イオン輸送体とされるが、NRT2;1~NRT2;4の中では、NRT2;3の親和性は他に比べて低い。10mMという高濃度硝酸イオン条件で培養した原糸体では
NRT2;3 mRNAが全
NRT2 mRNA発現量の80%以上を占めているが、このような原糸体の硝酸イオン吸収は培地へのアンモニア添加によって直ちに抑制される。この時、NRT2;3タンパク質の減少は観察されないので、NRT2;3の活性が翻訳後段階で制御されると結論した。植物のNRT2の多くに存在し、活性制御への関与が疑われている推定リン酸化部位のひとつをアラニン残基に置換したNRT2;3変異株S507Aを作成したところ、NRT2;3タンパク質が存在するにも関わらず、
NRT2;3欠損株と同様に
NRT2;3 mRNA以外の
NRT2 mRNAの高発現を示した。以上のことから、NRT2;3のS507はNRT2;3の機能発現に関与する可能性が示唆された。
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殷 玉玲, 松井 亜友, 作田 正明, 芦原 坦
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0502
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
トリゴネリン(TG)は、マメ科植物に見られるニコチン酸由来のアルカロイドである。TGを合成するミヤコグサの培養細胞を用いて、細胞の成長に伴うNADとTGの生合成に関わる
de novo経路とサルベージ経路の活性変動が、
in situにおける[
3H]キノリン酸と[
14C]ニコチンアミドの代謝から推定された。NAD生合成の
de novo経路の最大活性は細胞の対数増殖期で見られたが、サルベージ経路の活性の増加は、細胞を新たな培地に植え継いだ直後の誘導期で見られた。一方、TGの生合成活性は、細胞成長の定常期に増大することが示された。NAD合成に関連する遺伝子の発現プロフィールを、ミヤコグサの遺伝情報を用いて、RT-PCRにより調べた。サルベージ酵素であるニコチン酸ホスフォリボシルトラスフェラーゼ (EC 2.4.2.11) とニコチンアミダーゼ (EC 3.5.1.19) の遺伝子である
NaPRTと
NICの転写レベルは、誘導期で増加したが、NAD合成酵素の遺伝子
NADSの最大発現は対数増殖期で見られた。さらに、
in vitroにおける酵素活性を検討した結果、上記のサルベージ酵素活性は、定常期の細胞を新しい培地に移した後1日で増加することが認められた。細胞の成長に伴うNADとTG生合成の活性変動とその制御について考察する。
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大橋 慶丈, 高谷 信之, 愛知 真木子, 前田 真一, 小俣 達男
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0503
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
ラン藻
S. elongatus PCC7942(以下PCC7942と略記)の培地にNH
4+を加えると、硝酸イオン・亜硝酸イオン輸送体(NRT)と硝酸還元酵素(NR)の活性が阻害されてNO
3-やNO
2-の吸収が停止する。NRTの制御にはPIIタンパク質とNRTの活性制御ドメインが関与することが分かっているが、NRの制御機構についてはPIIが関与すること以外には何も分かっていない。そこで本研究では、
Synechocystis sp. PCC6803(以下PCC6803と略記)のNRが活性制御を受けないことを利用し、PCC6803株とPCC7942株とのキメラNRを作製して活性制御に必要な部位の特定を行った。野生株のPCC7942株ではNRだけでなくNRTもNH
4+添加によって抑制されるので、NRTの活性制御ドメインを除去してNRTの制御を弱め、さらにNRを欠損させた株(NC2ΔNR)を親株としてキメラNRを導入した。種々のキメラNRをもつ株を比較した結果、PCC7942株のNRのN末端領域が活性制御に必須であることが示された。次に、様々なラン藻NRの中からN末端領域の配列がPCC7942型のものとPCC6803型のものに似たものを選び、NC2ΔNR株に導入して活性制御の有無を調べた。現在この結果に基づいて、NRの活性制御に重要なアミノ酸残基の絞り込みを試みている。
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Shi Wei, Nomata Jiro, Maeda Shin-ichi, Omata Tatsuo
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0504
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
The
nrtP gene from cyanobacteria encodes an MFS-type nitrate permease that is similar to NRT2 of algae and plants. The gene is found in marine strains of cyanobacteria, with an exception in the fresh-water strain
Nostoc punctiforme ATCC29133. NrtP of
N. punctiforme (NpNrtP) was previously reported to be a nitrate/nitrite permease with higher affinity for nitrate than for nitrite by heterologous expression in a
Synechococcus elongatus mutant lacking the ABC-type nitrate/nitrite transporter. However, the
S. elongatus mutant was recently found to have a cyanate/nitrite bispecic ABC transporter, making the nitrite transport activity of NrtP questionable. In this study, we used a double mutant of
S. elongates, lacking both the ABC nitrate/nitrite- and cyanate/nitrite transporters to investigate the function of NrtP. The NrtP-expressing cells showed low but detectable activity of nitrite uptake as well as high activity of nitrate uptake, confirming its ability to transport nitrite. A strep-tagged version of NpNrtP was found only in the plasma membrane of
S. elongatus, indicating occurrence of a common mechanism for targeting of the transporter to the plasma membrane in cyanobacteria.
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山本 亜矢, 木下 浩武, 川崎 通夫, 三宅 博, 谷口 光隆
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0505
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
葉緑体内包膜に存在する2-オキソグルタル酸/リンゴ酸交換輸送体(OMT)は,ジカルボン酸輸送体と協調して炭素代謝と窒素代謝を仲介するとともに,ストロマおよびサイトソルのNADP-リンゴ酸脱水素酵素(MDH)アイソザイムと協調してリンゴ酸バルブを構成する二機能性の輸送体である.リンゴ酸バルブは,環境ストレス下でストロマ内に蓄積する過剰還元力を排出する圧力弁として機能するばかりでなく,通常でもストロマ還元力をサイトソルの硝酸還元酵素などに供給している.本研究では,シロイヌナズナのOMTおよびNADP-MDHの発現量を増やしてリンゴ酸バルブの機能を強化させ,環境ストレス耐性能や硝酸同化能に向上がみられるかどうかを調べた.単離葉緑体のオキサロ酢酸依存的なリンゴ酸生成・排出能は野生株に比べOMT/NADP-MDH二重過剰発現株で有意に高く,形質転換体ではリンゴ酸バルブ能が向上していると判断した.二重過剰発現株を通常条件下で生育させたときの成長は野生株と顕著な差は見られなかったが,リンゴ酸や2-オキソグルタル酸などの有機酸および一部アミノ酸含量の増大が見られた.また,強光照射に伴う葉のFv/Fm値の低下が過剰発現株で抑えられていた.したがって,過剰発現株では代謝機能の改変が起こるとともに,光阻害回避能が向上していると考えられる.現在,硝酸同化活性を測定しており,合わせて報告する予定である.
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佐竹 亜沙美, 富田 佑輔, 川崎 通夫, 三宅 博, 谷口 光隆
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0506
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
C4植物の2種の光合成細胞,葉肉細胞(MC)と維管束鞘細胞(BSC)には発達した葉緑体が存在し,活発な代謝産物輸送が行われている. 2-オキソグルタル酸/リンゴ酸交換輸送体(OMT)は葉緑体に存在する輸送体の一つであり,C4光合成中間体の輸送,炭素同化系から窒素同化系への炭素骨格の供給,リンゴ酸バルブに関与していると推定されている.我々は以前に,NADP-ME型C4植物トウモロコシのOMTは葉身のMCにおいて高発現している一方,BSCや根ではほとんど発現していないことを報告した.本研究では,OMTの細胞特異的発現がC4植物の3種のサブタイプで共通した特徴であるかどうか,また,栄養変動に対する発現応答を調べた.NADP-ME型のソルガム,NAD-ME型のキビとシコクビエ,PCK型のローズグラスとギニアグラスのMCとBSCにおけるOMTの発現を調べたところ,全てのC4植物においてOMTはMC特異的に発現していた.また,葉身においてOMTが顕著に発現していることをソルガム,シコクビエ,ローズグラスで確認した.さらに,トウモロコシ葉身のOMT mRNA量はアンモニアよりも硝酸イオンの補填に応じて素早い増大を示した.以上の結果をC4光合成経路ならびに窒素同化系酵素の細胞特異性と合わせて考察すると,C4植物MCに存在するOMTの共通機能は硝酸還元酵素への還元力供給である可能性がある.
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大原 圭子, 岩野 恵, 小川 宣仁, 柴 博史, 藤田 雅丈, 倉田 のり, 高山 誠司
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0507
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
アブラナ科植物では、雌ずいの乳頭細胞に異種の花粉が受粉した場合には、花粉の吸水・発芽が阻害され受精が成立しない(種間不和合性)が、この認識に関わる分子の情報は限られている。また同種でも自家の花粉が受粉した場合には、花粉の吸水・発芽が阻害され受精が成立しない(自家不和合性)。これまでの研究により、この自他認識は、乳頭細胞の細胞膜に存在するSRK(
S-receptor kinase)と花粉表層に存在するSP11(
S-locus protein 11)のハプロタイプ特異的な相互作用により行われていることが示されてきたが、SRK-SP11間の相互作用から自家花粉の吸水・発芽阻害に至るまでの乳頭細胞内の情報伝達系については明らかではない。これら種間不和合性や自家不和合性に関わる分子は、花粉(或いは花粉形成に関わる葯組織)と乳頭細胞で特異的に発現している可能性が推察され、花粉や葯タペート組織に関しては発現遺伝子のプロファイルが明らかにされてきているが、乳頭細胞において特異的に発現する遺伝子の情報は限られている。そこで本研究では乳頭細胞で特異的に発現する遺伝子を網羅的に解析することを目的として、レーザーマイクロダイセクション法により乳頭細胞と乳頭細胞直下の雌ずい組織を各々回収し、マイクロアレイ解析を行った。本発表では、この比較解析によりえられた乳頭細胞特異的発現遺伝子群のプロファイルを紹介する。
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垣田 満, 村瀬 浩司, 岩野 恵, 磯貝 彰, 高山 誠司
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0508
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
アブラナ科植物の自家不和合性における花粉-柱頭間の自他識別には、柱頭の細胞膜上に存在する受容体型キナーゼSRK(
S receptor kinase)と花粉表層タンパク質SP11(
S-locus protein 11)のハプロタイプ特異的な相互作用によって制御されている。自家受粉の際、自己由来のSP11を特異的に認識することで、情報を下流に伝達し、自己花粉の吸水・発芽の抑制といった自家不和合反応を誘起する。また当研究室では、自家和合性変異株の解析から、膜結合型キナーゼMLPK(
M-locus protein kinase)を同定している。MLPKは細胞膜上でSRKと受容体複合体を形成し、SRKにより直接リン酸化されることが既に示されており、自家不和合情報伝達系において重要な役割を果たしていると考えられるが、SRKによるMLPKのリン酸化部位や活性調節機構は明らかとされていない。
現在我々は、MLPKの大腸菌発現タンパク質を用いた
in vitroでの解析を進めており、これまでにMLPKのN末端領域がSRKのリン酸化のターゲットとなっていることを明らかにした。さらに、この領域が自身の活性調節に関わる可能性も示されたので報告する。
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Lao Xintian, Kakita Mitsuru, Iwano Megumi, Ogawa Yoshito, Shiba Hirosh ...
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0509
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
Many higher plants have genetically controlled to prevent self-fertilization, using specific interactions between pollen and pistil. These cell-cell recognition mechanisms (self-incompatibility, SI) are controlled by a multi-allelic
S-locus. It is well known that SI of the Brassicaceae can be removed by a high-concentrated CO
2 treatment. Moreover, analyses of plants with various CO
2 sensitivity suggest the presence of other genetic-loci in the downstream signal transduction pathway of SI reaction to CO
2. However, many of the responsible genes remain unknown.
Model plant
Arabidopsis thaliana belongs to the Brassicaceae but is self-compatible due to the non-functional pollen and pistil
S determinants.
After being introduced
S genes (
SRKb and
SCRb) of
A. lyrata, a self-incompatible relative,
A. thaliana cannot be self-fertilized but it could be overcome when treated with CO
2 gas. In this study, microarray analysis was performed using this SI
A. thaliana with/without CO
2 treatment for hunting downstream components involved in SI signaling response to CO
2, which will give us a deeper understanding of mechanism of SI and knowledge for the breeding of the Brassicas.
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小川 宣仁, 岩野 恵, 大原 圭子, 円谷 徹之, 柴 博史, 藤田 雅丈, 高山 誠司
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0510
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
アブラナ科植物では、柱頭の乳頭細胞に他家花粉が受粉すると花粉は吸水し、花粉管を発芽させ、乳頭細胞に侵入し、最終的に受精に至る。このような他家受粉過程においては、花粉の吸水・発芽に伴って、乳頭細胞から花粉への水やイオンの移動が起きることが明らかになっているが、その機構は明らかではない。そこで本研究では、受粉過程における水輸送の機構を明らかにすることを目的に、シロイヌナズナを用いて乳頭細胞から花粉への水の供給に関わる分子を探索した。始めに、Ca2+蛍光指示薬のカルシウムグリーンを用いて、アクアポリン阻害剤であるHgCl2が花粉の吸水に影響するかどうかを調べた。その結果、HgCl2の濃度依存的に花粉の吸水が阻害された。シロイヌナズナには35種類のアクアポリンが存在することが知られている。本研究では、特に細胞膜型PIP2サブファミリーに着目し、柱頭乳頭細胞での発現をマイクロアレイにより解析すると共に、Venus蛍光タンパクで標識したこれらの分子について、受粉時の局在変化を、ライブセルイメージングにより解析した。
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久保 健一, 円谷 徹之, 豊田 真美子, 川島 伸一, 磯貝 彰, 高山 誠司
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0511
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
自殖を防ぐためのアロ認証機構として、ナス科植物は
S-RNase型自家不和合性を有し、雌性因子として
S-RNaseが、花粉側因子としてSLF(
S-locus F-box)が同定されている。しかし、自他認識メカニズムに関しては、未だ一定の見解が得られていない。形質転換実験が容易なペチュニアにおいて、既に機能解析が報告されている
SLFは、唯一
Petunia inflataの
PiSLF2のみである。我々は、
S-特異的相互作用の解析のため、複数のSLFsアリルの単離を試みた。
今回、我々が単離した新規
SLFsの一つ、
P. hybridaの
SD2ハプロタイプに由来する
SD2SLF遺伝子について、形質転換実験を行った。同遺伝子を、
SB2SD2ハプロタイプを持つ個体において花粉特異的に発現させたところ、自家不和合性の打破が観察された。これは、四倍体などの和合化を説明するcompetitive interactionをよく再現しており、
SD2SLFが花粉側特異性因子である可能性を強く支持している。in vitroタンパク質結合実験では、
SB2-RNase/
SD2SLFタンパク質間の他家特異的な相互作用が示された。以上の結果は、SLFは他家
S-RNaseを認識、不活性化するが、自家
S-RNaseを認識しない、というモデルを支持している。
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安居 佑季子, 西谷 亜依子, 上本 充大, 硯 亮太, 向川 佳子, 中井 勇介, 中平 洋一, 佐藤 雅彦, 河内 孝之
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0512
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
フィトクロムは植物の主要な光受容体であり、生涯を通して重要な機能をもつ。フィトクロムはシグナル伝達時に細胞質から核へ移行し下流因子の発現を調節する。しかし、生長した植物におけるフィトクロムシグナルの詳細は未だ明らかにされていない。花成応答に着目したスクリーニングにより、新規のフィトクロム相互作用因子として、VOZ (Vascular plant One-Zinc finger) を単離同定した。VOZは、シロイヌナズナにおいて
VOZ1 、
VOZ2の二分子種が存在する。これまでに、変異体を用いた遺伝学的解析、発現解析によりVOZがphyBの下流、
FTの上流で花成を促進する因子であり、機能を重複することを示していた。フィトクロムシグナルにおけるVOZの機能を解明することを目的に、VOZの局在解析を行った。まず、機能的な細胞内局在を明らかにするため、核移行/核搬出シグナルを用いた解析を行った。それぞれのシグナルをVOZに融合し、
voz1 voz2二重変異体に導入することで、表現型の相補実験を行った。その結果、核移行シグナル株でのみ
voz1 voz2二重変異体の遅咲きを相補したことから、VOZが核内で機能することが示された。また、GFP融合VOZ2発現株を作出し、VOZの蓄積部位を解析した。VOZが機能する細胞内局在、蓄積部位を合わせて、フィトクロムシグナルにおけるVOZの機能を考察する。
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和田 雅人, 耳田 直純, 田中 紀充, 守谷 友紀, 工藤 和典, 本多 親子, 小森 貞夫
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0513
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
09年名古屋の学会で、リンゴがモデル植物のシロイヌナズナ同様、FTの過剰発現によって花成を著しく促進することを報告した。ただし、FT遺伝子の由来、発現組織によって効果に差が現れた。35S:MdFT(リンゴFT), rolCp:FT(シロイヌナズナ), rolCp:Hd3a(イネ)それぞれを導入した組み換えリンゴは3ヶ月から8ヶ月で花成を誘導することが出来た。他の組み合わせでは花成は誘導されなかった。FT遺伝子とGFPを連結することで発現組織を検出したところ、35Sプロモーターでは植物体全体で発現し、rolCプロモーターでは維管束で発現を確認した。35SプロモーターではGFPを連結することで花成の促進がやや抑制される傾向を示したが、rolCプロモーターでは余り影響は見られなかった。融合タンパクの分子量は、抗GFP抗体で確認した。これらの組み換えリンゴと非組み換えリンゴを接ぎ木した場合、シロイヌナズナやイネのようにFTタンパクが移動し、非組み換えリンゴにも花成を促進するのか、実験を行った。コントロールにはrolC:GFP組み換えリンゴを用いた。用いた材料は発根させてポット苗にした6ヶ月から1年生の組み換えリンゴ(JM2)と「つがる」や「紅玉」の実生(約1年生)を呼び接ぎによって茎のほぼ中央で接ぎ、1ヶ月後に活着を確認後GFP蛍光、抗GFP抗体、抗FT抗体で検出した。
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国広 篤史, 山篠 貴史, 水野 猛
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0514
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
シロイヌナズナにおいては、光形態形成や光周性花成などの光シグナル応答に関して膨大な基盤が確立されつつある。その中で注目されているのが、phyBと直接相互作用するbHLH型転写因子PIFファミリーである。中でもphyBのみならず概日時計及びジベレリン(GA)の制御下にもあるPIF4/5の働きは重要であり、phyB・時計・GA → PIF4/5 → 光形態制御(忌陰反応を含む)の分子機構が明らかになりつつある。しかし、PIF4/5の下流で働く因子(X)は不明である。今回はXの有力候補(ホメオドメイン型転写因子ATHB2)を同定したので報告する。
シロイヌナズナにおいて多くの情報伝達経路が明らかにされている。しかし一般論として、これら情報伝達経路は下流になるほど関連因子が多様に分散する傾向にある。したがって、マイクロアレイなどの解析が試みられているが下流因子の同定に至った例は少ない。そこで今回は新しいアプローチを試みることにした。(1) PIF4/5の下流で機能する因子が満たすべき性質をできるだけ多数設定する。(2) シロイヌナズナ遺伝子群に関して蓄積された膨大な知見をWeb検索して、設定した諸条件を過不足なく満たす候補遺伝子をイン・シリコで推定する。(3) それを実験的に検証する。この新しいアプローチの有効性を示しつつ、PIF4/5依存性光形態形成分子機構に関して考察する。
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小野 奈津子, 石田 快, 山篠 貴史, 水野 猛
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0515
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
光形態形成と花成制御は顕花植物にとって最も重要な成長制御機構の一つである。その分子機構に関しては、シロイヌナズナを中心とした研究から膨大な基礎的知見が蓄積しつつある。また、多数の関連遺伝子群の機能に関する知識基盤が確立されつつある。しかし、植物の光応答や花成応答は少なくとも現象論的及び生態論的には植物種ごとに極めて多様である。したがって、主にシロイヌナズナの研究から得られた光形態形成や花成制御に関する知見を他の植物種に普遍化し、かつその多様性を理解することは、植物生理学の進展にとって必須のステップと考えられる。このような視点に立ち、今回は世界の穀類生産の1/3を占め多様な生態系を示すマメ科植物に焦点をあてた。ここでは、モデル植物としてゲノム情報の豊富なミヤコグサに関して光形態形成や花成制御に関与する遺伝子群のゲノムワイド俯瞰(インフォーマティクス)を行った。
具体的には、光受容体、光形態形成転写因子、光周性花成制御因子、FLC花成抑制経路、低温応答花成経路、及び花形成ABCモデル関連因子などに関してゲノムワイド俯瞰を行ったのでその詳細な情報を提供する。また、フロリゲン候補遺伝子FTの相同遺伝子を特定して、その花成促進機能を確認するなど、幾つの重要な点に関しては実験を行うことで情報を補強したので併せて報告する。
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村中 智明, 久保田 佐綾, 小山 時隆
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0516
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
ウキクサ科(
Lemnaceae)の植物は、植物体サイズの小ささ、成長の早さ、無菌培養の容易さなどの理由により実験室での研究に適した単子葉植物として古くから生理学的実験に使用されてきた。近年、バイオレメディエーション用の植物としても注目されている。
Lemna属(アオウキクサ属)の植物は、花芽形成、光周性、概日リズムなどを含め広く生理学的研究の対象として使われてきた。また我々は
Lemna属の植物で、パーティクルボンバードメントによる発光レポーター発現系を利用した時計遺伝子の分子生物学的解析を現在進めている。一方、2009年に
Spirodela属のウキクサ(
S. polyrhiza)のゲノムプロジェクトがDOE JGIで開始された。ウキクサはゲノムサイズが約150 Mbpと小さいためにその対象となった。しかし例えば生殖様式に関して冬眠芽(Turion)形成による無性生殖や中日性の花芽形成などの報告はあるものの、その誘導方法が確立していないなど、生理学的実験手法が未開発である。我々は生物時計解析に応用できる研究環境の開発を目指してウキクサの生理学的特徴を多面的に調べている。また、概日リズムの解析のために
Lemna属で用いている発光レポーター発現系のウキクサでの応用可能性を検討した。本発表ではこれらの研究の現状について報告し、ウキクサのモデル実験生物としての可能性について議論する。
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久保田 佐綾, 村中 智明, 小山 時隆
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0517
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
アオウキクサ属(
Lemna属)の植物は、概日リズム・光周性のモデル材料として古くから研究されてきた。近年、ウキクサの概日リズムの観測は、生物発光レポーター系をパーティクルボンバードメント法により一過的に導入することで簡便に行えるようになった。これまでの観測系では、複数個体全体の生物発光を光電子増倍管でモニターしており、レポーターが導入された細胞の発光量の総和が測定される。現在我々は、個々の細胞における時計の性質と個体全体の概日リズムの関係性を明らかにするため、植物個体の複数の細胞について、一細胞ごとの概日リズムを同時に測定する方法の開発を試みている。ウキクサは、植物体が非常に小さく、扁平な葉状体から構成されており、個体全体の高倍率イメージングが容易である。パーティクルボンバードメント法によって、表皮細胞に対してまばらに遺伝子導入を行うことで、細胞ごとの発光量を連続的に取得することを目指した。発現量の強いプロモーター下流にホタルluciferase遺伝子を挿入したコンストラクトを用いて、遺伝子導入の条件、カメラ系の測定時の設定条件、画像データの解析方法、測定前・測定中の植物の生育条件について検討したので、ここで報告する。
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Taniguchi Yasuhito, Takai Naoki, Katayama Mitsunori, Kondo Takao, Oyam ...
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0518
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
Circadian
kaiBC expression in the
Synechococcus elongatus PCC 7942, is generated by temporal information transmission from the KaiABC-based circadian oscillator to RpaA, a putative transcriptional factor, via the SasA-dependent positive pathway and the LabA-dependent negative pathway which is responsible for feedback regulation of KaiC. However, the
labA/sasA double mutant has a circadian
kaiBC expression rhythm, suggesting that there is an additional circadian output pathway. Here we describe a third output pathway, which is CikA-dependent. The
cikA mutation attenuates KaiC overexpression-induced
kaiBC repression and exacerbates the low-amplitude phenotype of the
labA mutant, suggesting that
cikA acts as a negative regulator of
kaiBC expression independent of the LabA-dependent pathway. We propose a model in which temporal information from the KaiABC-based circadian oscillator is transmitted to gene expression through three separate output pathways.
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丹羽 由実, 松尾 拓哉, 立川 誠, 小内 清, 石浦 正寛
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0519
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
私たちは昨年度の年会において、単細胞緑藻クラミドモナスの時計遺伝子のプロモーター活性をレポートする生物発光株の作製の試みと、その際に遭遇した問題点について報告した。すなわち、mRNAの概日リズムの位相が約8時間ずれている時計遺伝子
ROC15および
ROC75のプロモーター領域を持つルシフェラーゼレポーター株では、ルシフェラーゼmRNA量の概日リズムには予想通り8時間のリズム位相のずれが認められたが、生物発光リズムは同じ位相で振動したというものである。今回は、二つのレポーター株におけるルシフェラーゼタンパク質の概日リズムの解析、測定条件の検討、ホスト株の検討について報告する。得られた結果より、クラミドモナスでは、転写後にルシフェラーゼレポーターの生物発光リズムを調節する機構があることがさらに強く示唆された。
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大川(西脇) 妙子, 近藤 孝男
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0520
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
シアノバクテリア
Synechococcus elongatus PCC.7942は概日リズムを示す最も単純な生物である。シアノバクテリアの概日時計は試験管内で再構成できることが知られている。概日時計蛋白質KaiA、KaiB、KaiC をATPと混合することによって、KaiCリン酸化の概日リズムが観察される。KaiC のリン酸化状態は、自己リン酸化活性および自己脱リン酸化活性により制御されている。KaiC はATP 存在下で6量体を形成する。ATP はサブユニットの境界に結合し、隣接するプロトマー上の2つの自己リン酸化部位S431とT432をリン酸化するものと考えられる。KaiC上には、ATPaseやプロテインキナーゼの活性に重要なP-loopが存在するが、プロテインホスファターゼとの相同性は見られない。
これまで、KaiCの自己脱リン酸化反応の機構についてはあまり研究されてこなかった。そこで、KaiCもプロテインホスファターゼと同様の機構で脱リン酸化反応を行っているかどうかについての手がかりを得るため、まず放射性ATP存在下でKaiCをリン酸化し、その脱リン酸化過程を追跡した。得られた結果をもとに、KaiCの自己脱リン酸化機構について議論する。
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岡本 龍史, 佐藤 明子, 豊岡 公徳, 内海 貴夫
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0521
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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多くの被子植物では、受精卵は異なる発生運命をもつ 2 個の娘細胞(頂端および基部細胞)からなる 2 細胞胚へと不等分裂し、また、この際に確立される頂端-基部軸が植物体の軸形成の始まりとされている。本発表では、イネ 2 細胞胚の頂端または基部細胞で差位的発現を示す遺伝子の同定について報告する。まず、in vitro 受精法により作出したイネ in vitro 受精卵と胚嚢内の受精卵の分裂様式を詳細に比較した。その結果、イネ in vitro 受精卵は、胚嚢内における受精卵と同様に、細胞質に富む小さな頂端細胞と液胞が発達した大きな基部細胞からなる 2 細胞胚へと不等分裂することが示された。次に、2 細胞胚からの頂端細胞および基部細胞の単離法を確立したのち、卵細胞、受精卵、頂端細胞、基部細胞、2 細胞胚の1細胞マイクロアレイ解析を行った。その結果、「受精卵で発現し、かつ、 2 細胞胚の頂端細胞でのみ発現する遺伝子」および「受精卵で発現し、かつ、 2 細胞胚の基部細胞でのみ発現する遺伝子」の候補が同定された。イネ受精卵中では、約 14,000 個の遺伝子が発現しており、そのうちの約 0.5 - 1% の遺伝子転写産物が、頂端または基部細胞のみで検出された。このことは、特定の mRNA群が受精卵中で極性分布している、あるいは 2 細胞胚中の一方の細胞内で分解を受けることを示唆している。
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高田 忍, 近藤 陽一, 吉積 毅, 松井 南, 柿本 辰男, Juergens Gerd
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0522
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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分裂中の植物細胞は自分の置かれた位置に応じてその発生運命をフレキシブルに変化させる。植物のパターン形成を理解する鍵は、細胞の運命を決める位置情報の正体を明らかにすることである。シロイヌナズナの表皮形成は位置情報に応答した細胞分化を理解するための良い研究対象である。シロイヌナズナのホメオボックス遺伝子
ATML1は初期球状胚から表皮特異的に発現し、表皮の分化に関与すると考えられている。本研究では、表皮特異的な遺伝子発現を決める位置情報伝達経路を明らかにするために、
ATML1の転写制御領域の解析をおこなった。その結果、(1)
ATML1プロモーターの最外層特異的活性は表皮のidentityとは無関係に決まること、 (2)複数のシス配列が関わっており、101bpの領域が表皮特異的な発現に充分であること、(3)
ATML1の発現を内層で負に制御するシス配列は見つからないこと、(4)ATML1の結合配列(L1-box)を介した正のフィードバック制御が存在すること、が示された。現在、転写因子のみから構成されたyeast one-hybridライブラリーを作成して、
ATML1の転写制御領域に結合する転写因子の単離、解析を進めている。
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成川 恵, 渡邊 圭司, 井上 康則
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0523
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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白色光、低pH条件下(pH 4)でレタス芽生えを培養すると根毛形成が誘導される。暗黒下では無傷芽生えであっても低pH条件による根毛形成は全く起こらなくなるが、クロロゲン酸(CGA)を添加すると根毛形成の回復が見られた。地上部を切除した芽生え(単離根)では暗黒下、低pH条件で培養すると、CGAを添加しても根毛が全く形成されないが、糖を同時添加すると根毛形成の回復が見られた。これらのことから、低pH条件下で、糖は地上部から供給され、CGAと協調して根毛形成を誘導する可能性が示唆されている。そこで、根における内生糖(グルコース・フルクトース)含有量を測定することで、糖と根毛形成の関係を詳しく調べることにした。
暗黒下、低pHにおける無傷芽生えでのCGAによる根毛形成は、培地変換後4時間目で原基形成が見られ始めるが、24時間後には根毛形成がほとんど起こらなくなっていた。この4時間目の根における糖含有量を測定すると、低pH無傷芽生えでCGAの有無に関わらず前培養よりも2倍以上の増加が見られたが、CGAを添加しても根毛形成の起こらないpH 6無傷芽生えや単離根は前培養のものとほとんど変わらなかった。さらに、24時間目ではpHに関わらず無処理根・単離根において糖含有量が前培養時よりも減少していた。よって、根毛形成の有無と糖含有量の増減の間に強い相関があることが明らかになった。
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徳地 小夏, 岡野 侑子, 谷口 翔, 藤 茂雄, 軸丸 裕介, 瀬尾 光範, 神谷 勇治, 川上 直人
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0524
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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温度は種子発芽の季節を決定する主要な環境シグナルである。シロイヌナズナのT-DNA挿入系統から選抜した
nekojita1 (
nkj1) 突然変異体の種子では、野生型よりも発芽可能な温度領域が低温側にシフトしており、28~30 ℃でほぼ完全に発芽が抑制された。LC-ESI-MS/MSにより
nkj1種子のアブシジン酸(ABA)量を測定したところ、発芽が完全に抑制される30 ℃でも、野生型と同程度の低いレベルに減少した。おもしろいことに、
nkj1種子は発芽においてABA高感受性を示し、28 ℃における発芽はABA合成阻害剤により回復した。したがって、
NKJ1はABAシグナリングを負に制御することにより発芽誘導に関わる可能性が考えられた。
nkj1は劣性変異であり、分子マーカーを用いたマッピング、T-DNA隣接配列の解析、および遺伝的相補性検定から、
NKJ1は小胞体からゴルジ体への小胞輸送に関わるCOPIIを構成するSec23/Sec24サブユニットに高い相同性を持つ遺伝子であることがわかった。
NKJ1遺伝子の発現は様々な器官で認められたが、種子では発芽条件で誘導され、発芽を抑制する高温条件では抑制された。現在、NKJ1-GFP融合タンパク質を発現する形質転換植物を用い、NKJ1タンパク質の細胞内局在性を解析している。
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渡邊 飛鳥, 今村 茜, 藤 茂雄, 矢野 健太郎, 川上 直人
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0525
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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春に散布されたシロイヌナズナ種子の発芽は夏の高温で抑制されるため、生育に適切な秋に発芽することが可能となっている。私達は、高温はアブシジン酸(ABA)合成酵素遺伝子(主に
NCED)の発現上昇を介してABA内生量を高め、ABAはジベレリン(GA)合成酵素遺伝子(主に
GA3ox)の発現を抑制することによりGA合成を抑制することを明らかにした。本研究では、高温でより直接的に誘導される現象と、ABAにより二次的に誘導される現象を分けることを目的とし、野生型とABA欠損突然変異(
aba2-2)種子を22℃と34℃で吸水させたときの遺伝子発現をマイクロアレイで解析した。K-means clusteringによる発現パターンの類似性解析から、遺伝子を17の群に分類したところ、温度で発現が変化する遺伝子群、温度とABAで発現変化する遺伝子群、吸水に伴って発現が変化する遺伝子群、発芽に伴って発現が変化する遺伝子群、系統特異的な発現を示す遺伝子群などに分けられた。ABA量の増加よりも前の段階で、高温で発現が高まる遺伝子を一つ選び、そのT-DNA挿入突然変異種子の発芽を調べたところ、野生型種子が発芽しない高温で発芽した。このような遺伝子は、温度の受容からABA 合成酵素遺伝子の発現誘導に至るまでの間で働く可能性が考えられた。
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浅野 智也, 皆巳 大輔, 加賀谷 道子, 加賀谷 安章, 服部 束穂
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0526
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
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植物ホルモンABAが種子休眠の制御に重要な役割を担うことは広く知られている。シロイヌナズナの
fus3変異体は種子休眠性を失うことが報告されているが、そのメカニズムの詳細はほとんど知られていない。我々は、FUS3下流の休眠制御メカニズムを解析するために、エストロゲン誘導性FUS3異所発現形質転換植物を変異原処理し、実生でのFUS3発現による成長停止が緩和した変異体を多数分離した。これらのうち、
line 2-44変異体は、FUS3発現下において外から与えたABAに対する
CRC、
At2S3および
Rab18の発現応答の低下が観察されたことから、ABA感受性が低下した変異体であり、また、早熟発芽性を示したことから、種子成熟過程での休眠性が低下していることが示唆された。一方、乾燥種子の発芽検定では
line 2-44変異体は逆にABA高感受性を示した。したがって、種子成熟過程および乾燥種子では、
line 2-44変異原因遺伝子は、異なるメカニズムでABAによる発芽抑制に関与すると考えられた。この原因遺伝子の機能を理解するために、現在マップベースクローニングを試みている。これらの結果に基づき、胚成長停止、休眠ならびに乾燥種子発芽過程におけるこの原因遺伝子の機能について考察する。
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板東 由希子, 黒川 圭太, 田中 一朗, 塩田 肇
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0527
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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アマモ(
Zostera marina)は、生活の場を陸上から再び海中に移した単子葉植物である。アマモは、陸生の単子葉植物と類似した形態を示す一方、海中での生活に適するための特殊な生理・生態を示す。しかし、アマモの生理メカニズムに関してはまだ不明な点が多い。本研究では、アマモの種子発芽に着目し、その生理メカニズムの解明を目的とした。まず、種子発芽に影響を与える環境要因について解析した。環境要因としては、温度、塩分濃度、浸透圧、光、揺動運動、溶存酸素を取り上げた。その結果、低温(15℃)、低塩分濃度(22.5‰以下)、24時間暗期、揺動運動の条件下で発芽が促進された。浸透圧については、低浸透圧ほど発芽が促進された。溶存酸素については、嫌気条件(DO. <2 mg/l)では発芽体の幼葉鞘の伸長が促進され、好気条件(DO. 7 mg/l)では第一葉の形成が促進された。次に、発芽への植物ホルモンの効果を解析した。その結果、アブシシン酸によって幼葉鞘の伸長と第一葉の形成が抑制されたが、ジベレリンによる発芽促進効果は確認されなかった。これらのことから、アマモの種子発芽には、環境要因や植物ホルモンに対する特殊な応答性が存在することが明らかになった。 現在、サブトラクション法によって種子発芽に関わるアマモ遺伝子の単離を進めており、その結果についても併せて報告する。
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村井 裕一郎, 丹羽 智子, 中村 研三, 石黒 澄衞
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0528
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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シロイヌナズナのSHEPHERD(SHD)タンパク質は、小胞体に局在するHsp90型の分子シャペロンであり、その標的タンパク質はまだ同定されていない。Ws系統の
shd変異体は、心皮の枚数が増加する
clavata2(
clv2) 変異体と酷似の表現型を示す。この現象から我々は、CLV2
WsはSHDによる分子シャペロンの作用を受けることで初めて機能できる、つまりCLV2
WsはSHDの標的タンパク質であると考えている。しかし、それを証明するためにはSHDとCLV2
Ws の直接的な相互作用を確認する必要がある。
そこでまずは大腸菌を用いてSHD全長と、CLV2
WsのN末端から膜貫通ドメインまでを発現させたタンパク質を用いて、両者の直接的な相互作用をpull-down assayとBiacoreを用いて確認した。その結果SHD、CLV2
Ws間での相互作用を確認することができ、さらにこの際、Col系統のCLV2
ColもSHDと相互作用することが明らかとなった。
また
shd変異体は根や花粉管の伸長阻害など、多様な表現形を示すことから、CLV2以外にも標的タンパク質が存在すると考えられる。そこでLC-MS/MSを用いてSHDの標的の探索を進めている。
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鈴木 俊哉, 中村 研三, 石黒 澄衞
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0529
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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花粉壁の外層を構成するエキシンは種特異的な構造をしており、受粉過程において重要な役割を果たすと言われている。しかしエキシンの形成機構は謎に包まれ、それに関わる遺伝子についてはまだほとんど知見が得られていない。我々はSEMを用いて変異原処理したシロイヌナズナのスクリーニングを行い、エキシン構造に異常を示す突然変異体を多数単離した。その中で
kaonashi4(
kns4)突然変異体は、エキシンの基本的構造は正常である一方で、エキシン層が薄くなるという表現型を示した。また稔性が低下し、花粉の形態にも異常が見られた。TEM観察より、エキシンの異常は四分子期から始まり、エキシン形成の足場となるプライムエキシンの量が少なくなっていることがわかった。原因遺伝子
KNS4は、タンパク質の糖鎖の生合成に関わるβ1,3-ガラクトシルトランスフェラーゼとよく似たタンパク質をコードしていた。類似のタンパク質をコードする遺伝子はシロイヌナズナに20個存在するが、その機能はほとんど明らかにされていない。RT-PCRとプロモーター-レポーター解析より、
KNS4は四分子期前後のタペート細胞で特異的に発現することがわかった。またKNS4タンパク質はゴルジ体に局在することが示唆された。以上の結果から、KNS4は四分子期タペート細胞のゴルジ体に局在し、プライムエキシン構成成分の生合成に関与していることが推定された。
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奥島 葉子, 天野 廣海, 安達 澄子, 梅田 正明
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0530
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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シロイヌナズナのD4型サイクリン(CYCD4)は胚軸の上部で気孔形成に先立つ細胞分裂を促進する働きを持つ。CYCDは、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と複合体を形成してその活性を正に制御し、細胞周期の進行を主にG1/S期移行の時点で促進すると考えられているが、CYCD4が気孔形成過程で果たす役割はよくわかっていない。その一方で、シロイヌナズナの気孔形成過程においてはSPEECHLESS (SPCH)、MUTE、FAMA といった転写因子が段階的に働いて原表皮細胞からの気孔の形成を制御していることが知られている。さらに、SPCHがYODAから始まるMAPKカスケードの下流でリン酸化されることにより、タンパク質レベルでの機能抑制制御を受けることも報告されている。本研究では、CYCD4とこれら気孔形成を制御する因子との関連性に注目した解析を行った。
CYCD4過剰発現体の胚軸では、気孔が形成される非突出細胞列において細胞分裂が亢進するが、この表現型はspch変異体では顕著に抑制された。さらに、この
CYCD4過剰発現体の表現型は
muteおよび
fama変異体の背景でも抑制されたことから、CYCD4は気孔形成の初期段階だけではなく、それ以降の段階でも何らかの機能を持っていることが示唆される。さらに、CYCD4-CDK複合体は、これら気孔形成を制御する因子の一部をリン酸化する可能性が示された。
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土田 祐平, 五十嵐 久子, 矢部 公彦, 中森 ちひろ, 岡田 清孝
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0531
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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茎頂近傍では茎頂分裂組織の維持や側生器官の成長分化に機能を持つペプチド性シグナル因子がいくつか報告されておりその重要性が示唆されている。しかしながら、茎頂付近で起こる全ての現象を説明するには不十分であり、さらなるペプチド性シグナル因子の同定が不可欠である。
そこで本研究では、茎頂分裂組織に存在する新奇のペプチド性シグナル因子の同定を目的とし細胞間隙からのタンパク質の抽出と網羅的な解析を試みた。材料にはカリフラワーの花蕾およびそれに似た花序を形成するシロイヌナズナの
ap1 cal二重突然変異体の花蕾を用いた。カリフラワー由来の比較的高分子な3,000Da-18,000Daのタンパク質を二次元電気泳動により展開し、N末端配列解析により41種類を同定した。また、シロイヌナズナ
ap1 cal由来の500 Da-4,000 DaのペプチドについてはLC-MS/MSを使用してショットガン解析を行い、339種類のタンパク質を同定した。上記二つの方法でカリフラワー及び
ap1 calから同定した機能未知タンパク質の中にはリガンドとして可能性が高いと考えられるものが30種類含まれていた。そのうちのいくつかについて合成ペプチドを作成し投与実験を行ったところ、いくつかのペプチドで根や茎頂分裂組織の構造に異常がみられた。
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立松 圭, 渡辺 恵郎, 豊倉 浩一, 為重 才覚, 岡田 清孝
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0532
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
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葉の向軸側・背軸側それぞれに必要な制御因子が局在することで、向背軸に沿った正常な発生・分化が起こる。これまでに、背軸側因子
FILAMENTOUS FLOWER (
FIL)の発現領域が自身のプロモーター活性で決定されているのに対し、向軸側因子
PHABULOSA (
PHB)の発現領域はmicro RNA165/166 (miR165/166)を介した発現抑制によって決定されていることを明らかにした。また、レーザーマイクロダイセクション(LMD)法と半定量的RT-PCR法を用いて、9つの
MIR165/166遺伝子座の中で、6遺伝子座が背軸側でのみ発現することも明らかにしている。次に、それら遺伝子の背軸側特異的な発現制御機構を明らかにするために
fil yab3二重突然変異体での
MIR165/166遺伝子の発現様式を調べた。その結果、いくつかの遺伝子は二重変異体で発現が低下していた。このことから、
MIR165/166のいくつかの発現にFILやYAB3が必要であることが示された。さらに、LMD法と組み合わせたRT-PCR解析により、miR165/166があるにもかかわらず、それらによる切断を受けていない
PHB転写産物が背軸側にも存在することを示唆する結果を得ている。以上のことから
PHB転写産物が翻訳抑制を背軸側特異的に受けていると考えており、現在、その翻訳抑制機構について解析を行っている。
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八木 慎宜, 檜垣 マリ子, 槻木 竜二, 岡田 清孝, 橋本 隆
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0533
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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植物の形態形成において、細胞が極性をもち方向依存的に伸長することは器官の形が決まる上で重要である。細胞膜付近に存在する表層微小管は細胞壁合成酵素複合体の動態を制御することで、方向依存的な細胞伸長を制御すると考えられている。方向依存的な細胞伸長の制御について理解を深めるため、我々は細胞伸長に異常が見られるシロイヌナズナ突然変異体
itosugi (
itg)を用いた解析を行っている。
itg変異体の表現型解析から、ITGタンパク質が根および胚軸の方向依存的な細胞伸長制御に関与することが明らかになった。ITG-GFP融合タンパク質を発現する形質転換体を作製したところ、細胞膜付近においてGFPで標識されるドット状の構造体が観察され、その構造体は表層微小管上を移動することが分かった。また、微小管重合阻害剤オリザリンおよび微小管脱重合阻害剤タキソール処理により、ITG-GFPにより標識される構造体が消失した。このことから、ITG-GFPの細胞膜付近の局在は微小管の正常な動態に依存していると考えられた。以上の結果より、ITGタンパク質が表層微小管を介した細胞伸長制御に関わることが示唆された。現在、細胞壁合成酵素複合体の動態とITGタンパク質の機能の関連性について検証している。
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木下 温子, 別役 重之, 山田 昌史, 福田 裕穂, 澤 進一郎
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0534
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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高等植物の頂端分裂組織は、未分化状態を保ちながら分裂・増殖する細胞群であり、茎頂―根端軸方向への成長や器官原基の形成に必要な細胞を提供するという重要な役割を担っている。シロイヌナズナにおける分子遺伝学的解析から、茎頂分裂組織の領域決定には、細胞外ドメインにleucine-rich repeat (LRR)をもつ受容体CLAVATA1(CLV1)やCLV2、膜結合型タンパク質キナーゼであるSOL2/CRN、さらには分泌性のリガンドであるCLV3からなる細胞間情報伝達系が重要であると考えられている。
CLV3の化学合成ペプチド(CLV3ペプチド)は、内生のCLVシグナル伝達系を介して茎頂分裂組織の領域を縮小する効果を持つ。これまでに、CLV3 ペプチド添加による花茎伸長の有無を指標にサプレッサースクリーニングを行い、CLV3 ペプチド耐性変異体(
CLV3 peptide insensitive; cli )を多数単離した。このうち、
cli1 突然変異体は花茎のみならず、CLV3ペプチドによる主根の伸長阻害効果に対しても耐性を示したことから、CLI1は茎頂・根端両方の分裂組織において機能する因子であることが示唆される。本大会では、
cli1変異体の表現型、および
clv1、clv2、clv3、wus との多重変異体の表現型解析の結果から、茎頂分裂組織におけるCLV3受容機構を考察する。
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玉置 貴之, 別役 重之, 深尾 陽一朗, 藤原 正幸, 福田 裕穂, 澤 進一郎
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0535
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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植物の茎頂には茎頂分裂組織(SAM)が存在し、SAMに存在する未分化な幹細胞が分裂することによって新たな組織を生み出している。SAMは植物のシュートの形成に重要な役割を果たしており、SAMの制御は正常なシュートの形成に必須である。CLV3はSAMにおいて幹細胞の維持・分化の調節に関わっており、CLV1,CLV2,SOL2,CLI1 (木下ら、本大会発表参照)等、複数の受容体を介して機能することが示唆されている。CLV3は最初に96アミノ酸のペプチドとして翻訳される。その後、プロセシングを受け、13アミノ酸からなる成熟CLV3ペプチドとなる。しかし、CLV3のプロセシング経路は未だ明らかになっていない。そこで、我々はこの経路を明らかにすることを目的として研究を行っている。CLV3のプロセシングに関わる因子の候補としてペプチダーゼに着目し、その候補の1つとしてSOL1を解析している。
sol1変異体はCLE19の過剰発現の効果を抑制する変異体として単離された(Casamitjana-Martinez et al. 2003)。
sol1変異体は合成CLE19,CLV3に、野生型と同様に感受性を示した。このことはSOL1のCLE19プロセシングへの関与を示唆している。また、別のアプローチとして、MS解析による新たな候補の探索を行った。その結果、いくつかの候補が得られ、現在解析を行っている。
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別役 重之, 木下 温子, 藤原 正幸, 深尾 陽一郎, 黒森 崇, 篠崎 一雄, 鈴木 昭徳, 高橋 英樹, 福田 裕穂, 澤 進一郎
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0536
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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CLAVATA (CLV) 情報伝達系はシロイヌナズナの茎頂分裂組織のサイズ制御に必要である。CLV3は12アミノ酸からなるペプチドとして機能することが明らかとされ、CLV1によりコードされるロイシンリッチリピート(LRR)型の受容体様キナーゼ(RLK)とCLV2産物であるLRR型の受容体様タンパク質を含む受容体複合体のリガンドになると考えられている。さらに、最近の研究によりSuppressor of Overexpression of LLP1-2 (SOL2)/CORYNE (CRN)がこのCLV3ペプチド感受性に関わる新たなRLKとして同定された。そこで我々は現在これら受容体様タンパク質を介したCLV3情報伝達系の詳細解明を目指し研究を進めている。これまでに、N. benthamianaでの一過的発現系やアラビドプシスを用いて、これら受容体様タンパク質の生化学的機能解析を行ってきている。さらにCLVシグナリングに関わる更なる因子を明らかにするために、EMS突然変異誘導処理をしたclv1変異体集団や転写因子のノックアウトラインを用いてCLV3合成ペプチド非感受性突然変異体を探索し、候補突然変異体群を得て、現在その詳細を解析中である。これらの研究の進展について紹介したい。
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岡本 暁, 中川 知己, 佐藤 修正, 田畑 哲之, 川口 正代司
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0537
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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シロイヌナズナでは茎頂分裂組織を維持するためにCLV3ペプチドとCLV1受容体による細胞間シグナル伝達機構が重要な役割を担っている。これに対し、ミヤコグサ、ダイズ、タルウマゴヤシなどのマメ科植物では、
CLV1のオーソログ遺伝子(
HAR1, NTS1/NARK, SUNN)の変異体は根粒を過剰に着生する表現型を示す一方で茎頂の形態に関する異常は報告されておらず、それらの遺伝子は茎頂において発現が検出されていない。従ってマメ科植物では、CLV3-CLV1シグナル伝達系のような機構が茎頂分裂組織の維持に関わっているのかどうかはこれまで不明であった。そこで我々はミヤコグサにおける
CLV3様遺伝子(
LjCLV3)に着目し、その機能解析を行った。
In situ hybridizationによる発現解析では
LjCLV3は茎頂分裂組織、花序分裂組織及び花芽分裂組織の中央部の細胞でそれぞれ発現が検出された。また、
LjCLV3過剰発現コンストラクトを導入したカルスではシュートの再生が著しく抑制された。一方、
LjCLV3発現抑制コンストラクトを導入したカルスではシュートの再生率が上昇し、その再生個体では茎の帯化や一つの花序に形成される花の数の増加が見られた。これらの結果から
LjCLV3はミヤコグサの茎頂分裂組織の維持に関わる機能を持つことが示唆された。
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西駕 俊祐, 玉置 裕章, 杉山 宗隆
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0538
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
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植物のほぼ全ての器官は頂端分裂組織から生じることから、頂端分裂組織の発生の理解は、植物の発生を理解する上でとくに重要であると言える。植物組織片からの器官再生は、頂端分裂組織の新生を経るため、その解明は頂端分裂組織形成機構の理解に大いに寄与することが期待される。我々はシロイヌナズナを材料に用い、器官再生を指標として、温度感受性突然変異体を多数単離し、解析を進めてきた。その一つ
rid3は、制限温度下で不定根形成やシュート再生の不全を示し、頂端分裂組織の新形成に必要な細胞増殖統御に欠陥があると考えられる。責任遺伝子の
RID3については、WD40リピートタンパク質をコードしていること、シュート再生過程ではカルス形成時に発現が上昇し、茎頂分裂組織形成に先立って局所的に発現が低下することなどを明らかにしている。今回は、胚発生と
RID3との関係に注目し、遺伝子発現等の解析を行ったので、その結果を報告する。胚発生過程における
RID3遺伝子および頂端分裂組織関連遺伝子の発現パターンと
rid3変異の影響を調べたところ、
RID3は胚発生の最初期から発現していること、
rid3変異体では頂端分裂組織の形成や維持に関わる多くの遺伝子の発現パターンが変化し、形態形成が異常になっていることがわかった。この結果は、
RID3が器官再生だけではなく胚発生においても、頂端分裂組織形成に関与していることを示している。
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大塚 蔵嵩, 杉山 宗隆
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0539
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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rrd1、
rrd2、
rid4は、不定根形成を指標に単離したシロイヌナズナ温度感受性変異体の一グループで、基本的な細胞増殖に関わる現象全般に不完全な温度感受性を示す点と、制限温度下で帯化した側根を形成する点に特徴がある。この帯化根形成については、半同調的側根形成誘導系を用いた温度シフト実験などから、側根原基形成開始時の細胞分裂域の拡大に起因していることが示されている。また責任遺伝子については、
RRD1がポリA特異的リボヌクレアーゼ様タンパク質、
RID4がペンタトリコペプチドリピートタンパク質をコードすることが明らかになっている。
帯化根は初期に拡大した分裂域を保持したまま発達していくが、このとき根の組織構造がどうなっているかは、形態形成機構を考える上でも興味深い。現在、この問題に関し、組織特異的レポーター等を用いて検討中であり、中心柱の細胞列の増加を示唆する結果を得ている。
DR5::GUSなどのオーキシン関連レポーターによる解析も準備中であり、合わせて結果を報告する予定である。
制限温度条件で結実させた各変異体やT-DNA挿入系統の観察からは、どの遺伝子機能も正常な胚発生に必要であることが示唆された。胚発生の表現型に関しては、二重変異体の解析も進めており、
rrd2が
rrd1のエンハンサーとなることなどがわかってきている。これらの結果から、遺伝子間の機能的関係についても考察したい。
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Ferjani Ali, 武藤 由香里, 堀口 吾朗, 前島 正義, 塚谷 裕一
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0540
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
フリー
シロイヌナズナを用いた解析により、葉の細胞数の減少を引き起こす突然変異は、しばしば細胞の肥大を伴うことが明らかになっている。この現象を補償作用と呼ぶ。
fugu5変異体の子葉で見られる補償作用は、スクロースを含んだMS培地上で完全に抑制されていることが明らかとなっている。クローニングの結果から、
FUGU5は液胞膜に局在するH
+-ピロホスファターゼ(H
+-PPase)をコードすることが明らかになった。FUGU5はピロリン酸の加水分解と、プロトン輸送による液胞の酸性化という、二つの機能を持つ。本解析では、FUGU5の持つ二つの機能のどちらが重要なのか、分割して解析することとした。そこで、
fugu5で過剰蓄積すると推定されるピロリン酸を分解させるため、出芽酵母の
IPP1(
Inorganic Pyrophosphatase1)遺伝子を
FUGU5遺伝子のプロモーターに連結し、
fugu5変異体に導入した。IPP1タンパク質は細胞質でピロリン酸分解のみの機能を持ち、プロトンが液胞内に輸送されることはない。興味深いことに、
IPP1遺伝子の導入により
fugu5の表現型は完全に相補された。この結果から、
fugu5では種子発芽時に一斉に起こるさまざまな代謝反応に伴って生じるピロリン酸を消去できないがため、細胞分裂を含む多くの細胞機能を阻害されている可能性が、強く示唆された。
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糠塚 明, 山口 貴大, 塚谷 裕一
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0541
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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一般的に被子植物の葉は、向背軸の極性に依存する機構で葉身が平面成長し、平たい形態を示す。一方、背軸面に相当する組織のみで葉身が構成される「単面葉」をもつ植物のなかには、葉の向背軸の極性が失われているにもかかわらず、平たい葉身を形成する種が多く存在する。すなわち単面葉では、葉の向背軸極性に依存しない独自のメカニズムの進化によって、葉が平面成長できるようになったという可能性が示唆される。この発生進化機構を解明するため、我々は系統的に近縁な2種のイグサ属植物、平たい単面葉をもつ「コウガイゼキショウ」および丸い単面葉をもつ「ハリコウガイゼキショウ」を用いた比較解析を行ってきた。
本発表では、単面葉葉身の平面成長性が内在性のオーキシン濃度勾配に依存する可能性を見出したので、報告する。コウガイゼキショウの芽生えにオーキシンあるいはオーキシン輸送阻害剤を処理した結果、葉身は平面成長性を失い、丸い構造へと変化した。一方これらの処理は、ハリコウガイゼキショウにおける葉身の放射相称性には影響を与えなかった。したがって、平たい単面葉では内在性オーキシンが特定の濃度勾配を形成しており、これが葉の平面成長の促進に寄与することが示唆された。現在我々は、単面葉の平面成長に関与する遺伝子についての解析を併せて進めており、これらの因子の発現とオーキシン濃度勾配との関係についても議論する。
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池内 桃子, 山口 貴大, 五十嵐 久子, 岡田 清孝, 塚谷 裕一
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0542
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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近年、複葉の形態形成に関して分子発生学的な知見が急速に蓄積し、小葉の形成を司る分子基盤が、葉の形成と非常に共通性が高いことが明らかになってきた。一方で、小葉がいつ・どこに形成されるのかといったパターニングに関しては、ほとんど理解が進んでいない。そこで我々は、小葉パターニング機構を明らかにすることを目的とし、求頂的小葉形成を行うケシ科ハナビシソウを材料とし、以下の二つのアプローチを用いた研究を行っている。第一に、laser ablation システムを用いて、葉の発生を物理的に攪乱する実験である。葉原基の発生初期に頂小葉を損傷すると、大規模に損傷した場合には主軸が消失・新規形成し、より小規模に損傷した場合には、先端近くに側小葉が形成された。これらの結果は、頂小葉が、SAM 先端と同様に主軸として機能すると同時に、次に形成される小葉原基に対する抑制効果を持つことを示唆している。第二に、
in situ hybridization を用いた、発現解析である。求頂的な小葉形成を行う種では、葉の先端に未分化な組織が維持されていると広く認識されている。しかし、こうした例が特殊な分類群に限られる可能性も排除できない。マーカー遺伝子の発現解析の結果、小葉原基形成中の発生段階において葉の辺縁部全体が分裂活性および未分化性を維持しており、葉の先端基部軸に沿った勾配はないことが分かった。
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間瀬 圭介, 石濱 伸明, 水野 貴仁, 森 仁志, 児玉 基一朗, 吉岡 博文
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0543
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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AAL毒素はトマトアルターナリア茎枯病菌の病原性因子であり,宿主植物にプログラム細胞死を誘導する.しかし,AAL毒素による細胞死のシグナル伝達経路は明らかになっていない.AAL毒素および茎枯病菌に感受性である
Nicotiana umbraticaとウイルス誘導型のジーンサイレンシング法を用いて,AAL毒素による細胞死に関与する遺伝子を解析した.これまでに,AAL毒素による細胞死においてエチレン経路が重要な役割を果たすことを明らかにし,エチレン応答に関与するAP2/ERF転写因子である
NuERF4をAAL毒素細胞死に関与する遺伝子として単離した.
NuERF4をサイレンシングした植物体においては,AAL毒素による細胞死,茎枯病菌の病徴ともに抑制された.また,NuERF4を一過的に発現させたのみでは細胞死は誘導されなかったが,AAL毒素を併せて処理すると早期に細胞死が誘導された.これらの結果より,NuERF4は細胞死誘導には十分ではないが,AAL毒素が誘導する細胞死に必要な因子を制御すると考えられた.NuERF4は,転写を正に制御する活性を有する.そこで今回,cDNAサブトラクション法を用いてNuERF4が制御する因子の単離を試みた.現在,NuERF4を一過的に発現させた植物体と、発現させていない植物体とを用いて発現量が増加する遺伝子を探索中である.
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三輪 琢也, 三村 由佳子, 田中 浄, 上中 弘典
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0544
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
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植物遺伝子の機能解析ツールとして近年頻繁に使用されているタバコ茎えそウイルス(TRV)ベクターを用いたウイルス誘導性遺伝子サイレンシング(VIGS)により、モデル植物であるシロイヌナズナにおいても内在性遺伝子の発現抑制が可能であるが,これまでに報告されている手法では多検体を均一に処理することは困難である。そこで、シロイヌナズナの均一化したcDNAライブラリーを導入したTRVベクターを用いたVIGS(TRV-VIGS)による表現型を指標にしたスクリーニングを効率的に行うために,大規模スクリーニングができる簡便で安定したサイレンシングの手法の確立を行った。まず8種類のシロイヌナズナのエコタイプにおけるTRV-VIGSの効果を検証したところ、全てでサイレンシングの表現型を観察することができた。また,高効率で多検体の植物に同時にサイレンシングを誘導する実験系を、バキュームインフィルトレーション法を用いて確立できた。この手法を用いて既知の細胞死関連遺伝子である
CAD1のVIGSを行ったところ,
cad1変異体と同じ表現型が観察されたことから,この手法を利用したスクリーニングにより,細胞死に関わる遺伝子を効率的に単離する事が可能であると示唆された。これらの確立した実験系を用いて実際に遺伝子スクリーニングを行ったところ,これまでに細胞死に関連するという報告のない複数の遺伝子を同定することができた。
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長野 稔, 角田 智佳子, 内宮 博文, 川合 真紀
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0545
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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植物の形態形成時やストレス応答時に重要な現象であるプログラム細胞死は様々な因子によって高度に制御されている。Bax Inhibitor-1 (BI-1) は生物間に広く保存された細胞死抑制因子である。シロイヌナズナのBI-1 (AtBI-1) は約26kDaの小胞体膜に局在する7回膜貫通タンパク質で、活性酸素種(ROS)の発生を伴う酸化ストレス誘導性細胞死を抑制することがこれまでに報告されている。また、AtBI-1のC末端に存在するcoiled-coil構造が細胞死抑制機能に必須であり、カルモジュリンと相互作用することも明らかとなっている。しかし、これまでAtBI-1が細胞死を抑制する分子機構については明らかとなっていなかった。
そこで、我々はAtBI-1が電子伝達因子シトクロムb5を介してスフィンゴ脂質脂肪酸代謝酵素と相互作用する可能性を見出した。スフィンゴ脂質は、2-ヒドロキシル化された非常に長い脂肪酸(2-ヒドロキシ超長鎖脂肪酸)を有することが特徴であり、その合成に密接に関与するスフィンゴ脂質脂肪酸2-ヒドロキシラーゼ(AtFAH)及び、超長鎖脂肪酸縮合酵素(AtELO)がAtBI-1と相互作用することが示唆されている。今回の発表では、AtFAH及びAtELOが合成するスフィンゴ脂質脂肪酸とAtBI-1との関係について報告したい。
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吉田 祐子, 高田 晃, 幸田 泰則
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0546
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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夏に播種したダイコンなどの冬一年生植物は、秋にはロゼット型を保ち、冬の低温を感受した後、春の長日条件で茎を伸長させ(抽だい)開花する。一般にロゼット型はGA不足により、また抽だいはGAの増加により生ずると考えられている。しかし、ロゼット型は植物体を地際に保持させ、強風や大きな日夜温較差から身を守るために積極的に獲得した形質であると考えられ、何らかの抽だい阻害(抗抽だい)物質が関与している可能性が高い。そこで抗抽だい活性の生物検定法を考案し、ダイコンの抗抽だい物質の検出を試みた。ロゼット型のシュート抽出物中には強い活性が認められた。活性を指標とし、各種のクロマトグラフィーを用いて活性物質を単離し、hexadecatrienoic acid monoglycerideと同定した。この物質は茎頂分裂組織の活性(葉の枚数)には影響せず、節間伸長のみを阻害した。圃場で育成したダイコンを用いて、抽だいに伴う活性物質の変動を調べた。ロゼット型のシュートには抗抽だい物質は高濃度で存在したが、やがてその含量は大きく減少し、その後抽だいが生じた。また植物体を4℃に置くとシュートの活性物質は完全に消失し、23℃に戻すと活発に抽だいした。以上の結果は、ダイコンは抗抽だい物質を生成して節間伸長を抑制してロゼット型を維持し、抗抽だい物質の減少により抑制が解除され、節間が伸びて抽だいが起こることを示している。
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田中 将之, 幸田 泰則
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0547
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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冬一年生植物は、一年目は栄養生長を行い茎は伸長せずロゼット葉を展開する。二年目に生殖生長に移行すると、急激な茎の伸長生長(抽だい)を起こし開花に至る。抽だいには植物体が低温を経験した後に長日条件におかれることが必要である。ジベレリンが重要な働きをしていることが知られているが、過去の報告から植物体中のジベレリン内在量の増加が抽だいを引き起こしているとは考えにくく、ジベレリンに対する感受性が変化するのだと考えられている。そこで、植物体中にジベレリンに対する感受性を決定し、抽だいを制御している生理活性物質が存在していると考え、その物質の単離・同定をホウレンソウを用いて試みることとした。
抽だいを完全に抑制するため、日長が短くなる夏に圃場でホウレンソウ(品種:アクティブ)を栽培し、ロゼット型の状態で植物体を収穫した。根を除いた植物体をエタノールで抽出し、ホウレンソウあるいはチンゲンサイの幼植物を用いた
in vitroの抽だい阻害活性のバイオアッセイに供したところ、抽出物には強い抽だい阻害活性が認められた。これは、ホウレンソウ植物体中にはロゼット型の維持に寄与している生理活性物質、つまり抽だい阻害物質が存在していることを示唆している。そこで、この抽だい阻害物質の正体を明らかにするために、各種カラムクロマトグラフィーにて分離、精製を進めている。
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河村 花愛, Rahman abidur
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0548
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
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植物の体内で合成される内生オーキシンであるインドール-3-酪酸(IBA)は、これまでの研究ではインドール-3-酢酸(IAA)と同じ経路で植物の成長を制御すると考えられてきた。しかし近年、IBAの植物体での輸送がオーキシン取り込みタンパク質であるAUX1とオーキシン排出タンパク質のPIN2を介していないことが報告されている。さらにIBAは他のオーキシン類に比べて胚軸の伸長と側根の形成を促す働きが強いことが報告されており、IBAのシグナル伝達や輸送が従来知られているIAAのものとは異なる可能性が示されている。本研究では、既知のオーキシン輸送変異体とシグナル伝達変異体を用いて、IBAによるシロイヌナズナ根の成長制御のメカニズムを明らかにすることを試みた。その結果、各変異体は主根の伸長においてIBAとIAAの両方に対し同様の反応を示し、IBAとIAAは共通の応答経路によって主根の伸長を制御していることが示唆された。一方、用いたすべての変異体の側根はIBAによって顕著に増加したが、この反応はIAAでは見られなかった。このことから、IBAは従来のIAA輸送経路やシグナル伝達経路とは異なる経路を介して側根の形成を制御している可能性があることが示唆された。
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高木 一輝, 横山 峰幸, 石田 雅美, 伊福 欧二
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0549
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
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9 位型オキシリピンである KODA (9-hydroxy-10-oxo-12(
Z),15(
Z)-octadecadienoic acid) は花成誘導関連物質としてアオウキクサ (
Lemna paucicostata) から単離, 同定されている (2000 年 横山ら, 2001 年 山口ら). KODA は, 9-リポキシゲナーゼ, アレンオキシドシンターゼを介して生合成されると考えられる (2002 年 Feussner ら). 本研究では KODA の効率的な製造を目指してアオウキクサ由来 9-リポキシゲナーゼ遺伝子のクローニングを行った. アオウキクサ SH 株, 441 株から RNA を抽出し cDNA とした後に, 縮重PCRにより, リポキシゲナーゼの部分配列を得た. それぞれ 3’, 5’ RACE により完全長 cDNA 配列を取得し, SH 株から 1 配列, 441 株からは 2 配列の新規リポキシゲナーゼホモログをクローニングした. 得られたリポキシゲナーゼ遺伝子を大腸菌に導入し, 組換えタンパク質として発現させた. 組換えタンパク質を用いて, α-リノレン酸を基質とした酵素反応を行った結果, 今回クローニングしたリポキシゲナーゼは, 目的とする 9-リポキシゲナーゼであることが示唆された.
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米山 香織, 柴田 恭美, 横田 孝雄
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0550
発行日: 2010年
公開日: 2010/11/22
会議録・要旨集
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GA
4-Meはシダのカニクサ(
Lygodium japonicum)原糸体上に造精器の形成を誘導する。我々はこの造精器誘導作用が動物ステロイドホルモンであるプロゲステロンおよびアロプレグナノロンにより阻害されることを報告している。今回は、合成プロゲスチン、合成女性ホルモンおよびプロゲステロン受容阻害剤が、カニクサの造精器形成に与える影響を検討した。その結果、100%造精器を誘導する条件下で、合成プロゲスチンの5α-estran-17α-ethynyl-17β-ol-3-oneと5α-estran-17α-ethynyl-3α,17β-diolを与えると、10 μMで造精器形成がそれぞれ10%、0%に低下することが示された。一方、4-pregnen-6α-methyl-17-ol-3,20-dione acetateと4-pregnen-6α-methyl-17-ol-3,20-dioneは、GA
4-Meの造精器誘導作用を著しく促進した。以上の結果から、カニクサはプロゲスチンを受容する部位をもつことが示唆された。また、ヒトのプロゲステロン受容阻害剤は、カニクサの造精器形成に影響しなかったため、カニクサのプロゲステロン受容体はヒトの受容体とは異なった受容特性を示すものと考えられた。
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