本論では,中山間地域での住民生活を事例として,小地域福祉活動の展開における新たなつながりの有用性について検討した.
紀美野町A地区では,地域の大部分が山間部という地理的条件のなか,多様な形態の交流と地域に関わる専門職等による声かけ・見守り活動により,地域住民の生活支援体制を構築している.さらに,同地区における活動には多様な外部人材も関わっており,かつて農山漁村においてみられた閉鎖性,保守性を伴うつながりとは性質の異なる,新たなつながりが構築されつつある.
事例の分析を通じ,小地域福祉活動の目標である地域の課題解決のためには,地域における内部結束を強めるつながりと,開放性,革新性を伴う外部とのつながりが有効であることが明らかとなった.これらのつながりの有用性は,中山間地域のみならず,都市部における課題解決に対しても示唆を与えるものである.
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